iPhoneアプリを開発している人の中には、アップルのApp Storeで上位ランキングをねらいたい人もいるだろう。去年のアップストアの全米ダウンロードランキングでは、有料総合のNo1アプリは「Angry Birds」、そして第2位は「Doodle Jump」だった。
実は2年前に筆者がiPhoneアプリのことを調べているときに、GClueの佐々木氏に紹介されたアプリが「Papi Jump」であり、「Doodle Jump」をはじめて見たときにびっくりしたものだった。
そのあと、同様のゲームは、リクルートから「SUUMO JUMP」が無料で発表され、つい最近、ナムコから、パックマンがジャンプしていく「PAC'N-JUMP」が発表され、好評を博している。
筆者は、「パクリ」については、完全模倣ではなくオリジナリティが多少でもあれば良いという立場をとっており、それ自体にはなんら問題ないのであるが、この状況についてのいくつかの示唆を述べようと思う。
なお、これだけの事実を読むと、iPhoneアプリの世界がとんでもなく節操のない世界に見えてしまうが、「Mega Jump」のように、明らかにゲーム性を昇華させたようなアプリも生まれており、またユーザに支持されていることも、予めつけくわえておく。
実は2年前に筆者がiPhoneアプリのことを調べているときに、GClueの佐々木氏に紹介されたアプリが「Papi Jump」であり、「Doodle Jump」をはじめて見たときにびっくりしたものだった。
そのあと、同様のゲームは、リクルートから「SUUMO JUMP」が無料で発表され、つい最近、ナムコから、パックマンがジャンプしていく「PAC'N-JUMP」が発表され、好評を博している。
筆者は、「パクリ」については、完全模倣ではなくオリジナリティが多少でもあれば良いという立場をとっており、それ自体にはなんら問題ないのであるが、この状況についてのいくつかの示唆を述べようと思う。
なお、これだけの事実を読むと、iPhoneアプリの世界がとんでもなく節操のない世界に見えてしまうが、「Mega Jump」のように、明らかにゲーム性を昇華させたようなアプリも生まれており、またユーザに支持されていることも、予めつけくわえておく。
■先手必勝!やはり本物は強い
まず注目したいのは、iPhoneアプリの世界で、ゲームメーカーの動きに変化がある点だ。去年のiPhoneのゲームランキング10位以内は、「つみねこ」以外がゲームメーカーの大作ゲームだった。「やはり本物は強い」という印象を与えた出来事だった。
しかし、最近、パックマンに二番煎じをやらせたことや、他の大手ゲームメーカーが簡単なパスルゲームを出したことを見ると、彼らは大作ゲームを作ることを放棄し、個人ディベロッパーの土俵まで降りて来るしかないという状況まで追い込まれているのではないかと思えてしまう。もしかしたら、大手ゲームメーカーの外注先が、名前を借りて出しているという産業構造の変化もあるのかも知れない。
それはともかく、大手ゲームメーカーたちがプライドを捨てて、ミニゲームや二番煎じの世界に来るとなると、個人や弱小のゲームディベロッパーにとっては大変な脅威になるだろう。
ただ、脅威にさらされる彼らはもともと、利益がないところでがんばっているので、実は被害があまりない。
では誰が損をしているのかといえば、ファンを落胆させ、高付加価値のゲームを作らなくなった大手ゲームメーカーこそ、自分の首をしめているのだ。
去年のWWDCでスティーブジョブズは、「iPhoneは素晴らしいゲーム機だ。みんなゲームを作れ!」と鼓舞した。そのような気運もあり、去年はiPhoneに大作ゲームがどっと押し寄せた。しかし、無数の弱小ディベロッパーが、アップストア上で彼らをすぐにランキングの外に追い出してしまう。こうして、大手ゲームメーカーはスティーブジョブズの食い物にされたわけである。
■無料ゲームで有料ゲームを焼き畑にする動き
次に注目したいのは、無料ゲームで有料ゲームを焼き畑にするという動きである。リクルートは「SUUMOJUMP」を無料で公開した。これがどのようなビジネスを意図されているのかは知る由もないが、ポイントはこのゲーム制作の原資が、彼らの広告収入ということである。
「Doodle Jump」のような有料ゲームを買おうとしている消費者に、「無料で使いなよ」と差し出すわけだが、これができるのは、彼らの顧客である一般店舗から広告を頂いているからだ。一般店舗にしてみれば、広告を出さないとお客さんがこないから、麻薬付けのように広告に依存している。
一方で、無料でゲームをダウンロードした消費者もまた、そのような店舗に行くわけだから、知らないうちに広告費分のしわ寄せが来ていることになる。
「一般人にはすべてのものを無料化、その原資は企業からとればいい。」というのは、まさにGoogleの発想だ。さすがに、そんな企業もちゃんとしたゲームをつくれない。しかし、ユーザは、ちゃんとしたゲームではなくても十分だ。
「SUUMOJUMP」は二番煎じであってもいいし、気合いを入れてつくらなくてもいい。外注先に「Doodle Jump みたいのつくっておいてね」といえばすむし、そもそもの彼らの目的をかなえるのに、必要以上のオリジナリティはいらない。
スマートフォンを、マーケティングに活かすという立場の企業は、iPhoneよりも普及台数の多くなるandroidでアプリを作りたがる。彼らは人を集めることが目的で、それ自体のユーザ体験価値を向上させて、ユーザからお金をとるということを目的としていない。つまり有料アプリはandroidでは難しいということだ。
開発ディベロッパーは、オリジナルのアプリを作るよりも、「あのゲームに似たようなものを作ってね」と、企業や代理店から言われた通りに作る方がラクチンだし、その方がお金になる。実際に、iPhoneアプリ開発をしていたベンチャーの多くは、androidに転向し、受託開発をメインにするようになった。
ゲーム業界はスティーブジョブズの好き勝手にされ、アプリディベロッパーは、Googleに好き勝手にされてしまった。我々クリエーターは、こういった波にもめげずに、ユーザの体験価値を生み出し、ユーザを育てていかなくてはならない。時には近視眼的な見方から離れ、俯瞰して歴史に学び、そろそろ自分たちがトライすべきことの原点に立ち返るべきだ。
そもそもiPhoneは、新しいモバイルデバイスを定義し、androidは、「人造人間」にちなんで全ての家電にインテリジェンスを注ぎ込もうとしている。
前者で言えばゲーム機ではないし、後者でいえば携帯電話ではないのだ。我々が目指すべきビジネスは、今目の前にしていることよりも遥かにワクワクするものであるはずだ。
来る4月19日に、「スマート化する時代の新しいビジネス」と題して、業界の大御所を招いた緊急特別講演をする。
今のアプリビジネスに不安をもってしまった方も、これから挑戦する方も、既存のITビジネスとは違った新しい世界に興味あるのならば、ぜひ参加いただきたい。このセッションから、AppleやGoogleを超えるビジネスが生まれるかもしれない。
■スマート化する時代の新しいビジネス
■Eagle株式会社
■探しているiPad/iPhoneアプリが見つかるSNSサイト RainbowApps - レインボーアップス
■初心者OK! 2ヶ月でiPhoneアプリを作る iPhoneアプリ開発スクール
■【iPhoneでビジネスチャンスを掴もう】の記事をもっと見る
・伸びるモバイルに注目!MFC定例会で見るスマートフォンの動向
・お小遣いが稼げるiPhoneアプリは誰でも作れる!ランキング上位の秘訣を伝授
・成功脳を仕込む日記アプリ!運が開ける「アファメーションダイアリー365」
・アプリは作者の写し鏡「本日のOh!-アプずも +α」
・ボクなんかのド素人でも1位をとれる世界なんだ「SM診断」
まず注目したいのは、iPhoneアプリの世界で、ゲームメーカーの動きに変化がある点だ。去年のiPhoneのゲームランキング10位以内は、「つみねこ」以外がゲームメーカーの大作ゲームだった。「やはり本物は強い」という印象を与えた出来事だった。
しかし、最近、パックマンに二番煎じをやらせたことや、他の大手ゲームメーカーが簡単なパスルゲームを出したことを見ると、彼らは大作ゲームを作ることを放棄し、個人ディベロッパーの土俵まで降りて来るしかないという状況まで追い込まれているのではないかと思えてしまう。もしかしたら、大手ゲームメーカーの外注先が、名前を借りて出しているという産業構造の変化もあるのかも知れない。
それはともかく、大手ゲームメーカーたちがプライドを捨てて、ミニゲームや二番煎じの世界に来るとなると、個人や弱小のゲームディベロッパーにとっては大変な脅威になるだろう。
ただ、脅威にさらされる彼らはもともと、利益がないところでがんばっているので、実は被害があまりない。
では誰が損をしているのかといえば、ファンを落胆させ、高付加価値のゲームを作らなくなった大手ゲームメーカーこそ、自分の首をしめているのだ。
去年のWWDCでスティーブジョブズは、「iPhoneは素晴らしいゲーム機だ。みんなゲームを作れ!」と鼓舞した。そのような気運もあり、去年はiPhoneに大作ゲームがどっと押し寄せた。しかし、無数の弱小ディベロッパーが、アップストア上で彼らをすぐにランキングの外に追い出してしまう。こうして、大手ゲームメーカーはスティーブジョブズの食い物にされたわけである。
■無料ゲームで有料ゲームを焼き畑にする動き
次に注目したいのは、無料ゲームで有料ゲームを焼き畑にするという動きである。リクルートは「SUUMOJUMP」を無料で公開した。これがどのようなビジネスを意図されているのかは知る由もないが、ポイントはこのゲーム制作の原資が、彼らの広告収入ということである。
「Doodle Jump」のような有料ゲームを買おうとしている消費者に、「無料で使いなよ」と差し出すわけだが、これができるのは、彼らの顧客である一般店舗から広告を頂いているからだ。一般店舗にしてみれば、広告を出さないとお客さんがこないから、麻薬付けのように広告に依存している。
一方で、無料でゲームをダウンロードした消費者もまた、そのような店舗に行くわけだから、知らないうちに広告費分のしわ寄せが来ていることになる。
「一般人にはすべてのものを無料化、その原資は企業からとればいい。」というのは、まさにGoogleの発想だ。さすがに、そんな企業もちゃんとしたゲームをつくれない。しかし、ユーザは、ちゃんとしたゲームではなくても十分だ。
「SUUMOJUMP」は二番煎じであってもいいし、気合いを入れてつくらなくてもいい。外注先に「Doodle Jump みたいのつくっておいてね」といえばすむし、そもそもの彼らの目的をかなえるのに、必要以上のオリジナリティはいらない。
スマートフォンを、マーケティングに活かすという立場の企業は、iPhoneよりも普及台数の多くなるandroidでアプリを作りたがる。彼らは人を集めることが目的で、それ自体のユーザ体験価値を向上させて、ユーザからお金をとるということを目的としていない。つまり有料アプリはandroidでは難しいということだ。
開発ディベロッパーは、オリジナルのアプリを作るよりも、「あのゲームに似たようなものを作ってね」と、企業や代理店から言われた通りに作る方がラクチンだし、その方がお金になる。実際に、iPhoneアプリ開発をしていたベンチャーの多くは、androidに転向し、受託開発をメインにするようになった。
ゲーム業界はスティーブジョブズの好き勝手にされ、アプリディベロッパーは、Googleに好き勝手にされてしまった。我々クリエーターは、こういった波にもめげずに、ユーザの体験価値を生み出し、ユーザを育てていかなくてはならない。時には近視眼的な見方から離れ、俯瞰して歴史に学び、そろそろ自分たちがトライすべきことの原点に立ち返るべきだ。
そもそもiPhoneは、新しいモバイルデバイスを定義し、androidは、「人造人間」にちなんで全ての家電にインテリジェンスを注ぎ込もうとしている。
前者で言えばゲーム機ではないし、後者でいえば携帯電話ではないのだ。我々が目指すべきビジネスは、今目の前にしていることよりも遥かにワクワクするものであるはずだ。
来る4月19日に、「スマート化する時代の新しいビジネス」と題して、業界の大御所を招いた緊急特別講演をする。
今のアプリビジネスに不安をもってしまった方も、これから挑戦する方も、既存のITビジネスとは違った新しい世界に興味あるのならば、ぜひ参加いただきたい。このセッションから、AppleやGoogleを超えるビジネスが生まれるかもしれない。
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