3Dテレビ発表会の風景。大型の家庭用3Dテレビは専用メガネを使用することが多い


人間は左右の目の間隔が約7cm程度といわれている。同じものを見たとき、左目と右目で見る角度が変わるため、目に映し出される画像は少しずれている。それを頭の中で合成することで、物が立体に見えるのだ。ということは、左目と右目で捉える画像に微妙な差をつければ、物が立体に見えるのだ。
今回の最新ハイテク講座では、どのようにして、右目と左目で違う画像を見せているのかを調べてみよう。


同じ3Dでも、映画や液晶テレビなどは専用メガネが必要で、スマートフォンや携帯ゲーム機は裸眼で楽しめる。
メガネが必要な方式はメガネを通して、左目用と右目用の画像を分けている。一方の裸眼の場合はディスプレイ側から左右それぞれの画像を左目と右目に向かって放している。このように大きく分けると、このようにメガネあり、なしで分けることができる。
まずは3D専用メガネを使う方式から説明していこう。現在大きく分けて、アクティブシャッター方式と偏光板方式のふたつがある。

●専用メガネタイプ
・アクティブシャッター方式
アクティブシャッターは、ディスプレイ上に右目用の画像と左目用の画像を交互に表示する。左目用の画像のときは右目の視界をさえぎり、左目からのみ画像が入ってくるようにメガネが同期する。同じく、右目用の画像を表示しているときには左目の視界をさえぎるようにしているのだ。ほとんどの家庭用3Dテレビはこの方式を採用している。

この方式では、ディスプレイの解像度が3D映像の解像度となる。ただし、毎秒60フレームの映像の場合は、右目用と左目用がそれぞれ必要になるため、ディスプレイは毎秒120フレームの表示能力が必要になる。しかも、通常ディスプレイはメモリー効果を持つことが多いため、画像を一定時間表示し続ける。このため、右左と交互に画像を表示しているのだが、そのときに前の画像が残っていることがあるのだ(このメモリー効果は2Dの時には、残像や省電力として有効に働く)。
各社この問題をクリアするために、バックライトを一時的にOFFにするなど工夫をこらしている。

また、メガネに機械的な機構を入れないといけないことも問題のひとつ。バッテリーが切れたり、テレビとの同期がずれると立体に見えなくなる。しかも重くなる傾向にある。ただし、海外のアイウェアブランドからアクティブシャッター方式のスタイリッシュなメガネが登場してきているのは見逃せない。

・偏光板方式
偏光板方式は、ディスプレイ表面とメガネに偏光板・偏光フィルターを取り付け、ディスプレイが表示する右目用の画像はメガネの右目側で、左目用の画像はメガネの左目側でのみ見えるようにしたもの。
偏光とは光の波に偏りをつけたもの。液晶も偏光を使っている。2枚の偏光板の間にある液晶で光をねじれを調節して明るさを変えている。

メガネには偏光板・偏光フィルターしか取り付ける必要がないので、シンプルで軽量となる。その一方で、ひとつの3D画像を作るために右目用と左目用の両方の画像を一度に出さないといけないため、2倍のピクセルを使うことになる。ディスプレイの解像度が1920×1080の解像度だと、3Dでは960×1080の解像度しか出てこない。といっても、現在のデジタル放送で行われている3D放送も、サイド・バイ・サイドという方式を用いているため、解像度は低いのだ(2Dの通常のテレビで見ると、2つの画面がヨコに並んで表示される。3Dテレビではこれを立体に見えるように変換している)。

代表的な機種は、NECのVALUSTER W/Nの3D対応タイプなどだ。実は、PCではアクティブシャッター方式が主流となっている。これはNVIDIAの3D対応グラフィックボードが、左右の画像を交互に出す方式を採用していることが大きな理由だと思われる。

次回は裸眼タイプを紹介する。

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