総務省は2010年3月26日、人権侵害に対する同省の人権擁護機関の取組についての発表を行った。同省の人権擁護機関は、人権侵犯事件調査処理規程(平成16年法務省訓令第2号、以下「処理規程」という)に基づき、人権侵害を受けた者からの申告等を端緒に人権侵害による被害の救済に努めている。

インターネットの普及により様々な情報に容易にアクセスできるようになった反面、インターネットを利用した人権侵犯事件は、ここ数年急激な増加傾向を示している。

2009年中に新規に開始したインターネットを利用した人権侵犯事件数は、前年の515件を大きく上回る786件(52.6%増加)で、大幅な増加となっており、このうち、名誉毀損事案が295件、プライバシー侵害事案が391件と、この両事案で全体の87.3%を占めている。また、特定の地域が同和地区であるとする書き込みがされるなどの差別助長行為事案は24件あった。なお、これらのうち、当機関がプロバイダ等に対し削除要請を行ったものは81件である(対前年比8%増加)。

この中には、本人の意に反して実名及びメールアドレス等がインターネット上の掲示板に掲載された事案について、「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」(プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会)に基づきプロバイダ等に対し削除要請を行った事案が含まれている。

人権侵犯事件の類型別に新規救済手続開始件数の動向を見ると、2009年年中における暴行・虐待事案は5,099件で(対前年比3.2%減少)、全事件類型別の中で最も多く全事件数の24%を占め、依然として憂慮すべき状況で推移している。このうち、いわゆる社会的に弱い立場にあるとされる女性、児童、高齢者、障害者を被害者とする割合は85%(4,334件)と非常に高い割合を占めている。

2009年中における住居・生活の安全関係事案は3,985件で(対前年比3.6%減少)、全事件数の18.8%を占めている。このうち、相隣間における騒音等の相隣関係から生じる人権侵犯事件数は1,776件で、前年に比べ6.2%増加している。

2009年中における強制・強要事案は3,646件で(対前年比8.5%減少)、全事件数の17.2%を占めている。

2009年中におけるプライバシー関係事案は1,869件で(対前年度14.9%増加)、全事件数の8.8%を占めている。
このうち、インターネット等によるものは、前年の460件を大きく上回る746件(62.2%増加)と引き続き大幅な増加傾向を示している。

2009年中に新規に開始した学校における「いじめ」に関する人権侵犯事件数は1,787件(対前年比7.1%減少)年連続で減少したものの、依然として高い水準にある。

2009年中に新規に開始した高齢者施設、知的障害者更生施設等の社会福祉施設における人権侵犯事件数は153件で、前年に比べ19.5%増加となっている。その内訳は、障害者福祉施設職員によるものが61件(39.9%)、高齢者福祉施設職員によるものが40件(26.1%)、児童福祉施設職員によるものが15件(9.8%)となっており、職員以外による人権侵犯事件数は37件(24.2%)となっている。この中には、障害者施設における入所者に対する虐待事案について、「勧告」を行った事案及び高齢者施設における入所者に対する虐待事案について、「説示」「通告」を行った事案が含まれている。

現下の厳しい経済情勢の影響によって、雇用情勢等も悪化している状況にあり、労働関係の人権侵犯事件は、平成18年以降増加傾向を示している。
2009年中に新規に開始した労働関係の人権侵犯事件数は1、257件で、前年に比べ11.0%増加となっている。その内訳は、リストラに関するものが132件(10.5%)、労働強制や中間搾取等の労働基準法違反に関するものが98件(7.8%)、労働組合法第7条違反による不当労働行為に関するものが53件(4.2%)、その他(注)が974件(77.5%)となっている。

平成21年中の「人権侵犯事件」の状況について(概要)
総務省

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