2011年5月に日本の各通信事業者が発表した夏モデルの製品はほとんどがAndroid OSを搭載したスマートフォンであり、長らく日本の携帯電話市場のメインストリーム製品であったフィーチャーフォンは過去のものになろうとしている。
世界の中でも日本はハイエンド製品を中心とした独特の市場を形成していたが、今後日本の動きは海外のスマートフォン市場の流れと同調したものになっていくだろう。海外メーカーの最新スマートフォンが日本でもほぼ同時期に発売されるケースも一般的なことになりそうである。
さて世界のスマートフォンのOS動向はこの1年間で劇的に変化している。王者であったSymbianは一気にシェアを落とし、勢いのあったiOSもAndroidに瞬く間に抜かれてしまった。
大手調査会社Gartnerの2011年第1四半期のレポートによると、全世界のスマートフォンOSのシェアトップは36%のAndroidであり、昨年同期の9.6%から大躍進を遂げている。同期のAndroid OS端末の販売台数は3627万台で、これは昨年同期比で実に7倍だ。スマートフォン全体の販売台数は昨年から2倍の伸びを示しているが、Androidの成長はそれを大きく上回っているのだ。
一方、長らくスマートフォンOSのシェアトップにあったSymbianは数を伸ばせず、シェア27.4%で2位に滑り落ちた。昨年同期からの販売台数の伸びは14%と低調。一方iPhoneが好調なiOSはシェア16.8%、端末販売台数の伸びは約2倍であり世界のトレンドの波にきっちりと乗っている。このままの勢いが続けば、来年の第1四半期にはiOSがSymbianを抜いてシェア2位になることは確実だろう。
但しAndroidがここまで勢いを増している状況からすると、iOSのこれまでの成長に影響を与える可能性は高い。例えば2011年4月にAppleがSamsungを訴えた動きの真意は、Androidがいよいよ無視できない存在になったということの表れでもあるのだ。
そしてRIMのBlackBerryはシェア12.9%で4位につけた。昨年同期のシェア19.7%からは低下してしまっているが、端末販売数の伸びは21%とSymbianよりも上回っている。数字だけ見るとBlackBerryの今後が心配になるところだが、新しいQNXプラットフォームの採用がスムースに進めば販売数の伸びは十分期待できる。また他OSよりも強固なセキュリティーソリューションはビジネス需要を今後も離さないだろう。
好調なAndroidとiOS、防戦一方のSymbian、この話題に埋もれているのがMicrosoftのWindows Phoneの不調だ。同OSのシェアは3.6%で昨年同期の6.8%より減少、端末販売台数もわずか約4万台とはいえマイナス成長となってしまった。
Windows PhoneはSamsungやHTC、LGから複数の製品が販売されているもののハイエンドに偏っているためAndoridに競合製品が多く、iPhoneともターゲットユーザーが被っているのが敗因の一つだ。また通信事業者の採用が少ないことも販売数を伸ばしきれていない要因にもなっている。
だが現状だけでWindows Phoneの将来を悲観視するのは早計だ。Microsoftは2011年2月にNokiaとの本格的な提携を発表、Nokiaは4月にSymbianの開発関係者を経営コンサルティングのAccentureに移管することも発表し、スマートフォンは今後Windows Phoneに注力することを決断した。
Symbianは不調とはいえ、第1四半期の販売台数は約2700万台でiOSより6割も多い。仮に今のSymbianスマートフォン利用者の半分がWindows Phoneに乗り換えたと単純計算すると、OSシェアは16-17%となりiOSに並ぶ。
Gartnerが4月に発表した将来のスマートフォンOSシェアの予測によると、2015年にはAndroidが約半数を占め、以下Windows Phone、iOS、RIM/BlackBerryが続くだろうとのこと。Windows Phoneがそれだけ伸びる可能性を秘めているのも、それだけNokiaの影響が大きいということなのだ。
またスマートフォンに注力するSamsung、HTCがAndroidだけではなくWindows Phoneにも積極的な製品展開を行っていることから製品バリエーションの拡大も期待できる。
NokiaのWindows Phoneは年末あたりの登場が予想されている。Symbianの利用者を今後如何にWindows Phoneへと導いていくのか、NokiaとMicrosoftの動きは今年の秋から忙しくなりそうである。
一方AppleはiPhoneの新機種を今年冬に発売予定であり、今年のクリスマスシーズンは各社のスマートフォンが今まで以上に激しい販売競争を繰り広げることになるだろう。
山根康宏
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大手調査会社Gartnerの2011年第1四半期のレポートによると、全世界のスマートフォンOSのシェアトップは36%のAndroidであり、昨年同期の9.6%から大躍進を遂げている。同期のAndroid OS端末の販売台数は3627万台で、これは昨年同期比で実に7倍だ。スマートフォン全体の販売台数は昨年から2倍の伸びを示しているが、Androidの成長はそれを大きく上回っているのだ。
SamsungだけでAndroid端末は10機種前後もある |
一方、長らくスマートフォンOSのシェアトップにあったSymbianは数を伸ばせず、シェア27.4%で2位に滑り落ちた。昨年同期からの販売台数の伸びは14%と低調。一方iPhoneが好調なiOSはシェア16.8%、端末販売台数の伸びは約2倍であり世界のトレンドの波にきっちりと乗っている。このままの勢いが続けば、来年の第1四半期にはiOSがSymbianを抜いてシェア2位になることは確実だろう。
但しAndroidがここまで勢いを増している状況からすると、iOSのこれまでの成長に影響を与える可能性は高い。例えば2011年4月にAppleがSamsungを訴えた動きの真意は、Androidがいよいよ無視できない存在になったということの表れでもあるのだ。
そしてRIMのBlackBerryはシェア12.9%で4位につけた。昨年同期のシェア19.7%からは低下してしまっているが、端末販売数の伸びは21%とSymbianよりも上回っている。数字だけ見るとBlackBerryの今後が心配になるところだが、新しいQNXプラットフォームの採用がスムースに進めば販売数の伸びは十分期待できる。また他OSよりも強固なセキュリティーソリューションはビジネス需要を今後も離さないだろう。
好調なAndroidとiOS、防戦一方のSymbian、この話題に埋もれているのがMicrosoftのWindows Phoneの不調だ。同OSのシェアは3.6%で昨年同期の6.8%より減少、端末販売台数もわずか約4万台とはいえマイナス成長となってしまった。
Windows PhoneはSamsungやHTC、LGから複数の製品が販売されているもののハイエンドに偏っているためAndoridに競合製品が多く、iPhoneともターゲットユーザーが被っているのが敗因の一つだ。また通信事業者の採用が少ないことも販売数を伸ばしきれていない要因にもなっている。
OSの評判はよいが、伸び悩んでいるWindows Phone |
だが現状だけでWindows Phoneの将来を悲観視するのは早計だ。Microsoftは2011年2月にNokiaとの本格的な提携を発表、Nokiaは4月にSymbianの開発関係者を経営コンサルティングのAccentureに移管することも発表し、スマートフォンは今後Windows Phoneに注力することを決断した。
Symbianは不調とはいえ、第1四半期の販売台数は約2700万台でiOSより6割も多い。仮に今のSymbianスマートフォン利用者の半分がWindows Phoneに乗り換えたと単純計算すると、OSシェアは16-17%となりiOSに並ぶ。
Gartnerが4月に発表した将来のスマートフォンOSシェアの予測によると、2015年にはAndroidが約半数を占め、以下Windows Phone、iOS、RIM/BlackBerryが続くだろうとのこと。Windows Phoneがそれだけ伸びる可能性を秘めているのも、それだけNokiaの影響が大きいということなのだ。
またスマートフォンに注力するSamsung、HTCがAndroidだけではなくWindows Phoneにも積極的な製品展開を行っていることから製品バリエーションの拡大も期待できる。
NokiaのWindows Phoneは年末あたりの登場が予想されている。Symbianの利用者を今後如何にWindows Phoneへと導いていくのか、NokiaとMicrosoftの動きは今年の秋から忙しくなりそうである。
一方AppleはiPhoneの新機種を今年冬に発売予定であり、今年のクリスマスシーズンは各社のスマートフォンが今まで以上に激しい販売競争を繰り広げることになるだろう。
山根康宏
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