4月ぐらいから、どうも個人ディベロッパーたちが、ランキングから消えているようだ。
AppStoreが開設されて3年の間に、多くの参入企業が淘汰するなか、去年は個人ディベロッパーの母数が後押しして、ランキング上に多彩な顔ぶれが見えていた。

ところが、某著名アプリレビューサイトの編集者は、「3.11以降、個人ディベロッパーは死んでしまった」と言う。震災による民意の変遷が、直接関与するのかわからないが、少なくともひとつの流れが終わったのだ。

3年前、iPhoneに可能性を見いだした先取り開発者が目立った時代、ゲームメーカーがビッグタイトルを移植し始めて、かつてのガラケー事業者が参入した時代、いつでもモンスターのように映っていた個人ディベロッパーが脅威ではなくなったのだ。

個人ディベロッパーの活躍場所は、主に無料アプリで、一発勝負のエンタメ、チョイゲーだった。あとはツール類を有料で売るという数少ない一角も担っていた。

ところが無料アプリの分野でも、個人にとっては莫大な広告費を出す法人企業が増えてきた。さらに、法人企業の方がいいアプリを作るようになったことで、なおさら個人ディベロッパーにとって市場が厳しくなってきた。

今回は勢いのよい法人企業の動きを考察しながら、個人ディベロッパーがどう戦えばよいかを提言したいと思う。

法人も収益性の低いうえに、モンスターユーザーの心ないレビューにさらされている。市場概況としては依然厳しいのであるが、次々にランキングを駆け上るアプリを市場に投入している、ハンゲーム(NHN)、アドウェイズ、サイバーエージェント(およびグループ各社)、GREE、モバゲー(DeNA)を例にあげ、各社の動きについて感じたところをまとめてみたい。

いずれの企業も、去年はまったくと言っていいほどiPhone界では目立たなかった。おそらく試行錯誤の1年があったからこそ、今日があるのだと先に指摘しておく。

■先陣をきったハンゲーム
4月以降、まず目立ったのがハンゲームだった。100億円で100本のアプリを作るというようなニュースリリースがあったところを見ると、おそらくたくさんの食えていない制作会社に潤いを与えたのだと思われる。

当初、レビューに国籍差別のバッシングまであったが、今ランキング上位にいるアプリはレビューもよくなっている。何本も何本も出しては改善していく企業姿勢には頭がさがる。

外注を食わせて、なおかつブランドをあげ、ユーザーも増えて来たところで、圧倒的な強みのある自社コンテンツのMMORPGがいつ到来するのかワクワクするところだ。

■ビジネスの基本を見せつけたアドウェイズ
次に注目されたのはアドウェイズ。「怪物クロニクル」の大ヒットは、ガラケーを専業とするソーシャルアプリプロバイダーを刺激した。
このアプリはコンシューマー課金のみならず広告ビジネスもやっており、同社の強みが活かされている。

誰もやらない時に先にやってしまうというビジネスの基本の「キ」を見せつけられた。彼らが出すゲームは、いわゆるプラットフォーム(GREE、モバゲー)に乗っておらず、自社アプリのみだけでの集客とマネタイズが成立している。

今までプラットフォームありきとされていた業界の常識がぶっ壊されたのである。

■無料化戦略を進めるGREE
GREEは、有料アプリで売り上げをあげていたアプリを無料化する戦略で、多くのヒットコンテンツをGREEプラットフォームに乗せて来ている。

もう旬を過ぎたアプリを抱えるディベロッパーにとっては2度目の果実を得ることとなり、これからソーシャルゲームで参入する企業のために、ユーザーアカウントを増やしている。

■底力を見せるモバゲー
モバゲーはようやく本格化ソーシャルゲーム「忍者ロワイヤル」でその底力を見せつけつつある。
前述の「怪物クロニクル」がWEB主体のゲームであるのに対して、「忍者ロワイヤル」はネイティブゲームもきっちりと作り込んでいる。

GREEとモバゲーは、レビューにて、課金導線の多さにバッシングを受けている際中であるが、ハンゲームのようにきちんと評価をあげていくかどうかが注目されるところだ。

■着実にランクを上げるサイバーエージェント
最後にあげる注目の企業がサイバーエージェントグループだ。アプリのジャンルやビジネスモデルが多岐にわたり、何をしたいのかわからないが、とにかく着実にランキングを上げているところが天晴だ。

彼らはいち早く、「FreeAppNow」で法人企業向けリワード広告を立ち上げ、事業としても成果をあげたようだ。法人企業にとってアプリ開発を開発するだけではなく、広告を出してランキングを上げてからが勝負だ。

このような企業に対するBtoB向けサービスが、今後は続々と登場するだろう。


以上、今回は奇しくもゲームジャンルに偏ってしまったが、5社について述べてみた。どの会社にも言えることは、法人企業同士による結託につきる。ある時は開発を流し、ある時は広告を買い、ある時はプラットフォームを提供するなど、モンスターユーザーに対抗すべくサービスや収益性をよりよくしている。

かつてのガラケー時代、広告主、広告代理店、開発会社、コンテンツホルダーなど、多くのプレイヤーが適切であろう「富の分配」をしていた。これと同じことが、スマホビジネスにも起こりつつあると予見される。

■個人ディベロッパーよ!結託せよ
さて、このような市場概況のなか、個人ディベロッパーは何をすればいいのだろう。私は、レインボーアップススクールの受講生たちに、「みなさんで結託してください。企業であろうと個人であろうと関係ありません。」と言って来た。

今こそ、できるところで結託しなくてはならない時だ。企業にしたって、個人ディベロッパーと結託したくてたまらないはずだ。

ひとつ確かなことが言えるのは、「今のレベルではユーザーが満足していない」ということだ。モンスターユーザーが悪態をつくことがむなしくなるようなサービスを、みんなで結託して作るしかない。そんな局面に我々は来ている。

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