以前の筆者記事でも予想したように、アップルがWWDC 2012に合わせて発表した新しいMacBook ProがRetinaディスプレイ対応となった。今回対応したのは筐体が新しくなったMacBook Pro 15インチの最新モデルだけで、他のモデルではいくつかの改良点はあるものの、ディスプレイ解像度は従来通りだ。今回は新しくなった解像度やアスペクト比を検証してみよう。

■この解像度で何が出来る
画素密度は220ppi(1インチあたりのピクセル数)で、15.4インチの画面に2880×1800ピクセルの解像度となっている。このアスペクト比(縦横の比率)は16:10だ。16:9などのテレビ用などでは無く、従来のPCで一般的なアスペクト比とサイズを採用したことになる。文字の表示などが綺麗になるのは当然として、様々な分野のクリエイターにこの解像度は役に立つだろう。

例えば、ソフトウェア開発者には、最新のiPadを縦位置にした場合、2048ピクセルが必要なのでこの解像度ではそのまま表示することは出来ないが、横位置ならノート型のMacでもそのままの解像度で表示することができる。従来、iPad用のiアプリを開発する際、ディスプレイ解像度をそのまま表示するには27型のiMacなどが必要だったが、これがノートパソコンでもそのまま表示できるようになる。

また、映像制作関係者には、フルHD解像度の動画の再生も縮小することなく、「Final Cut Pro X」などの動画編集ソフトでも解像度そのままで編集することができる。もちろん、より一般的なユーザーにも表計算ソフトでのデータ表示など様々な面で高解像度は利点がある。

■現実的な解像度を選択
シャープや旧東芝モバイルディスプレイなどは、500ppi前後の画素密度のディスプレイを各所でデモしていたし、iPhoneは326ppiだが、ノートパソコン用のRetinaディスプレイとしてアップルが選んだのが220ppiとなった。この解像度ならコスト面や消費電力、将来性などを含め、現時点で現実的なところだったのだろう。将来、さらに4Kなどの対応を考えても、単純に2倍の解像度にすれば5760×3600ピクセルになり、余裕で4Kの動画を実サイズで再生することもできるようになる。実際、Retina対応では無いMacBook Proの価格と比べても、仕様が異なるため単純な比較は難しいが、Retina対応によるコスト高はそれほどではないようだ。

おそらく、ディスプレイの供給に余裕がでるなどすれば、順次MacBook AirなどにもこのRetinaディスプレイは採用となるだろう。同程度の解像度なら13.3インチで2500×1562ピクセル程度、Proの17インチがでるなら3200×2000ピクセル程度。ピクセル数を今回のMacBook Proに合わせるなら、13.3インチで242ppi程度、17インチで190ppi程度になる。MacBook AirなどのRetina対応を期待している方は、いつになるかわからないが、しばらく待つというのも悪くはないだろう。

MacBook Pro


上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。

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