Androidが好調で停滞気味だったモバイル市場が活性化してきた。それに押しやられるように固定通信がジリジリと縮小してきている。
IDC Japanが調査した国内通信サービス市場予測で、国内固定系通信サービスの伸び悩みが明らかになってきた。はたして今後もこの傾向が続くのか。

2010年の固定系通信サービスの市場規模は4兆6946億円で前年比成長率マイナス1.7%となった。固定系通信サービスとは、音声、IP電話、ブロードバンド、IPTV、法人WANサービスを含んでいる。この中で法人WANサービスを取り出すと、市場規模が7193億円(前年比マイナス1.5%)で、2007年の7359億円をピークに徐々に下がっていっているのだ。

縮小の原因は市場が飽和していること、不況の影響で企業が高い回線から安い回線に切り替えていること、競争の激化で回線の低価格化が進んでいることなどと分析している。最近では、データセンターやクラウドといったネットワークを利用したサービスが注目を集め、このようなトレンドが法人WANサービスを底上げし、市場を拡大してきそうだが、IDCでは縮小トレンドの影響が強いため、伸びは期待できないとしている。実際に2009年~2014年は、年間成長率がマイナス2.0%で推移し、2014年には6595億円まで落ち込むと予測している。

音声と固定系ブロードバンド(FTTH、ADSL、CATVブロードバンド)は、2010年に計7330回線(前年比マイナス3.2%)で2009年の7599万回線から約270万回線も減少している。これはモバイルだけでデータ通信回線を利用しているユーザーが増えたことが要因の一つとのことだ。これからLTEをはじめとした高速通信回線がモバイル分野で広がっていくため、固定系ブロードバンドが回復に向かうのは難しそうだ。

今後、通信事業者が収益の改善を目指すとすると、単に通信回線だけを提供するのではなく、法人WAN事業者ならクラウドなどの上位レイヤーのサービスをセットで提供し、固定系ブロードバンド事業者ならアプリケーションの充実を図ったり、モバイルに負けない料金体系を作り上げることが必要となりそうだ。

IDC Japan

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