東日本大震災では、全国が電力不足に陥るなど、電力に関する関心が高まっている。
CSに関する調査・コンサルティング専門機関であるジェイ・ディー・パワー アジア・パシフィック(J.D. パワー)が2011年スマートグリッド認知率調査を実施したが、散々たる結果であることが分かった。

節電やエコ意識の高まりから、「効果的な電気の利用に取り組みたい」との回答が全体の82%になっている。さらに「停電回避のためにできる限りの節電に協力したい」(80%)、「風力や太陽光など再生可能エネルギーの使用比率を上げたい」(76%)とエネルギー消費への関心が高くなってきている。このような人々は、「自分の電力消費量を都度確認」することや「リアルタイムでの変動料金の活用」など、商品電力の可視化や電気料金の多様化に大きな期待を寄せているのだ。

この理由は東日本大震災の影響からだが、一方で電力会社への見方はとても厳しいものがある。
電力会社に対する満足度に関する調査では、満足度に与える影響が大きいものから順に、「電力供給の安定性や信頼感」(影響度:32%)、「環境への責任」(同21%)、「顧客対応」(同15%)、「電気料金」(同14%)、「請求や支払いなどの手続き」(同9%)、「情報提供」(同8%)となっている。その結果、電力会社に対する総合満足度は1000ポイント満点中482ポイントにとどまったのだ。アメリカと中国でも満足度を調査しているが、アメリカは642ポイント、中国は706ポイントと、日本の満足度の低さが際だっている。項目別に見ると、「顧客対応」「電力供給の安定性や信頼度」が大きく低いのだ。

消費電力の可視化や電気料金の多様化に応える手段のひとつとして有効なのが、スマートグリッドやスマートメーターの導入だった。
調査ではスマートグリッドを「通信やIT技術を駆使して電力の需要と供給を自動制御する送電網」、スマートメーターを「通信機器やほかの機器の管理機能を持つ高機能型電力メーター」として、それぞれの認知度を調べた。
その結果、スマートグリッドを知っている人の割合は全体の11%、よく知っていると答えた人は2%だった。スマートメーターを知っている人は8%で、よく知っている人はわずか1%しかいなかったのだ。

日本の電力供給は、安定性や信頼性が高いと言われてきたが、それが東日本大震災以降、大きく揺らいできている。しかも、それに対する有効手段のひとつであるスマートグリッド、スマートメーターの認知率は最悪だ。ユーザーの需要に応えるように、スマートグリッドについて、もっとメリットを分かりやすく伝えていくことが必要なようだ。

ジェイ・ディー・パワー アジア・パシフィック

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