2010年の流行語大賞は、NHK連続テレビ小説で話題になった「ゲゲゲの女房」の、「ゲゲゲの」に決定した。トップテンには、「イクメン」「なう」「ととのいました」など、馴染み深い言葉が並んだ。そんな流行語大賞には惜しくも選ばれなかったが、さまざまな商品で使われた言葉がある。それは「フリー」だ。

「フリー」は、ノンアルコールビールをはじめ、ノンカロリーコーラ、さらにブルーレイのプロモーションにまで使われた。そんな「フリー」という言葉を振り返ってみよう。

■ビール市場は「フリー」三昧
2010年は「フリー」でおなじみのノンアルコールのビール市場が絶好調だった。2009年に大ヒットした「キリン フリー」に続いて、サントリーも2010年8月、「フリー」という言葉を使った「オールフリー」を投入した。なんと、販売を一時休止するほどの人気ぶりだった。

糖質ゼロ発泡酒「スタイルフリー」を販売したアサヒビールは、2008年以降3年連続となる1000万ケースを売上げ、2010年11月には累計販売量で15億本を突破した。

2010年は、例年以上に「フリ―」という言葉がビール市場を騒がせたと言っても過言ではないだろう。

■コーラやケープも「フリー」に参入
「フリー」は、ビール業界だけの流行ではない。コカ・コーラシステムは2010年4月、「コカ・コーラゼロ」シリーズから、「オトナが夜のリラックスしたひとときを楽しむための飲み物」をコンセプトとした「コカ・コーラゼロフリー」を発売した。

花王は2010年9月、「ケープ」シリーズより「ケープ フリーアレンジ」を発売した。「ケープ フリーアレンジ」は、ワックスよりも簡単に扱え、しっかりクセづけできるのに手も髪もベタつきから「フリー」にするスプレーだ。

■家電にまで波及した「フリー」
ストレスフリーを謳ったソニーのブルーレイのように「フリー」は家電にまで波及していた。

ソニーは、2010年9月から10月にかけて発売したブルーレイディスクレコーダー「BDZ」シリーズに採用したのが、「ストレスフリー」がキーワードだ。

全モデルが起動・録画・再生といった、レコーダーとしての基本的な「操作・動作性」を大幅に向上させており、これまでレコーダーの起動の遅さ、操作の煩雑さにストレスを感じていたユーザーの不満を解消するものとして話題になった。

スタンダードモデルの「BDZ-AT700」は、発売から1ヶ月で価格比較サイト「価格コム」のブルーレイ・DVDレコーダー部門の売れ筋ランキング1位に選ばれるなど、売上げも好調だった。


2010年は「フリー」がマーケティングのキーワードとなり、密かなブームとなっていた。今年は、どんな言葉がブームとなるだろうか。