春モデルの怒濤のリリースラッシュが終わり、次期モデルがドコモから発表になり、それに続き、au、ソフトバンクともに夏モデルを発表になった。めぼしい機種のレビューも一段落し、どうせレビューを書くなら、「これはっ!」というような何かがほしいということで、「世界最薄」(※)というソフトバンクの708SCを購入してみたのである。



折りたたみタイプのケータイが世に出始めた頃、ちょうどケータイ業界は"最軽量モデルはいったいどこ?"という感じで端末の軽量化の方向に進んでいた。調べてないのでうろ覚えだが確か60g台まで出ていたと思う。その頃、折りたたみモデルの人気が出てきて、どこもかしこも折りたたみケータイにシフトしていったのを覚えている。重さについても軽量化の波が途切れ、一気に100gを超え、重いタイプだと150gもあるようなモデルもあるといった感じになっていったのである。



そして"高機能化"、"高付加価値化"時代へとシフトしていく。その中で、そこそこ軽いモデルは、何社か作ってはいたが、100g以下のモデルはなかなか出てくることはなかった。ケータイ好きの間でも軽い方がいいよね、と言いながらもそれほど軽量化を切に求めることはなかったのである。



ところが、昨年あたりから薄くて軽いモデルが登場し始め、薄いタイプが何社からか相次いでリリースされだした。



現在のケータイの流れは高機能化、高エンターテインメント化に向かう一方、薄型化の方向にも向いているような感じである。それだけユーザーの求めるものが多様化しているということであろう。



※カタログには、2007年1月25日現在となっている。


■とにかく薄い!さすが最薄モデル708SC

なんだかんだ言う前に、まずはスペックを紹介しておこう。数値につく"約"は省略させていただいた。サイズは高112.4mm×幅50.4mm×厚8.4mm。重さは73g。連続待ち受け時間がW-CDMA網時230時間(GSM網時260時間)、連続通話時間が音声電話時でW-CDMA網時165分(GSM網時320分)、TVコール時で110分である。メインディスプレイはTFTで1.9インチのQVGA表示(横320ドット×縦240ドット)、最大26万色表示が可能だ。ストレートタイプなのでサブディスプレイはない。

正面から見た708SC。液晶は横に広いランドスケープ型液晶画面だ。本体裏面。左上にカメラのレンズがある。フラッシュ、ライト類は付いていない。

メインカメラは、有効画素数200万画素のCMOSで、最大記録サイズが1,600×1,200ピクセルだ。サブカメラは有効画素数30万画素のCMOSカメラである。データフォルダ容量は最大20Mバイト(共有)。外部メモリ用のスロットが準備されていて、2GバイトのmicroSDタイプの外部メモリーに対応している。ちなみに外部メモリーは別売だ。



本体カラーはブラウン、シルバー、ブルーグリーン、ロイヤルブルーの4色が準備されている。筆者はブルーグリーンを購入した。



本体左側面。上下のサイドキーと充電端子/外部接続端子がある。本体右側面。メモリカードスロットとカメラボタンがある。

実際に購入してみて思ったのはやっぱり薄いってこと。ただ、重さが73gとこれまた軽いのだが、思っていたよりは重く感じる。重く感じるというよりも、軽いわりにきちんとした質感が感じられるという印象だ。



また、薄型端末でいちばん問題となるのがボタンだ。どのボタンに触れているかわからないという凹凸のないボタンではなく、多少凹凸が作られているため、どのボタンを押しているか間違えることは少ない。



ただ、上下左右へのマルチファンクションボタンと真ん中にあるメニューボタン/中央ソフトキーは、近すぎるため真ん中のボタンを押したつもりが下方向ボタンを押していたりするなどの押し間違いがあるようだ。押し間違いをしやすいとわかっていても押し間違えてしまったので、ちょっとイライラさせられることが多かった。



筆者が現在メインで利用しているauのW52Tと比べるとこれぐらいの厚さの違いがある。ちなみにW52Tの厚さは22mmだ。

それと、ボタンだけをみれば押しづらいということはないのだが、持って押すことを考えると多少押しづらさを感じるかもしれない。この708SCはストレートタイプなので、各ボタンが本体中央よりも下の方に配置されているため、多少本体の下の方を持ってボタンを親指で押すことになるのだが、本体が薄いため落としそうな感じになることがある。


各ボタンには多少だが凹凸が設けられている。厚めの端末だと手のひらに乗るのでバランスが悪くなることはないが、薄いと手のひらに乗らないので、親指の腹と中指、薬指あたりで挟むように持たないといけないのだ。

横幅の広いランドスケープ型液晶画面は、パソコンを使っているものにとっては違和感なく使えるだろう。この708SCは、メールを見る際の文字サイズは、「大」「標準」「小」と変更することが可能だ。



文字サイズ「大」文字サイズ「標準」文字サイズ「小」



■薄い上に、機能はかなり豊富

708SCには、メディアプレイヤーが搭載されていて、mp4、3GPのMPEG4 Audio(音声のみ)と、mp4、3GPのMPEG4ムービーに対応している。同梱されているCD-ROMに「Samsung PC Studio」というソフトが収録されているので、パソコンにインストールすることで708SCとパソコンを接続して、連絡先を管理したり、パソコンのOutlookと同期させたり、ファイルの管理をしたり、音楽や動画のファイルのやりとりをすることができる。



Samsung PC Studio。708SCとパソコンを接続して708SCのデータが管理できる。「Multimedia Manager」を起動すれば、音楽CDから楽曲を取り込んだり、ムービーを708SCに転送したりすることができる。

Bluetoothに対応しているので、ケーブルレスでパソコンと接続することもできるし(Bluetoothに対応しているパソコンと)、ヘッドセットで音楽を聴いたり通話したりすることもできる。



そして、ワードやエクセル、パワーポイント、PDFに対応したビューワーが用意されているので、それぞれのファイルを閲覧することも可能。それも保存されているファイルを閲覧できるだけでなく、メールに添付されているファイルの閲覧も可能なのでけっこう重宝するはずだ。



メールに添付されてきたエクセルのデータを表示してみたところ。

■そこそこ役に立つカメラはけっこう重宝



ケータイのカメラはさっと取り出してさっと撮るという使い方から考えると、この708SCのカメラはけっこう便利だ。サイドにあるカメラキーの長押しで起動し、もう一度押すことで撮影が完了する。



オートフォーカス機能は準備されていないので押したらすぐに撮影が実行される。また、マクロ機能は用意されていない。ケータイの大きさや薄さ、それとカメラのスペックだけを見ていると、使えなさそうな感じと思いがちだが、実際に撮影してみるとそこそこキレイなので、筆者はそれなりに使いものになると思うのだがいかがだろうか。


●晴天時に屋外で撮影した写真


●屋外光の入る屋内にて撮影した写真




●屋内で撮影した写真




●蛍光灯下(左)と電球下(右)で撮影した写真




●夜景を標準モード(左)と夜モード(右)で撮影した写真






■Kijimoto's EYE:

この端末を実際に使ってみて便利だと感じたのは持ち歩いたときだ。筆者は胸ポケットにケータイを入れることが多いので、この薄さ、この重さはありがたい。重さで胸ポケットが下にずれようとすることもないし、胸ポケットが膨れるってこともない。



ただ、薄さで犠牲にしているのが操作性で、やはりどうしても打ちづらいという印象は否めない。多少は慣れるのだろうが、やはり小さく作ってあるだけに使いづらさはしかたがないのかもしれない。小さくて軽くて機能が豊富なのでけっこういい端末だと思うが、多少犠牲にしているところもあるということを認識して購入した方がいいだろう。



話は変わるが、この端末について人と話をしていて気づいたのだが、「最薄ケータイ」を「さいうすケータイ」って言う人が多い。「さいはくケータイ」がしっくりくると筆者は思うのだが、テレビなど見ていても「さいうす」と言う人が多い。とにかく、重箱読みして送り仮名をはずしてってなんか違うなぁって感じがするのは筆者だけなのかな。そういう読み方をするなら「超薄(ちょううす)ケータイ」の方がしっくりくるような気がするのだが。





■これもオススメ!ケータイ最新ニュース

安全対策は万全か?各社の"子ども用ケータイ"を総チェック

ついに夢の2Mbps超え!高速通信カード"FOMA M2501 HIGH-SPEED"を徹底チェック

出先で利用するのはどれがオススメ? 最新の"カード型通信端末"をチェック

びっくりケータイ集合!こんなものまであるのか?中国面白携帯事情

PHS高度化通信の限界に挑戦!W-OAM typeG対応通信カード"AX530IN"を徹底チェック



708SC

ソフトバンクモバイル



編集部:木地本 昌弥

「パソコンですぐできる写真俳句」(毎日新聞社) 「その場で解決!ファイル操作とデータ管理」(技術評論社)など50冊以上の書籍を執筆。携帯電話やパソコン、IT関連から取扱説明書まで執筆ジャンルは幅広く、ITジャーナリスト・携帯電話評論家としてテレビやラジオ、講演もこなす。詳細は、著者のホームページ「我流珍述」プロフィールページまで。



Copyright 2007 livedoor. All rights reserved.