「地球のみなさんこんにちは、我々はジオン公国です」という前説で始まったのが、一部で噂の"がんだむ講談会"。関西発信のガンダム演芸が、ついに東京に進出ということで千秋楽に行って参りました。実際に観てみると、演目は講談だけでなく、歌あり寸劇ありというバラエティに富んだ内容で想像以上に楽しかったです。今回はこのガンダム演芸をご紹介してみます。
ガンダムネタ満載のこの舞台は、許諾関係を創通(版権管理会社)に打診中とのこと。現状では公式のお墨付きはもらっていないようです。まさに「黙認」で行われているという状態。いい意味でヤケクソというか、開き直りで演じられているところが、アングラっぽくてたまりません。
一応メイン演目である「講談」は、普段講談を聞き慣れていない者にとっては、独特の言い回しが聞き取りづらく感じる部分もありました。ただ、ネタがガンダムだけに早口でも聞き取れる単語やセリフも多く、おおむね理解は可能でした。エロネタもあるのでお子様には不向きですが、大人のガンダムファンになら、かなりオススメできる内容だったと思います。
講談師の「旭堂 南半球」氏は、特注のジオン紋の入った着物を身に付け、ガンダム世界を自身の弁舌で表現。お笑い要素が多く、肩肘張らずに楽しめるところが好印象でした。以下に当日の演目内容のレビューを書いてみます。
(1)『ガルマ=ザビ国葬』(演説:総帥演説保存会)
かの有名なギレン総帥の演説を再現(ギレン役は南半球氏)。最後の「ジークジオン! ジークジオン!」部分は、他出演者が観客席側から発声していた模様(暗くて目視はできず)。なんというバーチャル国葬。終始シリアスで通したところがすごい。想像以上の本気度にちょっとたじろいでしまいました。
(2)『恋のビームライフル』(歌:ニイラ=マス)
「軟弱者! あなたみたいな人、サイド7にひとりで残っていればいいんです!」という、セイラさんがカイに平手打ちを喰らわせて言い放ったセリフから始まるロック歌謡の熱唱が突如展開。地下アイドルっぽい長髪黒髪の女性が「チュッチュ~ル、チュッチュッチュル~♪」と口ずさみながらノリノリ。歌や踊りが妙に上手いところがなんとも……。観客はどう反応してよいのか分からず、唖然呆然。かろうじて最後に拍手はできたようです。
~ドダイ組み立て~
※人が乗れるミニチュアドダイを舞台上で組み立て。整備兵コスプレで粛々と作業進行。
(3)『講談一年戦争記~アナベル・ガトーの奮戦』(講談:旭堂 南半球)
ようやく講談が始まったと思いきや、いきなり0083(OVA)ネタ。ステージ高めです。これは若井おさむにはできない芸当でしょう(彼は所詮、一般向けの吉本芸人)。宇宙要塞ア・バオア・クーでの最終決戦をジオン視点で熱弁。「どぎゅーん、どぅるるるる、だだだだだ!」という戦争ゴッコ的な擬音と共に、モビルスーツも大活躍。このネタは完成するまで5年かかったんだとか……。
(4)『Last Fly』(歌:ディアナ=hime)
迷彩模様のドレスを着た女性の歌謡ショー。台湾アイドルが歌うようなPOPな曲だった気が(うろ覚え)。歌詞のガンダム度は控えめだったような(超うろ覚え)。
(5)『萌えよ!大喜利士官学校』(ガンダム大喜利)
司会は、黒いビキニパンツと生足をチラつかせる変態コスプレ男、シロッコ(※Zガンダムのキャラ・女好き)。大喜利の内容は士官学校の女学生達が、お題に合わせてスケッチブックに回答やイラストを描くというもの。投げやりな司会進行と、グダグダな答えっぷりが妙に面白かったり。お題は「ハイザックを描け!」とか無茶ぶり全開。
(6)『ゲスト来襲』(徳島雅彦監督登場)
『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY(SS)』『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…(DC)』『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙(PS2)』『MS戦線0079(Wii)』等を手掛けたゲーム監督の徳島雅彦氏が緊急参戦! やりたい放題のこの舞台に、オフィシャル側の人間が立つということに対して、司会の南半球氏は大感激。徳島監督は大汗。南半球氏のガンダムゲームへの情熱がほとばしるトークショーとなってました。
~小休止~
(7)『大佐の速さに追いついて』(歌:ニイラ&ザネリ)
「めざせ公認! 負けるな訴訟!」の掛け声も高らかに、「ザク、ザク、ザク、みどり、グフ、グフ、グフ、あお♪」と歌い&踊るジオン女子。曲調は香港系アイドルソング。カラオケの音源に入っているティンパニ(?)の音が燃える。ゴールデン・ハーベスト(※1)の臭いがするぜえぇぇぇっ!!
(※1)ゴールデン・ハーベスト:香港の映画会社。ジャッキー・チェンの映画などで知られる。オープニングのティンパニサウンドには、ヒトの血を沸騰させる謎のパワーがある。
(8)『講談一年戦争記~一週間戦争の悲劇』(講談:旭堂 南半球)
本日の講談第二弾。コロニー落としがあった一年戦争開戦時の戦闘を、ドズル・ザビとランバ・ラルのやりとりを交えて描写。最初は普通に講談を進めてましたが、途中で連邦のマゼラン級戦艦のプラモを取り出し、その恐るべき破壊力について語り出すという急展開。ガノタの知識を披露して、たいそうご満悦の講談師であったとさ(ヲイ)。
(9)『恋のジェットストリームアタック!』(歌:森のくるみ)
ドム三機による連続攻撃をモチーフにしたテクノ歌謡風電波ソング。サビは「わん、つー、すりー、とりぷる~♪」という感じ。聞いてたら脳ミソがゆるゆるになってきました。知能指数が低下する感覚というかなんというか(ほめ言葉)。
(10)『フレンG』(寸劇:劇団ガンダム)
アメリカンスタイルの寸劇。えーと、ビバリーヒルズ高校白書風? シャアとララアとアムロが登場します。シャアがブランドもののサングラスを物色したり、アムロのガンダムがガス欠になったり大騒ぎ! ブラックジョーク多めだったので、これ以上詳しくは書けませんが、あれはいいものだ。
(11)『ジオン女子校』(モビルスーツごっこ)
南半球氏が指導教官として登場。ジオン女子校の生徒達にモビルスーツの操縦訓練を施します。全員が舞台上で円陣を組み、時計回りにモビルスーツっぽく歩行開始。「たーらたった、たーらたった、たららー♪」という教官のガンダムBGM風の掛け声に合わせて、ジャンプしたり、ショルダーアタックしたりします。どうみてもモビルスーツごっこです。本当にありがとうございました。これはガノタなら一度は見ておくべき。
(12)『愛のミノフスキー粒子』(歌:ニイラ=マス)
「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのです! WAAAAAーー!!」とか絶叫する、激しいビートのラブソング(多分)。なかなかいい曲です。気のせいか1970年代のテイストがあったような。
(13)『ジオン第八連隊記~めちゃくちゃ頼もしいジオンの隊長』(講談&演劇)
講談と演劇を織り交ぜたオリジナルストーリーの演目。ジオン最弱と噂された部隊の奮闘と、隊長の生き様が語られます。なかなかの力作でしたが、もう少し全体の構成を工夫してほしかった気がしました。やや中途半端な印象があったので、どうせなら思いっきりパロディに走った方が嬉しかったかも(あるいは完全にシリアス展開にするとか)。この辺りは今後の課題でしょう。
私も思わぬ大事件の現場に遭遇してしまい大興奮。これは公認獲得への野望に一歩近づいたといってもいいかもしれません。この「ガンダム講談」の今後にますます注目です。気になった人は、旭堂 南半球氏の公式サイトに画像と動画が置いてありますので、チェックしてみてください。ただし、動画ではあのライブ独特の雰囲気は伝わりませんので、機会があれば生で観ることをオススメしておきます!
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レッド中尉(れっど・ちゅうい)
プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
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ガンダムネタ満載のこの舞台は、許諾関係を創通(版権管理会社)に打診中とのこと。現状では公式のお墨付きはもらっていないようです。まさに「黙認」で行われているという状態。いい意味でヤケクソというか、開き直りで演じられているところが、アングラっぽくてたまりません。
一応メイン演目である「講談」は、普段講談を聞き慣れていない者にとっては、独特の言い回しが聞き取りづらく感じる部分もありました。ただ、ネタがガンダムだけに早口でも聞き取れる単語やセリフも多く、おおむね理解は可能でした。エロネタもあるのでお子様には不向きですが、大人のガンダムファンになら、かなりオススメできる内容だったと思います。
講談師の「旭堂 南半球」氏は、特注のジオン紋の入った着物を身に付け、ガンダム世界を自身の弁舌で表現。お笑い要素が多く、肩肘張らずに楽しめるところが好印象でした。以下に当日の演目内容のレビューを書いてみます。
■ニュータイプ芸!"がんだむ講談会"
<本日の作戦>※入場時にもらったペーパーによると演目=作戦らしい。(1)『ガルマ=ザビ国葬』(演説:総帥演説保存会)
かの有名なギレン総帥の演説を再現(ギレン役は南半球氏)。最後の「ジークジオン! ジークジオン!」部分は、他出演者が観客席側から発声していた模様(暗くて目視はできず)。なんというバーチャル国葬。終始シリアスで通したところがすごい。想像以上の本気度にちょっとたじろいでしまいました。
会場入り口に貼ってあったチラシ。ジオン女子がドムのお面を額に装着している写真が素敵なんです。 |
(2)『恋のビームライフル』(歌:ニイラ=マス)
「軟弱者! あなたみたいな人、サイド7にひとりで残っていればいいんです!」という、セイラさんがカイに平手打ちを喰らわせて言い放ったセリフから始まるロック歌謡の熱唱が突如展開。地下アイドルっぽい長髪黒髪の女性が「チュッチュ~ル、チュッチュッチュル~♪」と口ずさみながらノリノリ。歌や踊りが妙に上手いところがなんとも……。観客はどう反応してよいのか分からず、唖然呆然。かろうじて最後に拍手はできたようです。
~ドダイ組み立て~
※人が乗れるミニチュアドダイを舞台上で組み立て。整備兵コスプレで粛々と作業進行。
(3)『講談一年戦争記~アナベル・ガトーの奮戦』(講談:旭堂 南半球)
ようやく講談が始まったと思いきや、いきなり0083(OVA)ネタ。ステージ高めです。これは若井おさむにはできない芸当でしょう(彼は所詮、一般向けの吉本芸人)。宇宙要塞ア・バオア・クーでの最終決戦をジオン視点で熱弁。「どぎゅーん、どぅるるるる、だだだだだ!」という戦争ゴッコ的な擬音と共に、モビルスーツも大活躍。このネタは完成するまで5年かかったんだとか……。
(4)『Last Fly』(歌:ディアナ=hime)
迷彩模様のドレスを着た女性の歌謡ショー。台湾アイドルが歌うようなPOPな曲だった気が(うろ覚え)。歌詞のガンダム度は控えめだったような(超うろ覚え)。
(5)『萌えよ!大喜利士官学校』(ガンダム大喜利)
司会は、黒いビキニパンツと生足をチラつかせる変態コスプレ男、シロッコ(※Zガンダムのキャラ・女好き)。大喜利の内容は士官学校の女学生達が、お題に合わせてスケッチブックに回答やイラストを描くというもの。投げやりな司会進行と、グダグダな答えっぷりが妙に面白かったり。お題は「ハイザックを描け!」とか無茶ぶり全開。
(6)『ゲスト来襲』(徳島雅彦監督登場)
『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY(SS)』『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…(DC)』『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙(PS2)』『MS戦線0079(Wii)』等を手掛けたゲーム監督の徳島雅彦氏が緊急参戦! やりたい放題のこの舞台に、オフィシャル側の人間が立つということに対して、司会の南半球氏は大感激。徳島監督は大汗。南半球氏のガンダムゲームへの情熱がほとばしるトークショーとなってました。
~小休止~
(7)『大佐の速さに追いついて』(歌:ニイラ&ザネリ)
「めざせ公認! 負けるな訴訟!」の掛け声も高らかに、「ザク、ザク、ザク、みどり、グフ、グフ、グフ、あお♪」と歌い&踊るジオン女子。曲調は香港系アイドルソング。カラオケの音源に入っているティンパニ(?)の音が燃える。ゴールデン・ハーベスト(※1)の臭いがするぜえぇぇぇっ!!
(※1)ゴールデン・ハーベスト:香港の映画会社。ジャッキー・チェンの映画などで知られる。オープニングのティンパニサウンドには、ヒトの血を沸騰させる謎のパワーがある。
(8)『講談一年戦争記~一週間戦争の悲劇』(講談:旭堂 南半球)
本日の講談第二弾。コロニー落としがあった一年戦争開戦時の戦闘を、ドズル・ザビとランバ・ラルのやりとりを交えて描写。最初は普通に講談を進めてましたが、途中で連邦のマゼラン級戦艦のプラモを取り出し、その恐るべき破壊力について語り出すという急展開。ガノタの知識を披露して、たいそうご満悦の講談師であったとさ(ヲイ)。
(9)『恋のジェットストリームアタック!』(歌:森のくるみ)
ドム三機による連続攻撃をモチーフにしたテクノ歌謡風電波ソング。サビは「わん、つー、すりー、とりぷる~♪」という感じ。聞いてたら脳ミソがゆるゆるになってきました。知能指数が低下する感覚というかなんというか(ほめ言葉)。
(10)『フレンG』(寸劇:劇団ガンダム)
アメリカンスタイルの寸劇。えーと、ビバリーヒルズ高校白書風? シャアとララアとアムロが登場します。シャアがブランドもののサングラスを物色したり、アムロのガンダムがガス欠になったり大騒ぎ! ブラックジョーク多めだったので、これ以上詳しくは書けませんが、あれはいいものだ。
(11)『ジオン女子校』(モビルスーツごっこ)
南半球氏が指導教官として登場。ジオン女子校の生徒達にモビルスーツの操縦訓練を施します。全員が舞台上で円陣を組み、時計回りにモビルスーツっぽく歩行開始。「たーらたった、たーらたった、たららー♪」という教官のガンダムBGM風の掛け声に合わせて、ジャンプしたり、ショルダーアタックしたりします。どうみてもモビルスーツごっこです。本当にありがとうございました。これはガノタなら一度は見ておくべき。
(12)『愛のミノフスキー粒子』(歌:ニイラ=マス)
「あんなの飾りです! 偉い人にはそれが分からんのです! WAAAAAーー!!」とか絶叫する、激しいビートのラブソング(多分)。なかなかいい曲です。気のせいか1970年代のテイストがあったような。
(13)『ジオン第八連隊記~めちゃくちゃ頼もしいジオンの隊長』(講談&演劇)
講談と演劇を織り交ぜたオリジナルストーリーの演目。ジオン最弱と噂された部隊の奮闘と、隊長の生き様が語られます。なかなかの力作でしたが、もう少し全体の構成を工夫してほしかった気がしました。やや中途半端な印象があったので、どうせなら思いっきりパロディに走った方が嬉しかったかも(あるいは完全にシリアス展開にするとか)。この辺りは今後の課題でしょう。
■サプライズ!富野監督も乱入
全ての作戦終了後、出演者のあいさつが終わり、不意打ち的に来場していた大物ゲストの紹介がなされ、会場は騒然&ヒートアップ! その人物は、まさかの富野由悠季監督(ガンダムの原作者)、そして小説家の福井晴敏先生(主な著作:『亡国のイージス』『機動戦士ガンダムUC』)というのだから大物すぎです。この事態に出演者は、全員土下座で「すんませんでした~」と平謝り。福井先生はクールに会釈していましたが、富野監督はやたらご機嫌で、会場のお客さんに満面の笑顔を振りまいてました。伝説を生み出した会場「サンモールスタジオ」入り口。蒸し暑い夏の日に、無駄に熱い演芸が開催された。 |
私も思わぬ大事件の現場に遭遇してしまい大興奮。これは公認獲得への野望に一歩近づいたといってもいいかもしれません。この「ガンダム講談」の今後にますます注目です。気になった人は、旭堂 南半球氏の公式サイトに画像と動画が置いてありますので、チェックしてみてください。ただし、動画ではあのライブ独特の雰囲気は伝わりませんので、機会があれば生で観ることをオススメしておきます!
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プロフィール:東京都在住。アニメ・漫画・アイドル等のアキバ系ネタが大好物な特殊ライター。企画編集の仕事もしている。秋葉原・神保町・新宿・池袋あたりに出没してグッズを買い漁るのが趣味。
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