スマート家電のデモ


スマートフォンにスマートTVなど何にでも“スマート”が付く世の中になりつつあるようだが、家電の分野もこれからは“スマート”なスマート家電になっていくようだ。日本では東日本大震災以降、電力が直近の課題となっているが、原子力や火力に変わり太陽光など再生可能エネルギーが増えていくことは確実だ。これらと合わせ、節電などのために各機器の制御や、使用電力の可視化なども課題になっている。

富士通が5月17日から18日まで開催している富士通フォーラム2012では、これらの動きに合わせたスマート家電関連の「スマートシティ」がひとつの目玉になっている。
■送電網と電力の制御
「スマートグリッド」という言葉を聞いたことがあるだろう。今後、一般家庭に於ける太陽光発電など、小規模な発電が様々な場所で行われるようになると、発電所からの電力に加えて、そうした小規模発電によって生まれた電気のやり取りなどをインテリジェンスに行える送電網の最適化が必要となる。その仕組みがスマートグリッドである。

スマートグリッドで各家庭に於ける小規模発電の電気の配分と発電所からの送電を最適化したあとに必要になるのが、実際に電力を使用する家庭や事業所内などの電力の制御だ。無駄な電力やピーク時の電力を削減するためには、実際にどの程度電力を使用しているかの可視化が必要になる。

様々な機器を自動制御すれば、ユーザーは生活レベルを落とすことなく、自動的に節電が可能となる。それらを家庭内で制御するのがHEMS(Home Energy Management System)という仕組みだ。さらにビルの電力制御のBEMSなどもあり、これらの複雑なシステムを連携させて行くことが今後の省エネの課題とされている。

富士通 SSPF


その中で、家庭内の家電制御に関係するHEMSを実現する規格がECHONET Liteだ。この規格は日本企業が中心のエコーネットコンソーシアムが策定した物で、国際標準にもなっている。日本の家電製品にはこのECHONET Liteを採用した物が登場するようだが、これらの対応製品が出ても、それを制御するための機器などをうまく連携しなければ意味がない。

富士通フォーラムに合わせて発表されたSSPF(スマートセンシングプラットフォーム) V10は、ECHONET Liteや様々な機器などを連携するためのプラットフォームで、これを使えば省エネなどのマネージメントシステムを容易に構築できる物となっている。

■将来の省エネ家電選び
エンドユーザーがこの製品を購入するわけではないし、今回紹介した規格などが今後国際的に普及するかどうかは、まだわからない。しかし、今後の家電製品などはこのような標準規格に対応し、うまく連携できるようにした製品が続々と登場してくる予定で、10年、20年単位で状況も一変しているかもしれない。

特に、エアコンや冷蔵庫など長期間使用するような家電製品を使用する際は、これらの規格に対応した物かどうかも考慮して購入の検討をする必要が出てきそうだ。住宅の購入やリフォームの際にも、これらを実現できるスマートハウスに対応出来るようにしておく必要があるのかもしれない。

エコーネットコンソーシアム
富士通SSPF

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。