移動中に音楽を聴いている人って確実に増えていると思う。だって、電車の中や移動中に周りを見渡してみると、ヘッドフォンしてる人がやたらと多いもんね。どのような機器で音楽を聴いているのかもさらに見てみると、iPodを代表とするようなメモリオーディオプレーヤーを利用している人が多いようだ。しかし、最近ケータイで音楽を聴いている人が増えているような感じだ。



ケータイで音楽が聴ければ、ケータイとメモリオーディオプレーヤーのふたつを持ち歩く必要がないから絶対に便利! とこれまで何度も言ってきた。でもでも、バッテリーの問題があって、いざ電話しようって時にバッテリーが少なくなっているっていうのでは本末転倒ってもの。だから、ケータイと音楽再生用のプレーヤーは別にしているって人が多いのだと思うのである。しかし、最近では、音楽に特化したケータイ端末はバッテリーの持ちを重要視してきている。なので、ケータイで音楽を聴く人が増えているのだと筆者は考えるのである。



そんな中、auから楽曲連続再生時間が最大で110時間もあるという端末が発売になった。「W52S」、ソニー・エリクソン端末である。ウォークマンケータイという名称まで与えられているのだ。ただ、名称に関しては驚くことじゃない、以前のモデル「W42S」でも「ウォークマンケータイ」という名称がつけられていたのだから。



■まずは本体のスペックを知っておこう

まずはスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高108mm×幅54mm×厚19.9mm。重さは130g。連続待ち受け時間が270時間で、連続通話時間が230分だ。メインディスプレイはTFTで2.7インチのWQVGA表示(横240ドット×縦432ドット)、最大26万色表示が可能だ。スライド式なのでサブディスプレイはない。



本体をスライドさせた状態のW52S。ボタン類ははけっこう大きめで押しやすい。



メインカメラは、有効画素数201万画素のCMOSで、最大記録サイズが1600×1200ピクセルだ。サブカメラは付いていない。データフォルダ容量は2Gバイト(別途BREW用26Mバイト)と大容量。また、外部メモリ用のスロットが準備されていて、1Gバイトまでのメモリースティックマイクロと2GバイトまでのmicroSDタイプの外部メモリーに対応している。ちなみに外部メモリーは別売だ。本体カラーは「ARPEGGIO BLUE」「PIZZICATO PINK」「HARMONICS WHITE」の3色が準備されている。筆者は「PIZZICATO PINK」を購入した。



本体左側面。左上がロックキー、右上が発信/ペアキーだ。下段左より、外部メモリ挿入口、外部接続端子、イヤホン端子。本体右側面。左よりカメラキー、メモキー、マナーキー、音量キー(大/小)、早送りキー、ミュージックキー/着信ランプ、巻き戻しキーが配置されている。本体裏面。レンズとその下にフォトライト、その下に赤外線ポートがある。レンズの周りにあるのがスピーカーである。



■操作性はかなりいい。でもちょっと気になるところも

さっそく使ってみると、ボタン操作はいい感じだ。ボタンが多いのでダイレクトに利用できる機能が多いのが便利。また、ボタン類もそこそこ大きめなので押しやすい。液晶画面の下にある上下左右のクロスコントローラーの上と下がちょっと押しづらいかな…って感じだろうか。



ボタンでいちばん問題に感じたのが、"電源/終話"キーだ。筆者は電話するとき、どちらかというとスライドさせて電話することが多い。右利きなので、右手で持って通話する。そうするとちょうど親指が"電源/終話キー"の場所にあたるのである。なので、通話中によく電話を切ってしまうのである。この端末を使ってもう2週間近くなるのだが、慣れない。毎日何回か通話中に電話を切ってしまうのだ。それならスライドさせなければいい、と言われそうだがどうもクセで開いてしまうのである。まっ、左手で通話するっていう人にはまったく関係ないのだろうが…。



ボタン類はけっこう大きめ。押しやすい端末だ。発信/ペアキーと電源/終了キーがサイド側についている。押す際にちょっとワンテンポ遅れてしまう感じだ。

メニューなどを開く操作性に関しても、けっこういい感じだ。サクサク表示されるのがいい。ストレスなく操作できるのはありがたい。ただ、ちょっと気になったのはメールが貯まってきたときだ。量が増えるのだから仕方がないと言えば仕方がないのだが、メールの保存容量が増えるとメール操作時の動作が重くなってくるようである。



メールについて書いたので、メール時の文字サイズについても書いておこう。メール時の文字サイズは「最大」「大」「中」「小」「最小」の5通りである。ちょっとめんどうだなと感じるのは、メール閲覧時にサイズを変更できないこと。待ち受け画面からメニューを開き、「機能/設定」-「画面設定」-「文字サイズ」で変更しないといけない。メール閲覧時にその都度替えられるようにすればいいのに…と思うのは筆者だけではないだろう。



最大最小



■内蔵メモリは2GB、microSDにも対応しているが

さて、音楽機能について書いておこう。

まずは内蔵メモリの2Gバイトについて。2Gバイトもあるから、かなり音楽データを入れて持ち運べるため、外部メモリも買う必要もないと思っていた。しかし。SONY独自の企画であるATRAC形式の音楽データは512Mバイトしか入れることができないのだ。パンフレットや取説にはATRAC形式の音楽データは512Mバイトしか入らないとは一切書いてない。書いてあるのは「本体のデータフォルダは、ATRAC専用の領域(512Mバイト)とデータフォルダ領域(1451.4Mバイト)に分かれていて、保存領域をデータフォルダ領域のみに変更することができる」というような感じのこと。となると、ATRAC形式で音楽データをたくさん利用したい場合には、外部メモリも必要になるってわけだ。



外部メモリはmicroSDとメモリースティックマイクロに対応しているが、新たな企画であるメモリースティックマイクロは、今のところこのW52Sだけにしか対応していない(使える機器がないってこと)。なので、わざわざそれを買わなくてもmicroSDでいいや、ってことで納得していた。しかし、しかしだ。ATRAC形式の音楽データなどで、著作権保護が設定されているデータに関してはメモリースティックマイクロにしか対応していないということなのである。



左がmicroSCカード、右がメモリースティックマイクロ。



W52Sで音楽を扱うためには、auが提供している「auMusicPort」か、SONYが提供している「SonicStage」を利用する。「auMusicPort」は音楽以外に、スケジュールやアドレス帳などの管理も可能。W52Sでダウンロードした着うたやビデオクリップのバックアップもできるの便利。ただ、CDの録音などは非常に時間がかかる。「SonicStage」は、音楽データのやりとりしかできないが、録音や転送ははるかに速いというメリットがある。



auMusicPort。内蔵メモリ(データフォルダ領域)とメモリースティックマイクロ、microSDカードに対応。SonicStage。内蔵メモリ(ATRAC領域)とメモリースティックマイクロに対応。microSDカードは認識しない。

■2.0メガピクセル・オートフォーカスカメラの性能は?

auから発売されているソニエリ端末のカメラ機能は、それほど悪くないと思っている。飛び抜けてここがいい…というわけではないし、ここが絶対ダメ…ということもない。持ち歩いてさっと撮る…ということを考えるとけっこうバランスがいいカメラだと筆者は思っているのだ。



今回のW52Sに関してもやはりそれは同じ。そこそこいい感じで撮影ができていると思う。ひとつ直して欲しいな…と思うところは、シャッター音が異様に大きいこと。盗撮などの問題からシャッター音を出すのは仕方がないこととはいえ、あまりに大きいので、静かなレストランで食べたものを記録しよう…などと撮影すると、周りから注目を浴びてしまったりすることになるのである。もうちょっと小さいとありがたいと個人的には思っているのだ。さて、それでは、実際に撮影した写真を見ていただこう。



●晴天時に撮影した写真




●曇天時に撮影した写真




●屋内で撮影した写真




●マクロモードで撮影した写真




●蛍光灯下(左)と電球下(右)で撮影した写真




●標準モード(左)と夜景モード(右)で夜景を撮影した夜景






■Kijimoto's EYE

このW52Sを使って思ったのは、けっこう使いやすい端末だってこと。持ちやすいし、操作もしやすい。問題に感じたのは誤動作が多いってこと。本体の周りにボタンが多いせいか、鞄の中やポケットの中でよく動作しているってことが多いのである。



たとえば音楽が急に再生されたり(ミュージックキーの長押しで音楽の再生がはじまるのだ)、ペア機能が起動していたり(発信/ペアキーを押すと起動する)…など。ロックキーもあるのだが、ロックしていないのにロックされていたり、ロックしていたのにはずれていたり…ということも少なくない。ロックキーはスライド式なのだが、スライドさせて何秒っていう操作でなく一回スライドさせるだけでロックがかかったりはずれたりする。しかも指がすべりづらいようになっているから、鞄の中でものにあたったり、ポケットに入れる際に服にすれたり…などでロックキーが動いてしまったりするのだと思う。



ロックキー



問題に感じたのはそれぐらい。あとは、けっこう使いやすいので気に入って使っている。音楽に特化しているとはいえ、音楽を聴かないっていう人でも使いやすいケータイだと思うのである。



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W52S

au



編集部:木地本 昌弥

「パソコンですぐできる写真俳句」(毎日新聞社) 「その場で解決!ファイル操作とデータ管理」(技術評論社)など50冊以上の書籍を執筆。携帯電話やパソコン、IT関連から取扱説明書まで執筆ジャンルは幅広く、ITジャーナリスト・携帯電話評論家としてテレビやラジオ、講演もこなす。詳細は、著者のホームページ「我流珍述」プロフィールページまで。



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