「COMPUTEX TAIPEI 2011」のGIGABYTEブースで注目を集めていたmSATA搭載Z68マザーボード「GA-Z68XP-UD3-iSSD」が日本国内でも発売された。

このマザーの最大の魅力は、mSATAコネクターに対応した小型SSDをオンボードしている点だ。これを使えば、SSDキャッシュを利用することによって、既存のハードディスクでもSSD並みに高速化できる「インテルSmart Response Technology」の構築も手間いらずだ。

「インテルSmart Response Technology」は、SSDをキャッシュとして用いることによって、ハードディスク(HDD)の性能を高速化することのできる便利な機能だ。これにより、SSD並みの高速性を安価で大容量なHDDで享受することができるのである。

まさに夢のような技術だが、ひとつだけ問題がある。

この、SSDキャッシュを利用するには、BIOSとOSの両方で設定を行う必要があるため、すでにOSをインストール済みのパソコンの場合、OSを再インストールしなければ、「インテルSmart Response Technology」を使えないというところだ。OSの再インストールは、アプリケーションも再設定し直さなければならないので、手間もかなり掛かる。

このやっかいな問題をあっさり解決してくれるのが、GIGABYTEのEZ SRユーティリティだ。このユーティリティは、今回紹介するmSATA SSD搭載マザーボード以外にも、GIGABYTEのZ68チップセット搭載の全てのマザーボードに対応する。この独自ユーティリティを実行するだけで、「インテルSmart Response Technology」を有効にできるというのだ。

そんな都合のよいことが本当にできるのだろうか?
自作PCユーザーの中には、にわかには信じがたい人もいると思うので、早速、テストしてみた。

■お買い得な「GA-Z68XP-UD3-iSSD」
今回テストに使用したマザーボードは、GIGABYTE「GA-Z68XP-UD3-iSSD」。

「GA-Z68XP-UD3-iSSD」は20GBのm-SATAモジュールSSDを搭載しているが、実売価格は2万3,000円前後で販売されている。ちなみに、SSDがない「GA-Z68XP-UD3」は実売1万8,000円前後だ。

この小型SSDは単品で実売1万2,000円前後となっているので、「インテルSmart Response Technology」を使うのであれば、「GA-Z68XP-UD3-iSSD」を最初から購入したほうが、7,000円ほどお得な計算となる。
m-SATAコネクター対応SSD

なお、m-SATAコネクター使用時は、仕様上、SATA2 Port 5が使えない。
m-SATAモジュール使用時は、仕様上、SATA2 Port 5が使えないが、RAID5まで構築できる


■ユーティリティを設定しよう
まずは、ユーティリティを設定する。「GA-Z68XP-UD3-iSSD」では、「EZ-Smart Response」ユーティリティが付属のドライバーCDに含まれているので、CDから「Xpress Install」を実行し、ドライバーをインストールしよう。

ダウンロードしたSATA RAID Driver(Ver.10.5.0.1027)をインストールして、 Intel SATA がAHCIモードで動作していることを確認したら、システムをシャットダウンした後、SSDを接続してシステムを起動させよう。


■ユーティリティでPCを爆速化してみよう
スタートメニューから「EZ-Smart Responseユーティリティ」を実行する。
EZ Smart Responseユーティリティを実行する。

注意メッセージを確認したら、「OK」ボタンを押そう。たったこれだけで、システムが自動的にRAIDモードに変更される。


システムが再起動すると、自動的にRAIDモードになり、インテルSmart Responseの拡張モードとして自動認識される。
インテルSmart Responseの拡張モードとして自動認識される。

デバイスマネージャーを見ると、自動的にIDモードで動作し、インテルSmart Responseの拡張モードで動作していることが確認できる。
インテルSmart Responseの拡張モードで動作していることが確認できる


■拡張モードと高速モードの違いと賢い使い方
「インテルSmart Response Technology」では、インテルのユーティリティを使うことによって、拡張モードと高速モードの2種類のうちのいずれかひとつを選択できる。
拡張モードは、データをSSDとHDD両方同時に書き込んでいるため、片方のデータが失われてもキャッシュが残っている。
拡張モードのベンチマーク結果

一方、最速モードは、拡張モードのように両方同時に書き込んでいると時間が掛かってしまうので、先にSSDに書き込み、後からHDDに転送するというやり方をとる。拡張モードよりも高速だが、HDDに書き込む前にSSDでデータが失われてしまった場合、データを取り戻すことができない。
最速モードのベンチマーク結果

試しに、Windows 7の起動時間を測定してみた。「インテルSmart Response Technology」の高速モードを有効にした場合、起動時間はHDD単体に比べて約40秒も高速化された。

(パソコン環境)
MB :GIGABYTE「GA-Z68XP-UD3-iSSD」
CPU:Intel Core i5 2500K
HDD:ST31000340AS 1TB(SATA3_0接続:システムドライブ)
電源:KRPW-P630W/85
OS :Windows7 Ultimate 64bit
GIGABYTE「GA-Z68XP-UD3-iSSD」のパソコン環境



「インテルSmart Response Technology」によるSSDキャッシュを利用するためには、BIOSの設定に加え、OSのインストールを行う必要があるが、「EZ-Smart Response」ユーティリティを利用すれば、OSインストール後でも手軽にSSDキャッシュを有効にできた。さらにSSDキャッシュを有効にすることで、Windows 7の起動時間までも高速化できた。

「EZ-Smart Response」ユーティリティは、GIGABYTEだけのユーティリティとなっており、他社の製品で提供されるという情報は現在のところない。mSATA搭載Z68マザーボードの購入を検討している自作PCユーザーには、このメリットはGIGABYTE製品を選択する大きな魅力と言えるだろう。


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