パナソニックのケータイでワンセグ放送対応の「P903iTV」が発売になった。去年の3月にドコモの"ワンセグケータイ"の第一弾として登場したのが「P901iTV」。約1年を経てのパナソニック端末第2弾の登場である。

■本格派ワンセグケータイ"P903iTV"

まずはカンタンにスペックを紹介しよう。数値につく"約"は省略させていただいた。

サイズは高110mm×幅50mm×厚22mm(突起部26mm)。重さは139g。連続待ち受け時間が静止時で670時間、移動時で440時間、連続通話時間が音声電話時で195分、テレビ電話時で130分である。ワンセグ視聴時間は標準時で5時間20分、ECOモード時で7時間だ。



正面から見たP903iTV。写真では分かりづらいが意外と大きく感じるボディである。机に置いて見る場合には、このスタイルで見るのが便利だ。このスタイルは"ビューアスタイル"という。

メインディスプレイはTFTで2.8インチのWQVGA表示(横240ドット×縦400ドット)、最大26万2,144色表示が可能だ。サブディスプレイは有機ELで0.8インチ、白色一色表示である。メインカメラは、有効画素数320万画素の"νMaicovicon"で、最大記録サイズが2,048×1,536ピクセルだ。サブカメラは有効画素数11万画素のCMOSカメラである。データフォルダ容量は公表されていない(音楽関連としての保存容量は34Mバイトとパンフレットに載っている)。



開くとこんな感じ。液晶画面は約2.8インチだ。

外部メモリ用のスロットが準備されていて、2GバイトのmicroSDタイプの外部メモリーに対応している。ちなみに外部メモリーは別売だ。本体カラーはシルバー、ブルー、レッドの3色が準備されている。筆者はレッドを購入した。



本体左側面。上部左にサイド表示ボタン、下部左にmicroSDメモリカード差し込み口、真ん中にプッシュトークボタンが配置されている。本体右側面。ボタン類はすべて下部に配置されている。右からイヤホンマイク/AV出力端子、チャンネルボタン、音量ボタン、TV/録画ボタンだ。本体裏面。上部真ん中にカメラのレンズ、その左側にフォトライトが配置されている。本体下部。上側に赤外線ポート、下側に外部接続端子がある。





■"ワンセグ"を満喫するための端末

この端末は、なんといってもワンセグ放送を楽しむために作られたって感じの端末だ。



まず大きな特長が受信感度の良さであろう。可倒式ホイップアンテナ以外に本体に内蔵されたアンテナがあり、2つのアンテナで受信した信号を合成するという方式をとっているという。いくつかのワンセグ対応端末(ドコモだけでなくau、ソフトバンクも含めて)を持ち歩いてテストしてみたところ、本当に受信感度がいいことがわかった。P903iTVが普通に受信できているのに、ほかの端末がブロックノイズが出ているというような場合が多々あった。数値でデータを取ったわけではなく、筆者が見ての判断なのでアバウトなのだが、見てすぐわかるぐらいの差なので間違いはないだろう。



ただし、ちょっとした問題もある。ふたつのアンテナで受信したデータを合成するためか、表示されるのがワンテンポ遅いのだ。ほかのワンセグ端末と並べて見ると、ちょっと遅れて表示されるのである。遅れると行ってもコンマ何秒とかコンマゼロ何秒ぐらいの、瞬きするぐらいの遅れなので、P903iTVのみを利用している場合は気づかないはずなので問題ではないのだろう。



可倒式ホイップアンテナ以外に、本体内部に内蔵アンテナある。可倒式ホイップアンテナを出さなくてもワンセグ放送を見ることができる場合もある。





次に大きな特長が連続視聴時間だろう。パナソニック独自のLSI「UniPhier(ユニフィエ)」とディスプレイの明るさを自動調整する"液晶AI"によって省電力化に成功、ECOモードなら最長7時間も視聴できるようになった。通勤時などに見たいっていうユーザーにはかなりうれしい仕様といえるはずだ。



そして、録画予約ができるのもありがたい。本体だけなら30分だが、2GバイトのmicroSDカードを利用すれば13時間も録画が可能となる。効率っていう面で考えると、やはり録画予約して自動的に録画してくれるというのは便利だ。筆者もかなり活用しているのだ。



もちろんメールしながらワンセグを視聴したり、録画した映像を早送り再生したりなど、最近のワンセグ端末には付いている基本機能は、しっかり搭載されている。



次のページでは、P903iTVのワンセグ・音楽機能を見ていただこう。

■"SD-Audio"対応の音楽機能

次は音楽機能についてだ。P903iTVは"着うたフル"はもちろんのこと、SD-Audioにも対応している。付属している「SD-MobileImpact」をパソコンにインストールすれば、CDからリッピングしたり、パソコンに保存されているMP3形式の音楽などをP903iTVで利用できるように変換することも可能だ。


SD-MobileImpact。別売だがFOMA USB接続ケーブルを利用することで、パソコンとP903iTVをダイレクトに接続して音楽データのやりとりが可能になる。ちなみにこれはカンタンモードで起動したところ。





この「SD-MobileImpact」は音楽だけではなく動画も扱うことができる。P903iTVで録画したワンセグのデータをバックアップすることができるのだ(もちろんパソコン側で見ることが可能)。



SD-MobileImpactを使ってP903iTVで録画した動画を取り込んでみた。動画データは容量が大きいのでパソコン側に取り込んで保存できるのはありがたい。こちらは通常モードで起動したところ。

■揃えておきたい「ワイヤレスイヤホンセットP01」

ワンセグや音楽を楽しむなら、購入しておきたいのが「ワイヤレスイヤホンセットP01」である。これはBluetoothに対応したワイヤレスイヤホン。P903iTVは、Bluetoothに対応しているので、ケーブルレスでワンセグ放送や音楽を楽しむことができるのだ。もちろん通話も可能である。ワンセグの音声も聴くことができるのも大きな特長だ。



注意してほしいのは、ワンセグ放送の音声出力は、著作権保護機能のひとつ「SCMS-T」に対応していないと聴くことができない。別メーカーから発売されているBluetooth対応のヘッドセットは「SCMS-T」に対応していない場合が多いため、音楽は聴けるけどワンセグは聴けないということになる。



ワイヤレスイヤホンセットP01。筆者は大阪のドコモショップで6,500円で購入した。





次のページではP903iTVのカメラ機能を見てみよう。

■ちょっと使いづらいカメラ機能

320万画素のオートフォーカス機能付きでカメラは、見ていただいたらわかると思うがそこそこキレイ。気になるところは、周りがちょっとボケた感じになることと、暗い部分が潰れがちってことだが、記念写真的な使い方をしてもいけるのではないかと筆者は考える。



ただし、多少使い勝手が悪いのが、ちとツライ。ビューアスタイルで使っている場合、撮影モードの変更などをしたくてもできないので、スタイルを変更して行わないといけない。液晶画面を動かすと横撮り、縦撮りのモードが自動的に変わるのだが、それに3~4秒かかってしまう。僅かな時間なのだが、ナイトモードと標準モードを切り替えたり、ホワイトバランスや色調を変更させたりなど、ちょこちょこ設定を変えながら撮りたいっていう場合にはけっこう不便なのだ。ただし、接写モードへの変更や動画への切替などはビューアスタイルでも可能である。それでは、実際に撮影した写真を見ていただこう。


●晴天時に撮影した写真




●屋内で撮影した写真




●接写モードで撮影した写真




●夕景を標準モードで撮影した写真




●蛍光灯下(左)と電球下(右)で撮影した写真




●夜景を標準モード(左)とナイトモード(右)で撮影した写真








■Kijimoto's EYE

このP903iTVを最初に手にしたとき、"でかっ"って思った。角張っていることと厚みがあるのでそう感じたのだ。常に持ち歩くケータイだけに大きさや重さっていうのはけっこう重要なスペックだと筆者は考える。この端末の購入を考えている人は数値で見るサイズではなく、実際に手にした感じ、ポケットに入れた感じ、鞄に入れた感じなど触ってから選ぶ方がいいだろう。



携帯電話としての使い勝手は、そこそこいい方だと思う。ボタンも押しやすいし、ボタンを押したときの反応もそれほど悪くはない。使いやすい端末だと思う。



どんな人にオススメかっていうと、やはりワンセグ放送を楽しみたい人だ。ただワンセグ放送が受信できるケータイではなく、ワンセグ放送を存分に楽しむためのケータイだと思う。この端末を手にしたなら"ワンセグ・ライフ"を満喫してほしいものである。



そうそう、最後にメール時の文字サイズについて書いておこう。文字サイズは「標準表示」「縮小表示」「拡大表示」の3通りに設定可能。それぞれの大きさは以下の通りだ。



文字サイズ「標準表示」文字サイズ「縮小表示」文字サイズ「拡大表示」





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P903iTV

NTTドコモ



編集部:木地本 昌弥

「パソコンですぐできる写真俳句」(毎日新聞社) 「その場で解決!ファイル操作とデータ管理」(技術評論社)など50冊以上の書籍を執筆。携帯電話やパソコン、IT関連から取扱説明書まで執筆ジャンルは幅広く、ITジャーナリスト・携帯電話評論家としてテレビやラジオ、講演もこなす。詳細は、著者のホームページ「我流珍述」プロフィールページまで。



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