楽天が電子書籍サービス「Raboo」の終了を発表した。Rabooは2011年8月に開始され、パナソニックのUT-PB1などでサービスが利用できたが、約1年ほどで終了することになる。注目すべきはその終わり方だ。

楽天は別の電子書籍サービスkoboを2012年7月に開始したが、Rabooで購入した書籍をkoboに移管するようなことはしない。Rabooで購入したのと同じタイトルのkobo対応版が無償でダウンロードできるわけではない。

電子書籍サービスは紙の書籍とは違い、サービスが終了してしまうと購入した書籍が読めなくなったり、端末がそのサービス専用なら無駄になってしまう。数年は続いてくれると思ってRaboo対応端末を購入した人でがっかりしている人も多いのではないだろうか。

以前、電子書籍はそのサービスが終了すれば将来読めなくなるという内容を記事にした。今回の楽天のRabooの場合、すでにダウンロードした書籍に関しては、その端末が壊れずに使える限り読むことはできるが、書籍を新しくダウンロードすることは2013年3月31日以降できなくなる。

つまり、Rabooのサービスで購入した書籍は、将来端末が故障して使えなくなれば読めなくなると言うことだ。

紙の書籍の場合、物理的に紙に印刷された書籍を購入するので、出版社が倒産しても、購入した書店がつぶれても書籍を所有する限り読むことができる。対して電子書籍の場合、その書籍に対応した端末が利用できる限り読むことができるが、そのサービスが終了するなどすれば、新しい書籍の購入などができなくなり、専用端末なら新しい書籍も購入できず、過去に購入した古い書籍しか読めなくなることになる。

電子書籍端末に利用されているテクノロジーは常に進化しており、どんどん読みやすく使いやすくなってきており、おそらく将来的にも成長して行く分野であることは間違いない。しかし、汎用性のない独自サービスであれば、そのサービスが終われば、そのサービスにしか使えない専用端末は利用できなくなる。

Rabooの場合、サービスを提供していた楽天がkoboという新しい電子書籍サービスを開始した。Rabooとkoboの両方で提供されている書籍があれば、Rabooで購入した書籍をkoboで再ダウンロードできるようになるのが理想だが、そのようなことは行われない。

代わりに提供されるのは、Rabooで購入したコンテンツ代金の何割かの楽天スーパーポイントやkobo Touchの割引クーポンなど。これらはkoboでの新しい書籍購入などに利用する事ができる。Rabooが1年しか持たなかったことを考えると、koboが来年あるかどうかといった不安にかられるユーザーも多いかもしれない。

不幸中の幸いは、パナソニックのUT-PB1などのRabooで利用された端末は、そのサービス専用の端末ではなかったという点。Rabooを利用しようと思ってUT-PB1などを購入した方は、紀伊國屋BookWebPlusなどで書籍を購入できるので、これからも新しい書籍を読むことができる。

音楽配信サービスは著作権保護のDRMがなくなりつつあるが、電子書籍サービスはDRM付きがほとんどで、サービスを提供している企業がサービスを終了すれば購入した書籍が将来読めなくなってしまう。

日本での電子書籍サービス自体乱立状態だ。今回のようにサービスが開始し1年程度で終了するようなサービスもある。新しいものだからと安易に飛びつく前に、その端末の汎用性のチェックや数年間は安心して利用できるサービスかどうかをメーカーサイト等でチェックし、それでも使いたいと納得した上で利用するのがいいだろう。あとで泣きを見るのは私たちユーザーなのだから。

上倉賢@kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
皆さんがデジタル機器の「通」に近づくための情報を、皆さんよりすこし通な執筆陣が提供します。


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