娯楽の王様といわれる「テレビ」は、ニュースからバラエティまで様々な情報を届けてくれる定番の家電製品だ。

テレビは、モノクロからカラーへ、ブラウン管から液晶やプラズマへと移り変わり、携帯電話で視聴できるワンセグ放送まで登場している。そんなテレビも2011年に地上アナログ放送から地上デジタル放送への切り換えという、テレビが登場以来最大の転換期を迎えようとしている。



地上デジタル放送対応のテレビでは、高画質なだけでなくデータ放送、インターネット機能など次世代ハイテク情報家電化しているが、アナログ放送終了するため買い換え需要も高まっている。

世界のテレビ出荷台数、2008第2四半期は前年同期比11%増 - CNET Japan



そこで今回は、ハイテク化が進むテレビにスポットを当て、歴史とともにその技術に迫ってみよう。


■テレビの歴史とテクノロジーの進化

●テレビの語源は?

テレビとは、「テレビジョン」の略語で、遠方へ映像を送信する技術やその受信機の総称だ。ちなみに「テレビジョン」はフランス語の「television(テレヴィジョン)」に由来し、「テレ(tele-)」はギリシア語の「遠く離れた」、「vision」はラテン語で「視界」を意味する言葉だ。





●世界初のテレビは?

世界初のテレビには諸説あるが、テレビの基本原理ともいえる「静止した画面を走査で分解して送信する技術」は1843年、アレクサンダー・ベーン氏によって考案された。



現在のテレビにもっとも近いテレビは1926年12月25日、高柳健次郎氏が浜松高等工業学校にてブラウン管による電送および受信の実験を世界で初めて成功させた。高柳氏は送像側に機械式のニプコー円板を用いて受像側の電子式ブラウン管に片仮名の「イ」の文字を見事に表示させた。



実験に用いられた受信機の走査線の数は40本。表示する文字に「イ」の字を選んだのは、「いろは」の最初の文字だったからだ。



高柳氏は研究者から日本ビクターへ入社、同社元副社長の地位にまで上り詰め、それまでの功績が認められて「テレビの父」と呼ばれるようになった。



テレビの歴史 - 財団法人名古屋ケーブルビジョン

高柳健次郎 - ウィキペディアによる解説





●ブラウン管テレビの仕組み

テレビはテレビカメラで撮影した映像を家庭のテレビで受信している。テレビカメラで撮影した映像や音声は電気信号に置き換えられるがそのままの状態では信号が弱く、とても家庭まで送信することができない。そこで信号を変調作業と呼ばれる処理により高周波の搬送波にのせて、高い所に設置されたアンテナから電波として空中に発射される。



ブラウン管テレビではブラウン管の前面に蛍光塗料が塗られており、電子銃のビームが当たると発光する仕組みとなっている。家庭に届いた電波はチューナーにより特定の周波数のチャンネルが抽出され、音声検波や映像検波により搬送波と電気信号に再び分解される。



音声信号はアンプを通してスピーカーへ出力される。映像信号はブラウン管の後部から画面に向かって発射され、「偏向ヨーク」と呼ばれる電磁コイルで曲げられて左上から右下に走査し、テレビの画面に映像として表示される。



日本のテレビ放送で使われるアナログテレビの規格であるNTSC方式は走査線が525本で、これらを1/30秒で1画面の描画しているから驚きだ。実際には「インターレース」と呼ばれる飛び越し走査により1行おきに描画しているので、1秒間に60回の走査を行っている。



カラー映像の場合には映像信号にR(赤)・G(緑)・B(青)の色信号が含まれ、それは映像検波で分離されてからR・G・Bの蛍光塗料が塗ってあるブラウン管前面にビームで照射される。



【図解】 雑学 テレビ放送・テレビ・アンテナの仕組み 家電なんでも情報局 - アイディーシー(idc)





■標準からフルハイビジョンへ

テレビを語るうえでもうひとつ忘れてならないキーワードが「ハイビジョン」だ。「ハイビジョン」といっても2種類のハイビジョンが存在するのをご存じだろうか。簡単ではあるが、以下にまとめてみた。



●アナログハイビジョンの登場

ハイビジョンとは、「High Definition television(高精細度テレビジョン放送)」を指す言葉で、「HDTV」と略される。NHKが中心となって開発を進めてきた高品位テレビの規格だ。家庭用ゲーム機「Xbox 360」の宣伝文句でよく耳にする「ハイデフ」とは、まさしくハイビジョンのことだ。



ハイビジョン放送は1989年6月1日から1991年11月24日まで、NHK衛星第2テレビの一部の時間枠に技術実験として実施したのが始まりとされている。ちなみに当時のハイビジョンはアナログハイビジョンであった。ハイビジョンでは、SDTV(標準画質放送)とHDTV(高画質ハイビジョン放送)の両者が同一のチャンネルに時間帯を分けて共存することができる。



その後、NHKはハイビジョンを世界標準規格にしようするものの、規格は統一されず、今日では日米欧でそれぞれ異なるハイビジョン番組を放送することになる。アナログハイビジョン(BSハイビジョン放送)は放送衛星「BSAT-1」の設計寿命が尽きる2007年9月末をもって終了された。





●デジタルハイビジョンの登場

デジタルハイビジョンはアナログハイビジョン放送をデジタル化したもの。アナログハイビジョン放送と同様の音声、映像フォーマットを用いた上で、映像圧縮にMPEG-2 Videoを、音声圧縮にMPEG-2 AAC(MPEG-2 Advanced Audio Coding)を採用している。





●ハイビジョンと画質

ハイビジョン放送では、走査線の数が従来の480本から1,080本に増え、2倍以上の情報を表示できるようになった。そのために高画質な映像を楽しむためには、テレビもハイビジョンに対応した製品が必要となる。液晶テレビを例にもう少し詳しく説明しよう。



液晶テレビでは、画面を構成する1つの点を1ピクセルと呼び、そのピクセルが集まったものを解像度という。

従来のテレビの画質は「標準画質(Standard Definition=SD)」と呼び、縦横比(アスペクト比)は4:3で構成される。ハイビジョンの画質は「High Definition=HD」と呼び、1,920×1,080ピクセルの解像度を持ち、縦横比は16:9となっている。



ただし、一部の液晶テレビやプラズマテレビでは、1,366×768ピクセルの解像度のパネルが採用されており、それと区別するために1,366×768ピクセルのハイビジョンを「ハイビジョン解像度(HD解像度)」、1,920×1,080ピクセルのほうを「フルハイビジョン(フルHD)」と呼んでいる。



よって、デジタルハイビジョン本来の高精細な映像を楽しむためには、フルHD対応のテレビが必要となる訳だ。





■テレビは双方向・VODの時代へ

テレビは双方向接続やインターネットの力を借りて新しいツールへと進化を遂げようとしている。



●双方向テレビ

テレビは放送局からの映像を家庭で視聴するという一方向のメディアから、視聴者がテレビ番組に参加するという双方向テレビへと進化している。



双方向テレビのこうしたインターラクティブサービスはBSデジタル放送で初めて導入された。双方向テレビでは視聴者参加型の番組が可能で、番組で紹介された商品をすぐに購入できたり、クイズやアンケートに自宅にいながらにして参加することができる。





●テレビの新しいネットサービス

テレビとインターネットを組み合わせた「ビデオ・オン・デマンド(VOD)」と呼ばれる新しいサービも始まっている。



VODは「次世代レンタルビデオ」とも呼ばれるもので、その場で好きな映画やドラマを選択して楽しめるサービスで、ケーブルテレビやインターネットサービスのひとつとして提供されている。ビデオレンタルに行く手間がいらないし、メディアを返却する手間を省くとこもできる。



たとえば、アクトビはアクトビラ ビデオ対応テレビを高速ブロードバンド回線に接続することで、好きな映画やドラマをその場で楽しむことができる。またGyaOでは専用のセット・トップ・ボックスを用意することで、テレビでGyaOの番組を試聴できる。



「アクトビラ」公式情報サイト

「ギャオネクスト」公式情報サイト



今後、テレビは映像受信装置からデータ放送やインターネット機能などの双方向に情報を伝達できるコミニケーションツールへと生まれ変わろうとしているといえるだろう。





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