価格破壊という言葉が登場して既に久しい。この言葉が一番似つかわしいのがパソコン市場だといえるだろう。パソコン黎明期には、100万円をこえるパソコンも珍しくなかったが、その後のパソコンの普及に伴い、低価格が進み、初期導入費は30万円台となり、現在では10万円台や10万円以下のパソコンまで登場する時代となっている。とくにデスクトップパソコンは低価格化が進み、ナショナルブランドのパソコンでも10万円を切る価格帯で購入できる。



こうした背景から、秋葉原のパソコンショップでは、3~4万円台で購入できるオリジナルブランドの低価格パソコンを取り揃える店舗が増えてきた。



"低価格パソコン"と聞くと、気になるのが"本当に実用になるのか?"というところだろう。



秋葉原のパソコンショップで販売されている"低価格パソコン"は、スペックを見ると、筆者が仕事で使用しているノートパソコンと比較しても大幅に優れた性能の製品も数多く存在していることの驚かされる。



余分なお金を掛けないで満足できるパソコンが入手できるのであれば、これほど嬉しい話はない。そこで今回は、秋葉原の各店舗で、3~4万円台で入手可能なパソコンの紹介と、低価格パソコンの用途やニーズを調べてみた。




■賢くパソコンを購入しよう!低予算パソコン一挙紹介

ひとくちに低価格パソコンといっても、PCケースの形やパソコンの性能は、ショップごとに異なるため、スペック表にまとめてみた。また、スペック表だけではわかりづらいため、各店舗のスタッフに一番の特徴を伺ってみた。



●はやい・安い・うまいの三拍子 - カクタソフマップ

ソフマップは、パソコンやデジタル家電を販売するショップだ。今回は、新品・中古パソコン、デジタルAV機器を扱っている「カクタソフマップ」でお話を伺った。

画像:カクタソフマップの店頭



オリジナルパソコンは、「牛丼パソコン」「バーガーパソコン」など、ユニークな名前が特徴だ。スタッフによると、ご飯系(牛丼パソコン)がOS無し、パン系(バーガーパソコン)がOSインストール済みのパソコンとなっているそうだ。同店の1階には、オリジナルブランドのデスクトップパソコンのデモ機が陳列されている。

画像:1階には、オリジナルパソコンが陳列されている



3~4万円台で入手できるパソコンは、牛丼パソコン「並盛 (SF-SV32616/M16)(OS別売)」で、主なスペックは表1のとおり。

画像:牛丼パソコン「並盛 (SF-SV32616/M16)(OS別売)」4万9,800円(税込み)



表1.並盛 (SF-SV32616/M16)の主なスペック
プロセッサCeleron D 336(2.8GMHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク160Gバイト
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ




"牛丼パソコン"一番の特徴は?

牛丼パソコンは、牛丼のように気軽に求められる低価格のオリジナルパソコン。処理速度が「はやい」、価格が「安い」、性能と価格のバランスが「うまい」と、三拍子が揃っているところがセールスポイントだ。

牛丼パソコン「並盛 (SF-SV32616/M16)(OS別売)」は、小型筐体なので省スペースで設置場所を選ばず、サブマシンやファイルサーバーとして利用するのに最適なスペックを持っている。対応OSは、Windows XP Home/Pro(SP2)、Windows Vista Home Basic。余っているOSを有効活用したい人にお勧めしたい商品だという。

ちなみに、取材時には同じ筐体で旧モデルの「並盛(SF-SV32616/C52AS)」が3万9,800円(税込み)で販売されていた。

画像:牛丼パソコン「並盛(SF-SV32616/C52AS)」3万9,800円(税込み)



●省スペース型に新しい流れ - ツクモDOS/Vパソコン館

ツクモは、秋葉原を中心に日本全国でパソコンを販売するショップチェーン。今回は、パソコン本体や自作PCパーツを扱う「ツクモDOS/Vパソコン館」でお話を伺った。

画像:ツクモDOS/Vパソコン館の店頭



ツクモの低価格パソコンは、Windows XP Home Editionをプリインストールする省スペース型パソコン「eX.computer AeroSlim(S31J-7100P)」だ。現在、AeroSlim発売を記念して、5万9,800円(税込み)のところを、4万9,800円(税込み)で販売されている。主なスペックは、表2のとおり。

画像:「eX.computer AeroSlim(S31J-7100P)」4万9,800円(税込み)



表2.VHB331RAMの主なスペック
プロセッサPentium 4 631(3GHzMHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク80Gバイト
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ




"AeroSlim"の一番の特徴は?

AeroSlimは、空気の流れを考慮した筐体設計が最大の特徴だ。小型の省スペースパソコンでは、本体の放熱や防塵対策が重要となる。AeroSlimの筐体は、前面の吸気ファン部に着脱可能な防塵フィルターが標準で付属され、塵や埃の混入による電子パーツへの障害や性能劣化を防止する。フィルターは水洗い後、乾燥させれば再利用できるという。PCパーツ構成を変更できる点も魅力のひとつで、プロセッサをCeleronD 336(2.8GHz)、OSをOS無しに変更すると、4万1,750円(税込み)で購入できる。



●豊富な品揃えが魅力 - ドスパラ秋葉原本店

ドスパラ秋葉原本店は、通称「PC通り」と呼ばれるパソコンショップ激戦区に店を構えるパソコンショップ。老舗のパソコンショップだけあり、3~4万円台で購入できるパソコンの品揃えが豊富だ。

画像:ドスパラ秋葉原本店の店頭



省スペース型は、プロセッサの違いで3種類に分けられる。Pentium4モデルは、DVDスーパーマルチドライブの「Prime Slim Magnate GC」4万8,980円(税込み)。CeleronDモデルは、DVDスーパーマルチドライブ搭載の「Prime Slim Knight GC」4万2,980円(税込み)、DVD-ROMドライブ搭載の「Prime Slim Knight SS 512Mモデル」が3万7,980円(税込み)、DVDスーパーマルチドライブ搭載の「Prime Slim Knight GC」が4万2,980円(税込み)。Sempronモデルは、DVD-ROMドライブ搭載の「Prime A Slim Regulus 」4万980円(税込み)。

画像:省スペース型パソコン「Prime Slim」シリーズの外観

※写真は、PCケースのみ



表3.Prime Slim Knight GC/SSの主なスペック
プロセッサCeleron D 331(2.66GMHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク80Gバイト
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ(GC)/
DVD-ROMドライブ(SS)




タワー型もプロセッサの違いで、数種類を用意していた。Pentium 4搭載モデルは、DVDスーパーマルチドライブ搭載の「Prime Magnate GC」4万6,980円(税込み)。CeleronDモデルは、DVD-ROM搭載の「Prime Knight GC DVDROMモデル」3万7,980円(税込み)、DVDスーパーマルチドライブ搭載の「Prime Knight GC」3万9,980円(税込み)。DVD-ROMドライブ搭載の「Prime Knight SS メモリ512MBモデル」3万4,980円(税込み)。Sempronモデルは、DVD-ROMドライブ搭載の「Prime A Regulus 」3万9,980円(税込み)。

画像:DVDスーパーマルチドライブ搭載の「Prime Knight GC」3万9,980円(税込み)



表4.Prime Knight GCの主なスペック
プロセッサCeleron D 331(2.66GMHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク80Gバイト
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ




ドスパラモデルの一番の特徴は?

「Prime Slim Magnate」は、ビジネスユースやセカンドマシンに最適なスリム筐体モデル。「Prime Slim Knight 」は、オフィスユースに最適な省スペースモデルで、ビジネススタイルに合わせたカスタマイズも可能だ。「Prime A Slim Regulus」は、AMD Sempron 搭載ブックタイプ型省スペースモデルで、GeForce6150マザーボード採用でオンボードグラフィックも高速なものとなっている。



「Prime Knight」は、コストパフォーマンスと高品質を両立させた製品で、Core 2 Duoへのカスタマイズもできる。「Prime Magnate」は、コンパクトなケースに高性能CPUを搭載した、ビジネスユースにも最適な快適マシン。「Prime Knight SS」は、低価格でも品質や静音にこだわったマシン。「Prime A Regulus」は、AMD Sempronプロセッサを採用し、コストパフォーマンスに優れたマシンとなっている。

画像:オリジナルパソコンのコーナー



品揃えが多いだけに、どのパソコンを購入すればよいのかわからない人も多いだろう。そんな時は、パソコンの用途をスタッフに相談して欲しいとのことだ。在庫があればその場で持ち帰れるほか、カスタマイズによるパーツ構成の変更や、OSの追加も可能だ。

画像:山のように積まれている即納モデル



●Vistaが使える省スペースマシン - ツートップ秋葉原本店

ツートップは、ドスパラ秋葉原本店と同じ通りに店を構える秋葉原でも老舗のパソコンショップ。

画像:ツートップ秋葉原本店の店頭



プロセッサにCeleronDを採用した低価格パソコン「VHB331RAM」の主なスペックは、表5のとおり。価格は、OS無しモデルが3万9,800円(税込み)、Windows Vista Home Basic インストールモデルが4万9,980円(税込み)、Windows XP Home Edition(同梱)が4万9,980円(税込み)。

画像:Windows Vistaを使える「VHB331RAM」3万9,800円(税込み)



表5.VHB331RAMの主なスペック
プロセッサCeleron D 331(2.66GMHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク80Gバイト
光学ドライブDVDマルチドライブ




ツートップの一番の特徴は?

「VHB331RAM」は、「とにかくVistaを使ってみたい」という人をターゲットにしたスリム型のデスクトップパソコンだ。低価格だが、Windows Vista Home Basicが動作するスペックをシッカリと備えているのが特徴だ。Windows XP Home Edition(同梱)は、OS無しモデルとのバンドル品で、自分でOSをインストールする必要がある。OSをプリインストールしてないため、Vistaでの動作が保証されていないソフトウェアを使う法人ユーザーがWindows XPを入れることもできるモデルとなっている。



●コーディネートで勝負! - クレバリーインターネット館

クレバリーは、ツートップ秋葉原本店と同じ「PC通り」に店を構えるPCショップ。今回は、デスクトップパソコンのデモ機を展示している「クレバリーインターネット館」でお話を伺った。

画像:クレバリーインターネット館の店頭



クレバリーでは、筐体の形状や利用用途でオリジナルパソコンを選択できる。取材時、3~4万円台で購入できるパソコンは、省スペース型・ミドルタワー型・キューブ型の3シリーズであった。

画像:オリジナルパソコンのコーナー



省スペース型は、CPUの違いで、Intel Celeronモデル「Book Celeron」と、AMD Athlonモデル「Book Athlon」の2種類に大別される。主なスペックは、表6のとおり。後述するミドルタワー型よりも省スペースで、机上の設置場所をあまり必要としないが、ロープロファイルの拡張カードしか挿せないなど、ミドルタワー型に比べて、拡張性は制限される。

画像:省スペース型デスクトップパソコン「Book Celeron」3万9,800円(税込み)



表6.Book CeleronとBook Athlonの主なスペック
プロセッサIntel CeleronD 336(2.8GHz)/
Athlon64 3800+(2.4GHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク80Gバイト
光学ドライブDVD-ROMドライブ(DVD-ROMx16/CD-ROMx48)




ミドルタワー型は、Intel Celeronモデル「Middle Tower Celeron II」と、AMD Athlonモデル「Middle Tower Athlon II」の2種類。主な仕様は、表7のとおり。省スペース型に比べて、本体サイズは大きくなるが、拡張性に優れている。ユーザーの中には、ミドルタワー型を購入して、あとから自分で機能を拡張する強者もいるそうだ。

画像:ミドルタワー型デスクトップパソコン「Middle Tower Celeron II」3万9,800円(税込み)



表7.Middle Tower Celeron IIとMiddle Tower Athlon IIの主なスペック
プロセッサIntel CeleronD 336(2.8GHz)/
Athlon64 3800+(2.4GHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク80Gバイト
光学ドライブDVD-ROMドライブ




キューブ型は、タワー型に比べて拡張性に劣るものの、本体サイズがコンパクトである。

画像:キューブ型パソコン「Cube Celeron」4万9,800円(税込み)



表8.Cube Celeronの主なスペック
プロセッサIntel CeleronD 336(2.80GHz)/
Athlon64 3800+(2.4GHz)
メモリー512Mバイト
ハードディスク160Gバイト
光学ドライブDVDスーパーマルチドライブ




PCケースのかたちはそれぞれ異なるが、いずれのパソコンもホワイトとブラックの2種類のカラーバリエーションを用意し、ベースモデルからのカスタマイズによるPCパーツ選択が可能となっている。



クレバリーの一番の特徴は?

スタッフに特徴を伺ってみると、「カラーコーディネートとパーツです」と、コメントを頂いた。カラーコーディネートとは、本体のカラーと合わせてキーボードやマウスの色も統一させた独自ブランド「COORDY'S(コーディーズ)」のことで、ここで紹介したパソコンも同ブランドに含まれる。

画像:パソコン本体との色の統一感があるキーボードとマウス



格安のPCパーツでは、コストを削減するために、ほかのPCパーツとの相性が悪くて動作しなくなる場合や、PCケースなどでは「バリ」と呼ばれるが、金属を切断した部分を丸く研がない状態の製品もあるという。クレバリーの組み立てパソコンでは、市販されているメジャーな型番のパーツを使用しているので、安くてもPCケースにバリがなく、PCパーツの組み合わせによる相性問題も起こりにくいそうだ。



■パソコン入門に最適 - 法人が購入する意外な理由が発覚

各店舗のスタッフに低予算パソコンを購入する客層を伺ったところ、PCケースのかたちで客層を分類できることがわかった。



省スペース型パソコンは、個人用途に比べ、法人での需要が多い。とくに今の時期は、新入社員向けに大量発注する企業が多いそうだ。



低価格パソコンは、コストを削減するだけでなく、仕事の効率も高めてくれる。パソコンに詳しい人から見れば、低価格であればあるほど、性能差からパソコンのパフォーマンスが下がるため、仕事の効率は落ちると思うだろう。では、なぜ、仕事の効率を高めてくれるのか?



スタッフに伺ってみると、「CPUやグラフィックスの性能がよいと、ゲームを入れてしまう人がいます。ハードディスクの空き容量があれば、ゲームだけでなく仕事に関係のないソフトやデータを入れる人もいます」とのコメントを頂いた。確かに、事務作業や一般業務であれば、低価格パソコンでも快適に作業をこなせるだろう。ハードディスクの空き容量にしても、容量が少なければ、大容量の画像や動画などの個人データを置かれる心配もない。また、書き込みができないDVD-ROM搭載モデルは、コストを下げるほかに、DVDメディアによる情報の持ち出し防止する効果もあるそうだ。



タワー型は、省スペース型に比べて拡張性に優れており、個人ユーザーに人気がある。購入者の中には、購入時にパーツ構成を変更する人も多いという。とくに、Windows Vistaの新しいインターフェース「Windows Aero」を使いたいのであれば、ビデオカードのバリエーションが選択できるタワー型が好まれているそうだ。省スペース型だと、ロープロファイルのビデオカードしか増設できないので、おのずと使用できるカードが制限される。



省スペース型とタワー型の両方にいえることだが、個人ユーザーは家族向けのセカンドマシンとして低価格パソコンを購入するそうだ。家族でショップにやってきて、パソコンに詳しい旦那さんが、奥さんや子どもさん向けのパソコンとして購入していくのだという。



低価格パソコンは、"安かろう"、"悪かろう"のイメージをお持ちの人も多いと思われるが、今回取材したショップのパソコンは、一般的な業務や事務用途には十分な性能を持ち、かつ安定性にも優れたパーツ構成が選択されている。パソコン入門者や、インターネットを中心にパソコンを使いたい人であれば、お金を掛けずに安心して導入できる製品といえるだろう。



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編集部:関口哲司

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