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今回は、先日発売が発表されたばかりのヒューマノイドロボットについてお伝えしよう。
発売されたロボットとは、赤ちゃん型ロボット「M3-Neony(エムスリー ネオニー)」と、机上サイズの集団コミュニケーションロボット「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」の二台だ。二つとも、2010年の3月に科学技術振興機構報(JST)から開発が発表された研究用ロボットだ。
■科学の最先端を行く 人間の心を解き明かすロボット
科学技術振興機構報(JST)の主に対象となる研究分野は、人間が成長する過程において、認知能力・コミュニケーション能力をいかに獲得し発達させていくのか、その詳細なメカニズムを調査・解明することだ。
認知・認識といった心理的な成長が、外部からの刺激によってどのように影響を受けるかといった人間の感覚の根本に関わるテーマである。根本的であるからこそ、解明が非常に困難であることは想像に難くない。
そのためこのような分野では、発達心理学・認知科学・脳科学などといった「観察して知る」学問と、ロボット工学に代表される「作ることによって知る」学問とを融合させた「認知発達ロボティクス」という手法が用いられることがある。そして、「M3-Neony(エムスリー ネオニー)」、「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」は、まさにこの認知発達ロボティクスの研究のために開発された、文字通り科学の最先端を行くヒューマノイドロボットなのだ。
■赤ちゃんの体感学習を再現するハイハイするロボット「M3-Neony」
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赤ちゃんロボット「M3-Neony(エムスリー ネオニー)」 |
「M3-Neony(エムスリー ネオニー)」は、ハイハイを始めた頃の赤ちゃんを想定して作られたロボットだ。人間でいうと、認知力や感覚といったものが爆発的に成長しつつある、まさにその時期である。
この頃の人間は、「身体バブリング」とも呼ばれる特徴的な体感学習をしていることが知られている。
「身体バブリング」とは、体の各部位をランダムに動かすことで、自分自身の体がどのように構成されているか、あるいはそれらがどのように関係しているかを身に付けていく行動だ。
「M3-Neony(エムスリー ネオニー)」では、全身に90もの触覚センサを持つことで、この頃の赤ちゃんが外部からどのような刺激を受けているかを再現的に研究することができるのだ。可能にしている。同時に、全身「VS-SV410」という非常に高性能・高出力なサーボモータを採用しており、赤ちゃん独特の力強い動きも再現できる。
■ロボット同士で表情を読み取るコミュニケーションロボット「M3-Synchy」
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集団コミュニケーションロボット「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」 |
集団コミュニケーションロボット「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」は、もう少し上の年齢になった人間をモデルとしたロボットだ。「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」での研究対象は、非言語の領域におけるコミュニケーションだ。平たくいうと、身振りや表情でコミュニケーションを図るためのロボットである。
人間が他人とコミュニケーションを図る際は、言葉だけではなくその表情からも多くの情報を読み取っていることは今さら述べるまでもないが、相手がロボットとなると、とたんにそれが難しくなる。すなわち、「ロボットの表情を見て、そのロボットが何を考えているかを感じる」、あるいは「ロボットが人の表情を見て人が何を考えているかを理解する」という行動は、少し考えても容易でない。
「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」は、頭部にカメラを内蔵することにより、複数の「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」同士での表情によるコミュニケーションを研究対象としているのだ。
■頬を染めて困った顔をするロボット
ロボットがお互いに表情を見ながら、その感情を理解し合うのだ。
このような高度な機能を実現するために、「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」には様々な表情ができるような構造が盛り込まれている。机の上に置けるサイズでありながら、頭部に6個のサーボモータを搭載し、さらに、顔と体にLEDを内蔵している。これにより、喜怒哀楽の表現はもちろん、身振りを交えることや、頬を赤く染めることも可能なのである。
そして「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」がこれほど多彩な表情を持てる構造をしているために、意外と… いや、かなり可愛いという、副次的な効果ももたらされている。
特に、「腰に手を当てて威張った表情をする」とか「頬を染めながら困った顔をする」といった表情は、研究用ロボットにしておくのはもったいないほどの可愛だ。
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頬を染めて困った顔をする |
■一般販売もされる価格は?
研究用ロボットというと、無機質な外観であったり、奇抜すぎるデザインであったりというイメージを持たれがちだが、「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」のような、可愛いロボットもあるのだ。
最初に述べたように、「M3-Neony(エムスリー ネオニー)」と「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」の二台は、一般発売される。しかしながら、純粋な研究用ロボットであるため、受注生産・価格はお問い合わせということになっている。具体的な価格は公表されていないが、とても気軽に買える値段でないことは間違いないだろう。
しかし、このような最先端型ロボットが一般向けに発売されること自体が素晴らしいことだと思う。
ロボット技術が今よりももっと人の役に立つためには、人に近いところでロボットが存在できるようになることが何よりも必要だからだ。
筆者としては、「M3-Synchy(エムスリー シンキー)」はぜひ机の上に一つ置いておきたいところだが、恐ろしくてまだ一度も価格を尋ねることができないでいる。
この二つのロボットについては、ヴイストンの公式ページに詳細情報が掲載されている。
・M3-Neony(エムスリー ネオニー)はこちら
・M3-Synchy(エムスリー シンキー)はこちら
最先端のロボティクスと、それによって予見される未来のロボットと人間との関わりに思いをはせてみるというのも悪くないのではないだろうか。
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