このあいだ、新聞を見てびっくりした。ドコモのことをはっきりと"独り負けドコモ"と書いてある。まさかこんなことになるとは…。「そろそろ反撃してもいいですか」という広告で、au、SoftBankなどにライバル心むき出しにしたドコモ。反撃のための最初の一撃が904iシリーズで、その第一弾として発売されたのが「N904i」と「SH904i」だ。筆者もさっそく購入して試してみた。はたしてドコモは反撃はできるのであろうか?



■N904iの本体を見てみよう

今回は「N904i」のレビューをお届けする。

まずはスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高104mm×幅49mm×厚18.9mm。重さは113g。連続待ち受け時間が静止時で610時間、移動時で460時間。連続通話時間が音声電話時で180分、テレビ電話時で100分である。



正面から見たN904i。モノクロ表示の有機ELはけっこう見やすい。おサイフ機能を使う場合、こちら面をかざす。



メインディスプレイはTFTで3インチのワイドVGA表示(横480ドット×縦854ドット)、最大26万2,144色表示が可能だ。サブディスプレイはモノクロ有機ELで0.9インチ、64×96ドット表示である。メインカメラは、有効画素数320万画素のCMOSで、最大記録サイズが2,048×1,536ピクセルだ。サブカメラは有効画素数33万画素のCMOSカメラである。



本体左側面。液晶側にアシストキー、ボタン側に左よりプッシュトークボタン、音量大ボタン、MEMO/CHECK/音量小ボタンが並ぶ。本体右側面。右よりイヤホンマイク端子、microSDメモリカードスロットが用意されている。



データフォルダ容量は公表されていない。外部メモリ用のスロットが準備されていて、2GバイトのmicroSDタイプの外部メモリーに対応している。ちなみに外部メモリーは別売だ。本体カラーは「Day and Night」「Orange Cut」「Pink Soda」「Urban Blue」の4色が準備されている。筆者は「Orange Cut」を購入した。



本体裏面。カメラのレンズとその下にライトが並んでいる。

■904iシリーズよりはじまった新しいサービス

904iシリーズの発売とともに「うた・ホーダイ」「直感ゲーム」「2in1」というサービスが開始した。



「うた・ホーダイ」は、音楽データのダウンロードが定額になるというサービス。音楽をダウンロードしてよく利用するユーザーにはたいへんありがたいサービスだ。「うた・ホーダイ」に対応しているサイトをマイメニューに登録することで、そのサイトで配信している曲を何曲でも定額でダウンロードできるサービスである。定額料金はそのサイトによって異なる。ちなみに「Napster」では月額1,980円である。904iシリーズは全機種対応だ。



「直感ゲーム」とは、ケータイを傾けたり振ったり、手をかざしたり体を動かしたりすることで操作するゲームのことだ。対応機種はD904iとP904iとSH904i。今回のN904iでは残念ながら利用することはできない。



そして「2in1」は、月額945円(税込)で、2つめの電話番号(メールアドレス)に対応するサービスのこと。1台で2つの電話番号が使えるのが便利である。これも904iシリーズは全機種対応である。筆者も実際に「2in1」の契約をしてみた。筆者の場合、2つの電話番号ともに新規であったので問題はなかったが、機種変更などの場合にはちょっとした問題も発生することがあるようだ。それは年間契約や、これまでたまっていたポイントなどで、1つめの電話番号に対しては、それが継続されるが、2つめの電話番号に対してはすべてチャラになってしまうようなのである。



それと、難しいのが設定の方法だ。一つの電話にかかってくると着信し、もう一つの電話番号にかかってきた場合は留守電にするなどといった複雑な設定方法がまったくマニュアルに書いてないのである。ドコモインフォメーションセンターに問い合わせたところ、最初の受付の人には「そういった設定にはできない」と説明され、次にかけ直すと「1つめの電話番号を受けるモード(「Aモード」という)で設定できる。それは同梱されている『ご利用ガイドブック 2in1編』という冊子に載っている」という。しかし、どれだけ探してもそんな冊子はみつからない。SH904iにもついていないし、F904i(購入済み)にも入っていなかった。しかたなくドコモショップにもらいに行ってきたというワケだ。



なるほど、確かに冊子をみれば、カンタンだがきちんと概念や設定方法が書いてある。これから904iシリーズを買って「2in1」を契約するという人は、この冊子が入っているか確認した方がいいだろう。



FOMAご利用ガイドブック「2in1編」



新しいサービスの場合にはいつもそうだが、インフォメーションセンター内の通知が徹底していないのか、勉強不足なのか、問い合わせても受付の担当者が知らないケースが多すぎる。わからないならわからないと答えてくれたらいいものの、知らない知識をさも知っているかのように説明されるのは困ったものだ。今回は筆者がそういった設定ができることを知っていたので、再度聞き直したからよかったものの、知らなければそういったことができないとずっと思ってしまっていたはずだ。最近では、ドコモだけでなく、他のケータイ会社、それ以外にもパソコン関連、ソフト関連のサポートなど同じような傾向が増えたような気がする(すべての会社ではないが)。電話に出た以上、プロ意識を持ってやってほしいものである。

■エンターテインメント性に長けたN904i

N904iの特長はエンターテインメント性。最大10Mバイトまでのiモーションを直接ダウンロードできる。HIGH-SPEED対応なので、ダウンロードはかなり速い。もちろん音楽のダウンロードもOK。また、HIGH-SPEEDは、ダウンロードだけでなくサイトを見たりする際も速さが感じられるはず。ただし、時間帯に応じては速さを感じられないときもあった(アクセスの多い時間帯はかなり遅くなる傾向にあるようだ)。



「転校生」という映画の予告編がインストールされている。このデータが大きいのがちょっと問題。本体にほかのデータをダウンロードしたい場合は、このデータを消す必要がある。



音楽は「うた・ホーダイ」や「ミュージックチャネル」、「WMA(Windows Media Audio)」、「SD-Audio」に対応。WMAは「Windows Media Player」を利用することでN904iにCDなどの音楽を取り込むことができる。また、SD-Audioは「SD-Jukebox」を利用することで、N904iにCDなどの音楽が取り込めるのである。その際、別売のUSBケーブルが必要なことを忘れないように。



また、接続の際に注意することがある。それは接続方法だ。N904iは、USBモードとして「通信モード」「microSDモード」「プリントモード」「MTPモード」が準備されている。これを切り替えて使うわけだが、Windows Media Playerと接続する際には「MTPモード」、SD-Jukeboxと接続する際には「microSDモード」を利用しないといけない。SD-Jukeboxの場合には、そのモードでないと認識してくれないので音楽を転送することができない。しかし、Windows Media Playerの場合、対応していない「microSDモード」でも認識して転送してしまうのだ。しかし、N904iのマルチミュージックプレーヤーからはそのデータが認識できないので、利用できないのである。



いちどそのモードで転送してしまうと、次から正しい「MTPモード」で接続してもWindows Media PlayerはN904iを認識してくれないので要注意だ。もし、誤って使用してしまった場合には、microSDカードを初期化するか、「microSDモード」でパソコンと接続して、転送した音楽データを削除すれば利用できる。



マルチミュージックプレーヤー。プレイリストを作っておけば、WMA、SD-Audioを意識することなく聴くことが可能だ。Windows Media Player。N904iをMTPモードに設定してUSBケーブルでパソコンと接続すれば、WMAをN904iに転送することができる。SD-Jukebox。N904iをmicroSDモードに設定してUSBケーブルでパソコンと接続すれば、SD-AudioをN904iに転送することができる。



そしてフルブラウザ。ビューアタイプとスタンダードタイプが準備されている。ビューアタイプはじっくり見ることに長けたモード。スタンダードタイプはケータイと連携させたりすることに長けたモードである。



フルブラウザ"ビューアタイプ"。見たい部分を好みのサイズに拡大することができる。ビューアタイプ時。URL入力時にはこのようなウィンドウが表示される。フルブラウザ"スタンダードタイプ"。最大5つのウィンドウをタブで表示させることができる。



これらのエンターテインメント機能を楽しませてくれるのが3インチの大画面である。ワイドVGA表示で横480ドット、縦854ドットが表示できる。かなり高精細できれいなのがありがたい。メールを閲覧する際の文字サイズは「縮小表示2」「縮小表示1」「標準表示」「拡大表示1」「拡大表示2」の5通りが準備されている。



縮小表示2縮小表示1標準表示拡大表示1拡大表示2

■暗いところに弱いカメラ機能

N904iのカメラは、320万画素のCMOSカメラ。オートフォーカス機能付きだ。以前のNシリーズのカメラに比べたらかなりキレイに撮影できるようになった。ただ、それでも写真がキレイだと言われているケータイに比べると、シャープさに欠ける、ぼけた感じがする、色がにじんでいる…といった傾向にはあるようだ。また、暗いところには弱いようで、ノイズが多く荒れた画面になってしまう。それと、レンズの位置もかなり悪いと思う。撮影する際に普通に持つとどうしてもレンズに指がかかってしまうのだ。さっと撮影した際に、意識していたにも関わらず指が画面の下の方に写っているということが多々あった。



さて、それでは実際に撮影してきた写真を見ていただこう。このN904iは初期の設定で手ぶれ補正がオンになっているのでそのまま撮影している。



●うっかり指が写ってしまった写真






●晴天時に撮影した写真






●晴天時の夕方に撮影した写真






●屋内で撮影した写真






●接写モードで撮影した写真






●蛍光灯下(左)と電球下(右)で撮影した写真






●夜景を標準モード(左)とナイトモード(右)で撮影した写真






●手ぶれ補正をオフにして、夜景を標準モード(左)とナイトモード(右)で撮影した写真






■Kijimoto's EYE

このN904iは、イタリアのデザイナーステファノ・ジョバンノーニ氏とのコラボレーションモデルである。筆者個人の好みではあるが、最初見たときからポップでキュートでいい感じって思っていた。手にして思ったのは軽いってこと。常に持ち歩く端末は軽いのがいいわけで、持ったときに感じる軽さはかなりありがたいのだ。



ちょっと気になったのはヒンジのぐらつきだ。閉じたとき、開いたとき、共にヒンジ部分にぐらつきを感じるのだ。問題はないのだろうが、長期間使った場合、ぐらつきが増えるのではと、ちょっと不安に思ってしまった。



そして最後にボタンだ。Nのボタンは独特で、これまでは「#」キーに「゛」や「゜」や「@」などが設定されていたが、今回のモデルから他の端末と同じように「1」キーに「@」や「/」など、「*」キーに「゛」や「゜」が設定された。これまで違う端末を使っていた人にとってはなんの違和感も感じないだろうが、Nユーザーにとってはかなり違和感があるはずだ。Nに慣れていれば慣れているほど、それは感じるはず。この変更がよかったのか悪かったのかは、ユーザーによって大きく意見の分かれるところだろう。購入する際は、キーの設定が変わっているということも注意しよう。



N904iとN903i。キーアサインが変わっていることのでこれまでのNユーザーは注意しよう





■これもオススメ!ケータイ最新ニュース

2in1でドコモの反撃はあるのか? 2007年夏モデルにみるドコモの可能性

日本のケータイビジネスはぬるい?激烈な海外の新製品発表競争と格差

安全対策は万全か?各社の"子ども用ケータイ"を総チェック

追撃する"au"と"SoftBank"!夏モデルの"オススメ機種"を探せ!

超!!薄いケータイ、ソフトバンクの708SCを買ってみた



N904i

NTTドコモ

ドコモ2.0



編集部:木地本 昌弥

「パソコンですぐできる写真俳句」(毎日新聞社) 「その場で解決!ファイル操作とデータ管理」(技術評論社)など50冊以上の書籍を執筆。携帯電話やパソコン、IT関連から取扱説明書まで執筆ジャンルは幅広く、ITジャーナリスト・携帯電話評論家としてテレビやラジオ、講演もこなす。詳細は、著者のホームページ「我流珍述」プロフィールページまで。



Copyright 2007 livedoor. All rights reserved.