近年、日本や世界のインターネットで人気のあるサービスが動画共有サイトです。特に有名なのが、米国のYouTube(※1)と日本のニコニコ動画(※2)ですが、最近この二強に迫る勢いで急成長している動画共有サイトがあります。それが、中国の優酷網(Youku)です。



※1:YouTube

米国のグーグル傘下の動画共有サイト。ユーザーがアップロードした動画がFlash Video形式(.flv)に変換されて公開されます。

※2:ニコニコ動画

ニワンゴが提供している動画配信関連サービス。配信されている動画上にコメントを書き込み、表示できるという特徴があります。



■優酷網とは

優酷網は、中国版YouTubeともいわれる動画共有サイトです。

最高経営責任者(CEO)である古永鏘(Victor Koo)によって2005年11月に創業されました。

2006年に6月21日にベータ版が公開され、YouTubeより遅れること1年、同年12月21日に正式版が公開されています。



YouTubeは、2006年3月28日からアップロードできる動画ファイルの長さが10分間までに制限されましたが、優酷網ではアップロードするファイルの容量には制限がありません。

このことも手伝って、日本のドラマやアニメなどが数多く登録されています。

試しに、日本語でアニメのタイトルを入力して検索したところ、簡単に多数の動画が検出されました。

こうしたことから、優酷網では1日に1億回を上回る動画視聴数を誇っています。

優酷網



■優酷網は、なぜ人気があるのか

中国の若者は、テレビよりもネットを見る習慣があるそうです。中国の政府系調査機関China Internet Network Information Centerの調べによると2007年6月の時点でインターネットユーザーの61%がオンラインでの動画を見ていることが分かっています。





「百度(Baidu)」(※3)、「優酷網(Youku)」の月間利用者数推移 ネットレイティングス調べ



また、日本のインターネットユーザーにも利用者が増えていて、その急増ぶりは知名度が上がり始めた時期のYouTubeやニコニコ動画の状況に酷似しています。



優酷網の人気の背景には、アップロードされているコンテンツにあります。YouTubeやニコニコ動画では、著作権侵害放送番組動画は運営会社や著作権者の要請やサイト自身によって削除されています。

たとえば、ニコニコ動画については、テレビ局6社に対して次のような申し入れ書を提出しています。

・ニコニコ動画内における既存の著作権侵害放送番組動画は全て削除する

・新規投稿動画の監視を行い著作権侵害放送番組動画については直ちに削除する



しかし、優酷網は中国企業であることから著作権侵害放送番組動画の配信をやめさせるまでにはまだ至ってないようです。



※3:百度

中国版グーグルともいえる検索サイト。高速な動画検索で人気があります。



■中国政府の規制緩和も追い風

中国政府は「全てのビデオストリーミングサイトを政府が保有あるいは管理する」という規制を打ち出していました。ところが、2008年2月3日の声明で既存の動画サイトには適用しないことを明らかにしています。この声明によると、規制が施行される前の「法律に従っていた企業」は再登録することで事業を継続することができるとしています。

この声明によって優酷網のような既存サイトは救われ、中国に進出していないYouTubeなどの海外勢力や新規にビデオストリーミングに参入を考えている企業にとっては、依然として大きな障壁が残る形となっています。



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