コンピューターウイルスやスパムなど、セキュリティが声高に叫ばれる世の中ですが、それにもかかわらず一向に減らないのが個人情報の流出です。セキュリティ関連のニュースを見ると、毎日のように個人や企業などの機密情報流出事件が報道されています。



なかでも有名なのは、"Winny"による情報流出事件でしょう。企業の機密情報や個人情報の流出が社会問題になったり、はてはプライベートで撮影したアダルト画像がネットに流出し、2ちゃんねるやmixiが炎上する騒ぎも起こるほどです。



livedoor リサーチのアンケート【情報流出】「あなたが見かけたことのある流出場面は?」の結果でも、"ファイル交換ソフトを利用した流出場面を見たことがある人"は11.46%と、10人に1人以上もいるという結果が出ていることからも伺えるように、他人事として安心できない恐ろしい事件となっています。



どうしてWinnyによる情報流出は後を絶たないのでしょう?



■Winnyってなんだろう

Windowsで動作するピア・ツー・ピア(以下、P2P)技術を利用したファイル共有ソフトです。元・東京大学院で助手をしていた金子勇氏が開発を手がけ、2002年に"2ちゃんねる"でベータ版が公開されました。金子氏は、開発を宣言した掲示板のレス番号から、一部では"47氏"とも呼ばれています。



■名前の由来

ちょうど開発当時に流行していたファイル共有ソフト「WinMX」の名前をもじり、次を目指すという意味を込め、"MX"のアルファベットを一つずつ進めた「WinNY」に由来しています。



■Winnyでファイルが無限増殖する?

WinnyはP2P技術をつかってファイル共有を行います。P2Pとは"Peer to Peer"を略したもので、複数のコンピューターが1対1で対等に接続する通信形態を指し、クライアント-サーバモデルの対比にあたる用語です。



この方式の特長は、ファイル共有に中央のサーバーを必要とせず、互いのコンピューターが互いにファイルを共有する仕組みになっていることです。そのため、システムの障害に対して非常に強い利点があります。



その反面、ファイルをダウンロードしたコンピューター以外にも、中継するコンピューターに"キャッシュ"という形でファイルが残り、表面上は見えませんが、次々ファイルが広まっていく性質を持っています。つまり、人気ファイルをダウンロードすればするほど、多くのコンピューターにファイルが拡散します。これが、Winnyで一度流出したファイルの根絶が事実上不可能といわれている理由です。



■どんなファイル交換されているの?

ネット上ではどんなファイルが交換されているのでしょう? Winnyでは、ユーザー同士が設定した条件により、自動でファイル交換を行うことができますが、交換されるファイルは以下の3つが主だといわれています。



・アダルト画像やアダルト動画

・違法コピーされたソフトウェア

・音楽や映像などのコンテンツ



■Winnyは違法か、違法でないのか

Winnyは違法なのか?ということがたびたび議論されますが、ファイル共有ソフトやP2Pそのものは違法ではありません。問題なのは、著作権の存在するファイルを無断に交換した場合で、利用の仕方によって合法・違法が区別されます。



効率の良いファイル共有や匿名性を持つWinnyは、違法なファイル交換に好都合とされ、利用者が急速に拡大しました。



そして、2003年11月、京都府警察ハイテク犯罪対策室により、著作権違反容疑で初めてWinny利用者2名が逮捕される事件が起こりました。翌年5月、著作権侵害行為を幇助した共犯容疑で、開発者の金子氏も逮捕されるにいたります(現在も裁判で係争中)。



警察側は、逮捕の理由はソフトウェアの開発行為ではなく、著作権法の違反を蔓延させようとした行為にあるとしましたが、ソフト開発自体に刑事事件での違法性が問われたと認識され、日本では非常に稀なケースとして注目を集めました。



■なぜ流出は起こるのか?

Winnyで配布されるファイルに"Antinny(アンチニー)"などのウイルスが仕組まれ、ファイルを実行して感染した場合、情報流出が起こります。



有名なWinny向けウイルスにはどんなものがあるでしょう?



●Antinny

感染すると、Winnyユーザーのデスクトップのファイルやデスクトップを画像にし、圧縮したファイルを勝手に公開します。愉快犯的なウイルスの総称で、さまざまな亜種が発見されています。



●山田オルタナティブ

感染したパソコンをWebサーバーとして機能させ、デスクトップのキャプチャ画像に加え、ハードディスクに保存したすべてのデータを公開します。個人情報を含めた全データが誰でもダウンロード可能になるという、恐ろしい"暴露ウイルス"です。



■流出を防ぐためには

2006年3月、頻発するWinnyよる情報漏えいに対して、当時の官房長官・安倍晋三氏が「情報漏洩を防ぐ最も確実な対策は、PCでWinnyを使わないことです」と呼びかけたとおり、Winnyはウイルスの侵入経路として危険が高いため、重要なデータを保存したパソコンで使わないことが一番の対策でしょう。



また、Winnyを含むセキュリティ全般にいえることですが、ウイルス対策ソフトを導入して、パターンファイルを最新の状態に保ち、定期的にスキャンすることも効果的です。



インターネット上にある、ウイルスの感染を調べるフリーソフトや無料の駆除ツールを活用するのもいいでしょう。





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