レインボーアップスのスクールでは、後半になると講義終盤に設けられる「お馴染みアプリ自慢大会」がある。これは卒業生も参加可能なアプリのプレゼンが行われる名物コーナーだ。

この名物コーナーは、各期生の入学、卒業時に催される懇親会でも開催されたが、ついに12月13日、Apple銀座店での開催も決定した。

このアプリ自慢を、スマートフォン業界全体でやったらどうなのるか?
そんな主旨から行われたのがアドテック東京のアプリプレゼン大会である。

プレゼンテクニックのみならず、いろいろな発見が生まれた本大会は、来場者からの反響が多く、意義あるイベントとなった。

■アドテック東京 Apps Exchange Square講義録
-iPhone/android/iPad アプリプレゼン大会-


アドテック東京の展示会場中央の特設会場に17社のアプリクリエイターが集結し、各々のアプリを自慢しながら、貴重な経験談や今後のビジネスにおけるヒントを披露した。

各社5分間のプレゼンという短い時間の中にも、ガラケーでしか通用しないと目された音楽配信ビジネスの新境地、デコメやキセカエのガラケービジネスの世界展開、個人でも戦える世界的技術への挑戦、出版コンテンツの新しいあり方、スマートフォンアプリのマーケティング手法など、さまざまなヒントが隠されていた。

まずは、ひとつずつ見て行きたい。

1 「MySound / MySoundカラオケ」株式会社ヤマハミュージックメディア 田中威志氏

ガラケーで最も大きな市場を占める着うた配信ビジネス。iTunesで参入が難しいはずだ、誰もがそう思う。しかし、ヤマハは、ストリーミング配信、聞き放題、月額定額という新境地を開拓した。

ガラケーだとメーカー変更やキャリア変更で、曲を購入した権利を失ってしまう。これはユーザにとっての不利益を、ガラケープレイヤーはやってきたことになる。
「ユーザの選曲リストもユーザの資産」ということで、マルチデバイス対応をすすめている。


2 「Lyrica
株式会社ファンコミュニケーションズ 関根佑介氏

リリカは30万人以上がダウンロードしたマンモス歌詞アプリだ。iTunesのリストを再生すると自動的に歌詞を取ってくる便利なサービスだ。日本の歌謡曲の収録数では日本最大、そして洋楽への対応もまもなく開始される。

これもただのウェブサイトではできない芸当であり、スマートフォンアプリはガラケーよりもユーザ満足度を向上しているのである。


3 「スマイリーメール
株式会社KBMJi 木村武弘氏

去年のリリース以降、常に有料ランキング上位を維持しているのがスマイリーメールだ。競合するデコメ業者がたくさんいる中、デコメアプリをいち早く市場投入した裏には
同社の技術力や日本の文化を世界に配信したいという執念があった。


4 「デコメリー / プチモジメーカー
株式会社寺島情報企画/株式会社テクノード 小川真沙美氏

ガラケーのデコメの王者がiPhoneにやってきた。先述のように、デコメアプリは送受信やデコメ保存など、アプリ側で用意しなくてはならない。デコメ画像だけ作って流通すればいいというガラケービジネスとはわけが違うのある。

そんな中で王者の参入にiPhone業界人も驚いた。しかも、もっと驚いたのはビジネスモデルを「まずは無料開放」に変更したことである。

あきらかに、iPhoneユーザの方がガラケーユーザよりも得だ。何せ最初は無料で十分楽しめるのだから。しかし、この戦略にはしっかりとした計算がある。

今まで入手できなかったデコメのリアルな利用状況がわかるからだ。また、一度メーラーという彼氏のようなポジションを確保できれば、そう簡単にブランドスィッチは難しいという読みである。ガラケーの王者も元気だ。


5 「キセカエADVANCE
テックファーム株式会社 矢吹通康氏

KBMJと同じく、今までの主要なプレイヤーに代わり、キセカエでも技術会社が市場開拓の一歩を踏んだ。彼らはこのビジネスが厳しいからこそ力あわせてがんばろうと、ビジネスを構築した。コンテンツホルダーには、リスク無しで市場参入できるようなプランを用意しており、現在、大手各社が相談に来ていると言う。


6 「Electricdraw
Electricwoods LLC 吉川和成氏

これを個人で作ってしまうなんてと、会場全体が沸いたのが、Electricdrawだ。
アプリの世界は、アドビのような大会社と対抗する個人がたくさんいる。
「これはイラレやフォトショにとりこめるんですか」という会場からの質問に、「いったんPDFにすれば可能です」と吉川氏は答え、一同に笑いがおこった。


7 「PHYZIOS Studio
株式会社フィジオス 櫻井敦史氏

アングリーバードやカットザロープなどの優れたゲームは、物理演算の描画ロジックがあってのこそだが、そういったゲームもフィジオスの技術があれば、あなたも作れるのだ。
同社がリリースしたアプリはこぞって10位以内のランキング。協業相手も探しているという話だから、同社と一緒に世界を狙いにいこう。


8 「食べレコ
株式会社ハンズエイド 小室健氏

ただ書籍をPDFにすればいいってものではない。ハンズエイドの食べレコエンジンは、サーバサイドのCMSも用意しており、雑誌のクリッピングのようなアプリができてしまう。
ブログよりも雑誌っぽい編集ができる管理画面の秀逸さに会場が唸った。


9 「オックスフォード辞典
株式会社エヌフォー リチャードノースコット氏

大辞林がトップセールスで、常にトップ10入りをしていることでもわかるように、高額でも辞書は売れる。どうやら困ったその時に使うというよりも、前もって常備薬をと言う先行投資型の購入スタイルがあるようである。
インターネットに慣れ親しんだ人間はウィキペディアがあるから要らないとか、Google翻訳があるから要らないと思いがちだが、市場は案外肝要なのだ。

エヌフォーは、オックスフォード辞典を皮切りに、クロスランゲージの辞書をライセンスしては開発して、自社リリースをしている。専門分野に特化したテンプレートアプリビジネスの典型例と言えよう。


10 「指さし会話touch&talk」シリーズ
グランドデザイン&カンパニー株式会社 小川和也氏

兎に角、海外渡航者にはお馴染み。爆発的な発行部数を誇る「指さ会話」がiPhoneアプリになった。現状の有料が無料になったらどうなるか。
爆発的なユーザをかかえ、「これください」と指さした先が、実の商品だったら。

「シャンプーを探しています」というつもりで指をさしていたら、「メリットをください」という意味に店員はとらえてしまうのである。こういったビジネスモデルの変換に期待は膨らむ。


11 「catひろしピアノ
株式会社サル 見田修一氏

アプリ内容については見ていただくに超したことはないので説明を省くが、このアプリ、なんと「包茎のことなら…」という広告がついていて、会場が騒然となった。


12 「痛車 ita☆sha
株式会社デジタルアドベンチャー 上田裕資氏

多少の経験のあるiPhoneディベロッパーなら、誰もが失意の底に落とされた、忘れもしない今年の1月。エロ禁止の粛正のもと、伝説のスカートめくりアプリのPuffや、すべての水着系アプリが一斉リジェクトにあった。

デジタルアドベンチャーはまさに、その被害が甚大だった一社だが、このたび新境地を開拓したというわけだ。なんと、ニューヨークジャーナルにも、日本のハイエッジなオタク文化としてとりあげられている最も旬なコンテンツカテゴリーだ。


13 「ガチャツイ
株式会社ジェネシックス 三田文康氏

ガチャピンのツィートだけのタイムラインが目玉のアプリ、手堅くヒットを飛ばした。
しかも350円と、割と高いゾーンである。国民的人気キャラクターとツィッターという掛け算には、他社も多いにトライして欲しいところだ。


14 「YourGolf
亜才株式会社 才神健児氏

アンドロイドですでに、上位ダウンロードを獲得したゴルフスコアアプリが、iPhoneでもスポーツカテゴリで上位に食い込んだ。
Googleマップ上の全世界のゴルフ場対応ということもあり、世界でダウンロードされている。世界中のお金持ちにアテンションできるメディアとしての成長に期待したい。


15 「続五者択一!
株式会社ウィンシステム 武藤直樹氏

武藤さんには、Zen Artistにて、ライブアートを披露していただいた。なんと水墨画のツールで、萌え系の女のコをすらすらと描いていた。

五者択一は、クイズを作りたい人と、クイズを楽しみたい人のマッチングで、知的な時間つぶしや自分探しができる、クラウド連携のアプリである。


16 「AskSmart.ly
株式会社フィルモア・アドバイザリー 森航介氏

スマートフォンアプリ業界において、マーケティングは死活問題だ。何せ広告が効かないのである。そんな中、リアルアフィリエイトのいいツールが紹介された。

いわゆるアンケートメディアなのであるが、例えばアプリ購入アンケートを実施できるうえに、お駄賃も任意に決められる。購入したかどうかはスクリーンショット写真をタスクに入れて証明を取る。

このような購入促進も重要だが、さらに重要なのは、本来のアンケート回収だ。というのも、アプリのレビューは一般的には実購入数の百倍の一から千倍の一。きちんとしたレビューや、改善要求は少なく、ただの感想や野次も多い。

これだときちんとしたユーザ評価は正しくわからない。リリース後、ユーザアンケートを速攻で取って、すぐにバージョンアップ開発に活かすということが、実はすごく重要なのである。


17 「APPBANK
株式会社GT-Agency 村井智建氏

神様、仏様、ムライさまという言葉がある。ある方面ではエントリーポストマンならぬエンペラーと崇められている。というのも、アップバンクに取り上げられば、ランキングイン、村井氏はテレビでささやけば、ランキングアップ、まさにランキングを動かす男なのである。

この業界にいて、彼を知らないならば、それはジョンレノンを知らずしてロックを聞いているようなものである。


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