NTTドコモ「LYNX 3D」は裸眼で立体視できることが特徴のスマートフォン。視差バリアを利用している |
人間は左右は約7cm程度離れているため、左目と右目で見えている画像が少しずれている。頭の中でこの画像を合成することで、物が立体に見える。逆に言えば、左目と右目で捉える画像に差をつければ、物が立体に見えることになる。最新ハイテク講座では、前回のメガネあり?それともメガネなし?進化する3D技術に引き続き3Dについて調べてみよう。
同じ3Dでも、映画や液晶テレビなどは専用メガネが必要で、スマートフォンや携帯ゲーム機は裸眼で楽しめる。前回は専用めがねを使った方法を説明したため、今回はどうして裸眼で3Dが見えるのかを説明していく。
よく知られているのが視差バリア方式だ。シャープが提供している裸眼立体視の方式でスマートフォンなどで使われている。あわせて、注目を集めている東芝「グラスレス3Dレグザ」に採用されたインテグラルイメージング方式も紹介する。
●メガネなしタイプ
・視差バリア方式
スマートフォンや携帯ゲーム機は画面が小さいため、見る位置がある程度特定できる。そのため、キメうちで左右の画像をそれぞれの方向からしか見えないようにすることで、メガネを付けなくても立体に見えるようにできる。そのための方式のひとつが視差バリア方式だ。ディスプレイからの光の進行方向を制御し、右目と左目に異なる画像を見えるようにするために、視差バリアを利用しているのだ。
シャープは、従来の液晶ディスプレイに独自の「スイッチ液晶」を組み合わせている。この「スイッチ液晶」が光学視差バリアを作り出し、光の進行方向を制御している。液晶ディスプレイには、視差バリアで分けられた右目と左目のそれぞれの画像エリアにあわせて3D画像を表示することで、立体に見えるようにしている。
視差バリアを作る「スイッチ液晶」は電気的にコントロールすることで視差バリアのON/OFFができるため、2D/3Dの切り替えも簡単だ。構造もシンプルなので、コスト面、信頼性に優れている。ディスプレイに表示する右目と左目の画像の差を調整することで、奥行き感も調整できる。さらにシャープでは、スイッチ液晶とタッチパネルを一体化することで薄型化を、視差バリアを縦横の両方向で制御することで縦でも横でも3Dが表示できる。
低価格で信頼性が高いため、裸眼タイプではスマートフォンをはじめ広く小型機器で使われている。これからも小型機器では主流となっていくだろう。
・インテグラルイメージング方式
視差バリア方式は、左右それぞれの目に対応する画像をひとつずつ用意する。目の幅より大きいサイズのディスプレイになると、両方の目に同じ画像が入ってくる場合がある。それを避けるには、ひとつの画素から複数の画像を光の方向を制御してそれぞれの角度で出せばよい。ということで、東芝のグラスレス3Dが採用しているのがインテグラルイメージング方式なのだ。
視聴位置に応じて右目用と左目用の異なる映像を映し出し、それぞれの目で映像を捉えることで立体として認識できる。東芝はこの原理を独自映像処理技術で実現しているのだ。
実際には1画素ごとに9つの映像をリアルタイムに生成し、液晶パネルから「垂直レンチキュラーシート」を通じて、9方向に光を制御して発信している。この「グラスレス3D専用LEDパネル」は、フルハイビジョンの約4倍の解像度となる約829万画素となっている。これで1画素で9枚の画像を同時に表示することで、1280×720の3D映像を作り出しているのだ。
ちなみに、「垂直レンチキュラーシート」とは半円状の特殊なレンズで、1画素分となる9枚の画像をそれぞれの方向に送り出している。これにより、視野角が広くなるのだ。
9枚の画像はグラスレス3D専用CELLレグザエンジンにより作り出している。プレイステーション3やCELLレグザにも使用している、高い演算能力を持つCell Broadband Engineをコアに、多視差変換LSIを組み合わせていることで、9視差の映像をリアルタイムに生成している。
元画像が2Dでも3Dでも、被写体の動きから奥行きを検出する「モーション3D」、画面の構図から奥行きを検出する「ベースライン3D」から、奥行きを推定して9視差の画像を作り出すのだ。「モーション3D」では、手前のものほど見かけの動きが速いという基本原理から前後関係を推定している。「ベースライン3D」では、1400ものサンプル画像から似た構図を見つけ出し奥行きを割り当てている。この2つを組み合わせることで奥行き感を出している。
大画面では高価な裸眼3Dだが、今後広く普及していくことで、価格も下がっていくことが考えられる。現状では普及しているとは言いがたい大画面3Dだが、テレビ放送でも3Dが増えてきたこともあり、今後コンテンツが充実していきそう。ゲームも続々と登場し、これから急激に伸びていくことが期待されている。
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よく知られているのが視差バリア方式だ。シャープが提供している裸眼立体視の方式でスマートフォンなどで使われている。あわせて、注目を集めている東芝「グラスレス3Dレグザ」に採用されたインテグラルイメージング方式も紹介する。
●メガネなしタイプ
・視差バリア方式
スマートフォンや携帯ゲーム機は画面が小さいため、見る位置がある程度特定できる。そのため、キメうちで左右の画像をそれぞれの方向からしか見えないようにすることで、メガネを付けなくても立体に見えるようにできる。そのための方式のひとつが視差バリア方式だ。ディスプレイからの光の進行方向を制御し、右目と左目に異なる画像を見えるようにするために、視差バリアを利用しているのだ。
シャープは、従来の液晶ディスプレイに独自の「スイッチ液晶」を組み合わせている。この「スイッチ液晶」が光学視差バリアを作り出し、光の進行方向を制御している。液晶ディスプレイには、視差バリアで分けられた右目と左目のそれぞれの画像エリアにあわせて3D画像を表示することで、立体に見えるようにしている。
視差バリアを作る「スイッチ液晶」は電気的にコントロールすることで視差バリアのON/OFFができるため、2D/3Dの切り替えも簡単だ。構造もシンプルなので、コスト面、信頼性に優れている。ディスプレイに表示する右目と左目の画像の差を調整することで、奥行き感も調整できる。さらにシャープでは、スイッチ液晶とタッチパネルを一体化することで薄型化を、視差バリアを縦横の両方向で制御することで縦でも横でも3Dが表示できる。
低価格で信頼性が高いため、裸眼タイプではスマートフォンをはじめ広く小型機器で使われている。これからも小型機器では主流となっていくだろう。
大画面でもメガネなしで楽しめる3Dとして登場した東芝のグラスレス3D。1つの画素で9個の視差画像を作り出している |
・インテグラルイメージング方式
視差バリア方式は、左右それぞれの目に対応する画像をひとつずつ用意する。目の幅より大きいサイズのディスプレイになると、両方の目に同じ画像が入ってくる場合がある。それを避けるには、ひとつの画素から複数の画像を光の方向を制御してそれぞれの角度で出せばよい。ということで、東芝のグラスレス3Dが採用しているのがインテグラルイメージング方式なのだ。
視聴位置に応じて右目用と左目用の異なる映像を映し出し、それぞれの目で映像を捉えることで立体として認識できる。東芝はこの原理を独自映像処理技術で実現しているのだ。
実際には1画素ごとに9つの映像をリアルタイムに生成し、液晶パネルから「垂直レンチキュラーシート」を通じて、9方向に光を制御して発信している。この「グラスレス3D専用LEDパネル」は、フルハイビジョンの約4倍の解像度となる約829万画素となっている。これで1画素で9枚の画像を同時に表示することで、1280×720の3D映像を作り出しているのだ。
ちなみに、「垂直レンチキュラーシート」とは半円状の特殊なレンズで、1画素分となる9枚の画像をそれぞれの方向に送り出している。これにより、視野角が広くなるのだ。
9枚の画像はグラスレス3D専用CELLレグザエンジンにより作り出している。プレイステーション3やCELLレグザにも使用している、高い演算能力を持つCell Broadband Engineをコアに、多視差変換LSIを組み合わせていることで、9視差の映像をリアルタイムに生成している。
元画像が2Dでも3Dでも、被写体の動きから奥行きを検出する「モーション3D」、画面の構図から奥行きを検出する「ベースライン3D」から、奥行きを推定して9視差の画像を作り出すのだ。「モーション3D」では、手前のものほど見かけの動きが速いという基本原理から前後関係を推定している。「ベースライン3D」では、1400ものサンプル画像から似た構図を見つけ出し奥行きを割り当てている。この2つを組み合わせることで奥行き感を出している。
大画面では高価な裸眼3Dだが、今後広く普及していくことで、価格も下がっていくことが考えられる。現状では普及しているとは言いがたい大画面3Dだが、テレビ放送でも3Dが増えてきたこともあり、今後コンテンツが充実していきそう。ゲームも続々と登場し、これから急激に伸びていくことが期待されている。
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