今年で10回目を迎えたリコーフォトコンテストの入賞作品50点の展示が、本日から東京・銀座リコーフォトギャラリーRING CUBEにおいて始まった。

10回目となる今回のテーマは、「視点を変えるだけで、世界はいくらでも面白くなる」というメッセージを込めた『new angle, new day ~私の視点~』だ。通常のコンテストとは異なりテーマの自由度が大きく、撮影者にとっては難しいテーマにも関わらず、応募総数1244作品が集まった。応募年齢は、4歳から83歳までと幅広く、参加国も日本語、ドイツ語、中国語、英語などに対応したこともあり、国内だけでなくアジア・欧州などからの応募の多さも際だっている。

リコーフォトコンテスト企画担当 正木喜美子さんは、今回の応募作品との出会いをこう語ってくれた。
「難しいテーマにもかかわらず、過去最多かつ高レベルの作品にご応募いただいたことに驚きました。

応募作品に添えられたコメントを読ませて頂くと、わくわくして撮りたくなったときの作者の気持ちが伝わってくるものばかりで、本当に撮りたいと思ったときに撮られた写真だと感じました。今回の応募作品から、『撮りたい写真を撮ることが、一番いい写真が撮れる』のだということを改めて認識させられました。そして、宝探しのように、子供のころ何かを発見したときにドキドキするのと同じ体験を、作品を通じて味わうことができました。」

応募作品は、作品毎に細かく指示を出してプリントされ、審査された。最初に「視点」をポイントとして面白い作品にチェックを入れ、約200点に絞り込んだそうだ。しかし、自由奔放で優れた写真が多数集まった今回、そこからの審査が難航を極めたという。

審査員は、海外のアートシーンでも高い評価を受けている大和田良氏/岡嶋和幸氏。アートな写真作品の感性をくみ取れる審査員である。その彼らにとっても、一眼レフのような小細工がない分、ストレートな作品が多い今回のコンテストは、新しい発見の連続だったという。

リコーフォトギャラリーRING CUBE運営責任者の橋本正則氏は、
「応募作品をプリントの仕上げにもこだわり、送付データのイメージ通りになるようにテストプリントを繰り返したのは、フォトコンテストとしても希なことです。

それは、このフォトコンテストを、アート性で競い合う世界のレベルに合わせたかったからなのです。大和田良氏/岡嶋和幸氏に審査員をお願いしたのも、アートな視点から入賞作品を選んで頂きたかったからです。

おかげさまで、ほかのコンテストでは見落とされてしまうようなアート性の豊かな作品が入賞作品として選ばれました。

今後も、作品募集を世界に広げ、グローバルにすることで、アートとしての写真を楽しめるフォトコンテストにしたい。」と、抱負を語ってくれた。

■審査員もうならせた入賞者たち
最優秀賞は、一見するとわからないが、よく見ると桜の花弁である視点と作品の重厚感で、鈴木 達哉氏の「in the chain」が勝ち取った。鈴木氏は作品に「桜散る我が身を次の季へ繋ぐ。」とコメントを添えている。
最優秀賞「in the chain」 鈴木 達哉氏

大和田良氏
暗いトーンの中に浮かび上がる、桜の花の透き通った色彩が美しい。淡く繊細ながら実に多様な一枚一枚の花びらを観察することができる。空間を使った構成も作品を引き立たせているように思う。

岡嶋和幸氏
最初は色彩と造形に目を奪われた。ゆっくりと細部に目を向けていくうちに桜の花びらであることに気づく。何層にも積み重なっているのだろう。風が吹けば簡単に飛び散ってしまうものなのに、この作品からはずっしりとした重さを感じる。


接戦の末、特別賞となったのは2作品「出口への入り口」Mattia Marchi氏(スウェーデン)と「収穫日」Min Li氏(中国)
特別賞「出口への入り口」Mattia Marchi氏、「収穫日」Min Li氏

GRブログ賞には「鮫」Michael Schölzel氏(ドイツ)、10回記念特別賞には「ある日の色彩」猪俣 肇氏(日本)の2作品。
GRブログ賞「鮫」Michael Schölzel氏
10回記念特別賞「ある日の色彩」猪俣 肇氏(日本)

リコーが提唱する、気軽に写真を楽しむ「Candid Photo」をWeb上で表現する、デジタルカメラ活用&コミュニティサイト「Photo Style」にマッチした作品として選ばれるPhoto Style賞 には、
「チングルマの花柱」桜井 義憲氏、「秘密の川」富岡 武氏(日本)、「日本一の渋滞」長谷川 祐史氏、

「メルボルンのシャーブルックの森」Barbara Oehring氏(オーストラリア)、「川の妖精」WindLaLa氏(中国)

リコーフォトギャラリー「RING CUBE」

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