電子書籍の最新動向をチェック!EPUBへの注目が高まっている理由」でお伝えしたように、紙のように見やすく、一度に多くの書籍を持ち歩けることから、電子書籍端末への注目が集まっている。そうした電子書籍市場に向けて、リコーが画期的な技術を開発した。

リコーは、独自の表示方式により、現在商品化、もしくは発表されているカラー電子ペーパーの技術と比較して、明るさ※で約2.5倍、色再現範囲で約4倍となるカラー静止画像の表示を実現したことを明らかにした。
※白反射率

■カラー電子ペーパーが抱える課題
既存ディスプレイのように内部に光源をもたず、文字や画像を書き換えるとき以外は電力を使用しない電子ペーパーは、環境にも目にも優しいデバイスとして、電子書籍用リーダー用のモノクロ機種が、現在世界で年間660万台が販売され、2011年には1100万台を超えると予測されている。

かねてからカラー化が望まれているが、現在提案されているカラー電子ペーパーの方式は、原理的にも明るさや色再現性の課題が解決されていない。

このため、カラー電子ペーパーの市場は今後の技術開発によって、用途も拡大し、これから大きく成長すると期待されている。

■低コストで明るい表示を実現
リコーは2009年3月、これまでの常識とは異なり、色の3原色(シアン・マゼンタ・イエロー)を発色し、かつメモリ特性を改善した世界初の新規有機エレクトロクロミック材料の開発と、2つの基板間に3つの発色層を形成したシンプルな積層素子構造を提案し、独自表示方式の開発に成功した。これにより、低消費電力、低コストで明るい表示を実現するカラー電子ペーパーの実現可能性を実証している。

この結果に基づき、リコーはこれまでの要素技術の開発段階から高精細な電子ペーパーの試作などの実用化に向けた開発を行い、今回、明るく、色再現性の高いカラー画像を表示させることに成功した。


リコーは今後、実用化に向けた開発を加速させ、信頼性/繰り返し耐久性(数万回の書き換えを保証)の向上と、画面サイズの拡大を図っていくとしている。

最終的には細かい文字も表示できるドキュメントの表示装置を想定しているが、実用化開発と並行して、さまざまなアプリケーションへの展開を検討していくとしている。

リコーの技術によって、電子書籍端末はカラーが当たり前の時代へ突入しそうだ。

リコー

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