Flashについて語る、新藤愛大さん


話題のクリエイターを紹介する「注目クリエイター列伝」。第6回は、フリーランスActionScriptエンジニアの新藤愛大さんに登場していただいた。新藤さんはSpark projectやShibuya.abcといったコミュニティの運営も行っている。

■Flashゲームとの出会い
新藤さんは埼玉県の出身。21歳。BeInteractive! を屋号に、「三度の飯よりActionScript」を座右の銘に活動する、フリーランスActionScriptエンジニアだ。

普段は請負いのFlash案件、ActionScript Thread Library 1.0やBetweenAS3、iPhoneアプリまでも開発している。また、今話題のFlash・ActionScript 開発のためのオープンソースコミュニティ Spark projectの主催者でもある。最近ではイベントでの講演や書籍の執筆といった活動も活発に展開している。

新藤さんとFlashとの付き合いは長く、すでに6年くらい取り組んでいるそうだ。Flashとの出会いは、新藤さんが私立中学に合格したお祝いにパソコンを買ってもった頃にさかのぼる。最初はパソコンでホームページを作ったが、次第にゲームを作りたいという願望が高まり、Flashゲームを見つけたことからFlashとの付き合いが始まったという。

新藤さん自身は、ゲームで遊ぶよりプログラミングするほうが好きだという。自分のホームページでは、いくつかFlashのゲームを公開したこともあるそうだ。

■振り回されるのが楽しい
現在のFlashは、初期のFlashと比べてはるかに高機能であり、高度なプログラミングができるようになっている。バージョンが上がるごとに次から次へと機能が強化されていくFlashに対して、どのように思っているのかをうかがってみた。
「まあ、面白かったですね。いろいろなことがあり。」と、意外な答えが返ってきた。

新藤さんは「昔からFlashをやっている人は打たれ強い人が多いと思っています。僕もそうですけど、けっこう振りまわされています。逆に、その辺が楽しいと思っているみたいなところがあります。」と、笑いながら答えてくれた。
Flashについて語る、新藤愛大さん

■Flashがあれば何でもできる
新藤さんは、どうしてここまでFlashの虜になったのだろうか。Flashの面白さについてうかがってみた。
「最初にFlashを触ったときに、Flashがあれば何でもできると感じました。絵も描けますし、モノも表示できて動かせて、最近はスマートフォンにまで進出しはじめています。」と、Flashの使い方次第で、様々なアクションができる点にあるようだ。

最近は何でもFlashで出来るという風潮もあり、ホームページひとつをとってみても、Flashを取り巻く状況が変わりつつある。その辺について、新藤さんにうかがってみた。
「Flash まわりの環境の変化というのは、すごく感じますね。僕がFlashをはじめた頃は、個人制作のいわゆる2ch系のFlashが流行っていて、僕もそれに乗じて成長した部分もあったんですけど。あの頃は、本当にやりたい放題でした。それが去年や一昨年は、そういうFlashはほとんど見なくなって、商用案件ばかりになってきているように感じていたのですが、最近は、また少し戻ってきている気がします。」

一昔前までは、Flashといえば、 AdobeのFlash作成ソフトを使用するのが常だった。ところが、「Flex SDK」やオンラインサービス「Wonderfl」などに代表される無料でFlashを制作できる環境が登場したことによって、今までFlashには取り組まなかった個人が手軽にFlashを体験できるようになってきた。この辺りが、Flashが活気づき始めた要因であるというのだ。

■Flash上達のコツは?
昔は単に絵を動かすだけのFlashだったが、最近は3D表示やエフェクトなど、表現の幅が広がりつつある。高度な表現力を持つFlashを、新藤さんはどのようにしてマスターしていったのだろうか。
新藤さんにFlash上達のコツをうかがってみた。
「コードを書くのが一番ですね。最近だと、Wonderflで面白いと思ったFlashのコードを見て勉強していくのが良いと思います。」という。
人のコードを真似して学び、実際にモノを動かすことでモチベーションを上げることが、オリジナルを作成できるようになる早道だそうだ。
Flashについて語る、新藤愛大さん

■Flashの限界と仕事へのこだわり
新藤さんは、今後は何に挑戦したいとお考えなのだろうか。
「最近のFlashはWeb以外での活用が増えてきています。スマートフォンだったりデジタルサイネージだったりしますが、今後はそちらにも挑戦していきたいと思います。」

Flashはどこまで進化していくのだろうか。限界はあるのだろうか。
「Adobe はWeb以外でのFlashの環境に力を入れてくれてますし、Flashにも出来ることの限界はありますが、そこは頑張ってあげようとしてくれている感じがあります。その限られた中で制作するというのも面白いものです。デバイスとの連携もできますし、スマートフォンで動かすこともできますし、けっこう満足する環境にあると思います。」

Flashでも出来ることの制限もあるが、あえてその制限でクリエイトすることが楽しいという。限界があっても、その限界を楽しめるというのは、さすがFlashの達人だ。

仕事へのこだわりをうかがってみると、スケジュールは基本的に守るタイプだそうだ。プログラミングについては、綺麗にコードを書くタイプで、毎回新しい設計を入れるなど、人に知られないところでチャレンジをしていくそうだ。

■時間を有効に活用したい
最後に、将来の夢についてうかがってみた。

新藤さんは、「そんなに大きい野望みたいなものはなくて、その日その日で生きて行けたら良いと思います。作品をつくることを常に思っていて、自分の時間をもうちょっと増やしつつ、いろいろやって行けたら良いと思っています。」

最近は、自分の作品づくりや勉強に充てる時間が少なくなってきたため、今までよりも時間を有効に活用したいという。新藤さんは、どこまでも前向きなクリエイターであった。

そんな新藤さんは12月4日、ActionScriptライブラリ初心者を対象にしたイベント「Spark67 Beginners」と上級者を対象にしたイベント「Spark67 Deep」に出演するそうだ。

新藤愛大(しんどうよしひろ)
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