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NTTドコモはSony Ericsson製のスマートフォン、Xperia ray(SO-03C)の発売を発表した。海外でもこの秋には各国で販売が開始される予定で、Sony Ericssonのスマートフォンラインナップは厚みが増し他社に負けない強固なものになる。
Xperia rayは、各社がスペックを競い合っているハイスペック製品ではなく、端末のデザインに特化したモデルちなっている。そのため価格も低めに抑えられており、幅広い層に受け入れられるだろう。
Sony Ericssonのスマートフォンの2011年夏ラインナップは、Xperia arc/Xperia PLAYというハイエンド製品の下に、3.7インチディスプレイを備えたXperia neo/Xperia proというモデルを揃え、また小型のXperia mini/mini proは価格の安さで若年層をうまく取り込んでいる。
アクティブ層向けのスポーツ端末、Xperia activeもまもなく発売予定だ。同社の各製品は機能がそのまま価格差に現れており、製品ラインナップは機能/価格帯でちょうど3つに別れている格好だ。
だが最近はスマートフォン利用者の拡大に合わせ、機能よりもデザインを重視するユーザーも増えている。特に女性層にもスマートフォン利用が広がったことから、各社はよりデザインを強化した製品をラインナップに加えている。
SamsungのGalaxy AceやHTCのWildfire Sなどはその代表例であり、全体のスペックはミッドレンジクラスながらもスタイリッシュな外見が特徴だ。また価格もハイエンド製品よりも大幅に安い。
Sony EricssonのXperia arcを始め、SamsungのGalaxy SIIなど各社のハイエンドモデルはもちろんデザインも重視した作りなっている。だが最新のハイエンド製品は4インチクラスの大型ディスプレイを搭載しており、年々サイズは大型化している。
もちろんディスプレイやCPUスペックの向上はユーザーエクスペリエンスを高めてくれるが、全ての消費者がハイスペック製品を求めているわけではない。特に手軽にスマートフォンを使いたいと考える層にとっては、機能よりもコストパフォーマンスが重要だ。そして最も数が出るのがこれらの一般的なコンシューマー層向けの製品なのである。
Xperia rayは3.3インチディスプレイ搭載と、ハイエンド製品を見慣れた層からすると物足りなさを感じるかもしれないが、横幅93mm、厚み9.4mm、重量100gのボディーは細身で持ちやすく、そのボディーはアルミ合金製のためしっかりとした強度とシャープなシルエットを両立させている。
価格はXperia arcよりもかなり安くなるが、ベースが金属のため高級感があるボディーは安っぽさを感じさせない。Xperia rayのような「デザインと機能のバランスが良い」製品はこれからスマートフォンに乗換えを考えているコンシューマー層にとって、十分魅力的に見えることだろう。
さて日本で発売されるXperia ray/SO-03Cは基本的にはグローバルモデルであり、日本固有のサービスには基本的には対応しない。メールや絵文字などソフトウェアで対応できるものはローカライズがしっかり行われるものの、ワンセグとおサイフ機能はハードウェアを搭載していないことから対応は難しい。
Xperia acroのように日本向けのモデルがこのXperia rayにも後から用意されることも考えにくいだろう。日常的にこれらの機能を使っている消費者にとっては、乗換えを悩ませるところだ。
だがXperia ray/SO-03Cは幸いなことにハイエンド製品ではないために、フル機能を搭載していなくても価格の安さで消費者へアピールすることができるだろう。もちろん本体デザインの良さも特徴であり、スマートフォンに乗り換えたい、でもスマートフォンは難しそう、と考えている層にも向いている製品だ。
「お手軽、簡単」というイメージをうまく植えつけることができれば、他のハイスペック製品よりも販売ランキング上位に顔を出すことも十分ありうるだろう。
なお海外の一部の国では複数の端末で同じ電話番号を利用できる「マルチSIMカード」サービスが提供されている。スマートフォンの普及が進み、このマルチSIMカードサービスも利用者が増えている国もあるという。
これは例えばフィーチャーフォンとスマートフォンそれぞれに別々のSIMカードを挿しながらも、どちらも同じ電話番号が利用でき、料金も合算できるサービスである。通話はフィーチャーフォン、データ通信はスマートフォン、と使い分けるユーザーには便利な存在だ。
日本でもこのマルチSIMカードサービスが導入されれば、海外メーカー製のグローバルスマートフォンへの乗り換えもよりしやすくなるだろう。たとえばXperia rayを買い、今まで使っていたワンセグ+おサイフ付きのフィーチャーフォンのほうにはマルチSIMカードサービスのもう1枚のSIMカードを入れる。
そうすればワンセグやおサイフは従来のフィーチャーフォンを使いつつ、メインではXperia rayを使う、ということも出来るわけである。グローバルモデルの普及に合わせ、このサービスはぜひ日本でも導入してもらいたいものだ。
NTTドコモだけではなく、ソフトバンクも手軽な価格と使いやすさを重視したシンプルスマートフォン008Zを投入するなど、日本にもスペック以外を重視した製品が少しずつ増えている。
海外市場ではもはやハイエンドよりミッドレンジ以下のスマートフォンのほうが種類が多い状況になっているが、それらの製品の中には日本でも通用するモデルがまだまだ隠れているかもしれない。Xperia rayが日本で成功すれば、海外のグローバルモデルの日本投入が今後さらに加速することになるだろう。
山根康宏
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女性をターゲットにした、スタイリッシュなXperia ray |
Sony Ericssonのスマートフォンの2011年夏ラインナップは、Xperia arc/Xperia PLAYというハイエンド製品の下に、3.7インチディスプレイを備えたXperia neo/Xperia proというモデルを揃え、また小型のXperia mini/mini proは価格の安さで若年層をうまく取り込んでいる。
アクティブ層向けのスポーツ端末、Xperia activeもまもなく発売予定だ。同社の各製品は機能がそのまま価格差に現れており、製品ラインナップは機能/価格帯でちょうど3つに別れている格好だ。
だが最近はスマートフォン利用者の拡大に合わせ、機能よりもデザインを重視するユーザーも増えている。特に女性層にもスマートフォン利用が広がったことから、各社はよりデザインを強化した製品をラインナップに加えている。
SamsungのGalaxy AceやHTCのWildfire Sなどはその代表例であり、全体のスペックはミッドレンジクラスながらもスタイリッシュな外見が特徴だ。また価格もハイエンド製品よりも大幅に安い。
Sony EricssonのXperia arcを始め、SamsungのGalaxy SIIなど各社のハイエンドモデルはもちろんデザインも重視した作りなっている。だが最新のハイエンド製品は4インチクラスの大型ディスプレイを搭載しており、年々サイズは大型化している。
もちろんディスプレイやCPUスペックの向上はユーザーエクスペリエンスを高めてくれるが、全ての消費者がハイスペック製品を求めているわけではない。特に手軽にスマートフォンを使いたいと考える層にとっては、機能よりもコストパフォーマンスが重要だ。そして最も数が出るのがこれらの一般的なコンシューマー層向けの製品なのである。
Xperia rayは3.3インチディスプレイ搭載と、ハイエンド製品を見慣れた層からすると物足りなさを感じるかもしれないが、横幅93mm、厚み9.4mm、重量100gのボディーは細身で持ちやすく、そのボディーはアルミ合金製のためしっかりとした強度とシャープなシルエットを両立させている。
価格はXperia arcよりもかなり安くなるが、ベースが金属のため高級感があるボディーは安っぽさを感じさせない。Xperia rayのような「デザインと機能のバランスが良い」製品はこれからスマートフォンに乗換えを考えているコンシューマー層にとって、十分魅力的に見えることだろう。
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持ちやすいサイズに必要十分な機能を搭載 |
さて日本で発売されるXperia ray/SO-03Cは基本的にはグローバルモデルであり、日本固有のサービスには基本的には対応しない。メールや絵文字などソフトウェアで対応できるものはローカライズがしっかり行われるものの、ワンセグとおサイフ機能はハードウェアを搭載していないことから対応は難しい。
Xperia acroのように日本向けのモデルがこのXperia rayにも後から用意されることも考えにくいだろう。日常的にこれらの機能を使っている消費者にとっては、乗換えを悩ませるところだ。
だがXperia ray/SO-03Cは幸いなことにハイエンド製品ではないために、フル機能を搭載していなくても価格の安さで消費者へアピールすることができるだろう。もちろん本体デザインの良さも特徴であり、スマートフォンに乗り換えたい、でもスマートフォンは難しそう、と考えている層にも向いている製品だ。
「お手軽、簡単」というイメージをうまく植えつけることができれば、他のハイスペック製品よりも販売ランキング上位に顔を出すことも十分ありうるだろう。
なお海外の一部の国では複数の端末で同じ電話番号を利用できる「マルチSIMカード」サービスが提供されている。スマートフォンの普及が進み、このマルチSIMカードサービスも利用者が増えている国もあるという。
これは例えばフィーチャーフォンとスマートフォンそれぞれに別々のSIMカードを挿しながらも、どちらも同じ電話番号が利用でき、料金も合算できるサービスである。通話はフィーチャーフォン、データ通信はスマートフォン、と使い分けるユーザーには便利な存在だ。
日本でもこのマルチSIMカードサービスが導入されれば、海外メーカー製のグローバルスマートフォンへの乗り換えもよりしやすくなるだろう。たとえばXperia rayを買い、今まで使っていたワンセグ+おサイフ付きのフィーチャーフォンのほうにはマルチSIMカードサービスのもう1枚のSIMカードを入れる。
そうすればワンセグやおサイフは従来のフィーチャーフォンを使いつつ、メインではXperia rayを使う、ということも出来るわけである。グローバルモデルの普及に合わせ、このサービスはぜひ日本でも導入してもらいたいものだ。
NTTドコモだけではなく、ソフトバンクも手軽な価格と使いやすさを重視したシンプルスマートフォン008Zを投入するなど、日本にもスペック以外を重視した製品が少しずつ増えている。
海外市場ではもはやハイエンドよりミッドレンジ以下のスマートフォンのほうが種類が多い状況になっているが、それらの製品の中には日本でも通用するモデルがまだまだ隠れているかもしれない。Xperia rayが日本で成功すれば、海外のグローバルモデルの日本投入が今後さらに加速することになるだろう。
山根康宏
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