「京」の最新整備状況


先週のニュースを振り返る今回のITフラッシュバックは、理化学研究所と富士通が共同で開発を進め、世界最速を記録した国産スパコン「京」を取り上げよう。

2011年6月20日、第26回国際スーパーコンピューティング会議ISC'11(ドイツ・ハンブルク開催)で発表された第37回 TOP 500リストにおいて、「京」はLINPACKベンチマークで世界最高性能の8.162ペタフロップスをマークした。

プロジェクトは、当初から10ペタフロップス級のスーパーコンピューターを目指したものだった。開発により、日本のスーパーコンピューティング技術を維持発展させ、共用施設として幅広い計算科学分野で利用できる世界最高のコンピューティング基盤を整備することが、システム開発の目標となっていたのだ。そのために、コンピューターアーキテクチャを含む設計を基本から見直した。

今回、世界一の性能を決めたLINPACKと呼ぶベンチマーク・プログラムで、10ペタフロップスの性能を達成することが目的のすべてというわけではない。

LINPACKでは科学技術分野の計算において、総合的な性能を判断できないからだ。
ナノサイエンス、ライフサイエンス、地球環境、ものづくり、物理などの分野から、計算科学の主だった専門家により選定されたターゲットアプリケーションと呼ぶ評価用プログラムを詳細に分析することで、実際に利用されるアプリケーションでもペタフロップス級の性能を持つシステムを目指している。

この高性能を実現するために採用したのが汎用スカラプロセッサによる超並列システムだ。その汎用プロセッサが富士通のSPARC64 VIIIfxというCPUで、2009年にHPCなどに利用するために開発された。

SPARCとは、もともと1980年代に開発されたRISCタイプのCPUで当時はサン・マイクロシステムズのワークステーション「SPARCstation」などに使われていた。

現在は、複数のベンダーがライセンスを持ち、富士通もそのひとつだ。ここまで書くとわかるように、「京」に採用されているCPUは、スーパーコンピューター用に開発されたものではなく、汎用プロセッサを使用している。

しかも、最先端の45ナノプロセス技術を使用し、動作周波数は2GHzと低く抑えることで、高性能と低消費電力を達成している。さらに高効率の水冷方式を採用することで、チップ内のトランジスタのジャンクション温度を30度で動作させることで、さらに消費電力を低減させた。

これによりCPU当たり、消費電力58ワットで最大性能が128ギガフロップスを達成している。これは、冷却設備や周辺装置を含めたすべての装置の消費電力を10ペタフロップスの性能で30MW以下を目標としたからだ。だからこそ、高性能と低消費電力を両立させることとなった。

ここで新たに開発された技術やノウハウは、エクサフロップス時代のシステム開発に継承していくことが期待されているのだ。

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