いまだに高い人気を誇るiPhone、急激にラインアップが拡張してきたAndroidと、いまやスマートフォンでないとケータイではないと言わんばかりに、市場が盛り上がってきている。

このようなスマートフォン人気でケータイ市場がどのように変化していくかを、マーケティング&コンサルテーションの富士キメラ総研が調査した報告書「2011 スマートフォンビジネス総調査」が明らかにした。
報告書からは、2015年度にはスマートフォン市場は3,550万台規模に達することが予測される。ケータイは年間3,500~3,600万台の市場規模があるため、2015年に販売されるケータイは、ほぼすべてがスマートフォンになる計算だ。

■特定用途以外はスマートフォンに
2010年度はスマートフォンが705万台だった。市場を独占していた「iPhone」に対抗するように、4月にはNTTドコモからソニー・エリクソン製「Xperia」が発売された。これを契機に市場が大きく伸びたのだ。
その後のスマートフォンの拡大は目を見張るモノがある。スマートフォンはデータARPUを増加させることに有効なことから、通信事業者が積極的な販売をすすめている。しかも、従来の携帯電話にしかなかったワンセグやおサイフケータイを搭載することで、買い換え需要を促進させた。さらに、LTE、WiMAXといった高速化が見込まれ、ラインアップの半数以上がスマートフォンになるなど、市場が拡大するための基盤は整っているのだ。
これにより、「らくらくホン」のような特定のニーズにあった携帯電話は残るかもしれないが、それ以外はスマートフォンに置き換わっていくと、富士キメラ総研では見ている。

■タブレットもAndroidが優勢に
タブレットは2010年度は105万台を記録した。2010年5月に「iPad」が登場したことを皮切りに、11月にはNTTドコモがサムスン電子製「GALAXT Tab」を投入した。これにより、市場の拡大が加速したのだ。さらに、2010年12月にシャープが「GALAPAGOS」を発売するなどメーカー製タブレットが市場投入されるなど、電子書籍サービスもタブレット市場の拡大に貢献することとなったのだ。
2015年度には500万台に達し、2010年度比4.8倍になることが予測されている。現在は、個人ユースと法人ユースの割合が7対3だが、2015年度には3対7と逆転すると見られている。OSは2010年にはiOS(iPad)とそのほか(Androidなど)が8対2の割合だったが、Android端末の増加から2011年度には逆転し、2015年には3対7になるとしている。

■アプリケーション市場も拡大
スマートフォンの拡大にあわせて、Androidマーケットなどのアプリケーションストアも拡大すると見込まれている。
ただし、スマートフォンへの乗り換えに伴い、従来の携帯電話向け有料サービスを退会したユーザーは、まず無料アプリケーションをダウンロードすることで、スマートフォンに慣れていくと見ている。このため、過渡期には有料アプリ・サービスが一時的に低迷することが予想されている。さらに、ニュースや天気予報などについては、PC向けサイトを表示しやすいスマートフォンでは無料で情報が見られるため、このようなジャンルの有料コンテンツのニーズは落ち込むとしている。
しかし、スマートフォンでは従来の携帯電話では提供されなかったジャンルが登場したり、大画面、タッチ操作などのハードウェア特性を生かしたコンテンツが登場するため、アプリケーション市場は拡大していきそうだ。
そのため、2010年度には200億円だった課金売り上げが2015年度には5,970億円に、無料アプリ内の広告については10億円が370億円に拡大すると予測している。

このほか、法人向けサービスも立ち上がり始めた。端末の一括管理、紛失時の遠隔ロック、データ削除などを提供するMDM(Mobile Device Management)サービス市場は2010年度には0.3億円程度だったものが2015年度には59億円に拡大しそうだ。
今後需要が見込まれる法人市場へ、新規ベンダーも参入してくることで競争が激化し、市場が拡大していくことが見込まれるのだ。

富士キメラ総研

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