昨日はWindows 8タブレットのスペックについて解説したが、今日もタブレットの話題。WindowsマシンはOS(マイクロソフト)とハードウェア(PCメーカー)といった感じで、それぞれを別の会社が開発している。特にハードウェアは各社が競争しているため、様々なバリエーションの製品が流通しているのがWindowsの魅力にもなっている。

そのWindowsマシンに求める条件は、人それぞれだろうが、一般的には競合製品よりもより高性能だったり、コストパフォーマンスが高いことが製品選択で重視される。

Windows 8で本格的に展開が期待されるのがiPadなどのタブレット製品に直接競合することになる「Windows 8タブレット」だ。ただ、いくつかの製品を見る限り、性能面で、いまいちだと感じる製品が少なくない。

■Clover Trailがサポートする命令セットは32ビットまで
多くのWindows 8対応タブレットは、インテルのAtom Z2760(Clover Trail)を採用している。x86系CPUを採用するメリットはARM系に比べハイパフォーマンスなことと、従来のソフト資産を生かせると言うことだ。

実際に、Atom Z2760は多くのARM系CPUに比べてパフォーマンスは高いし、従来のソフトもそのまま動かすことができる。

また、現在のx86系CPUの中で、コネクテッドスタンバイに唯一対応するCPUでもあり、スマートフォンのようにスリープ中でもメール受信が可能になっており、PCをよりスマホライクに近付ける新しい活用方法もできるようになっている。

しかし、このZ2760自体で使える命令セットは、最近のパソコンでは当たり前になりつつある64ビットではなく32ビットまでだ。必然的に利用できるOSも32ビット版Windowsとなり、認識できるメモリーは最大3.2GBで、それ以上は使えない。そのため2GBのメモリー容量の製品ばかりになってしまっている。

32ビットでメモリーが2GBでも、Windows 8はOS自体の動作が軽いので、OSの動作や一般的なソフトの動作自体にはあまり影響はない。しかし、最近では一部のソフトが64ビット版の利用を前提に作られるなど、32ビット版では動かないソフトがいくつか出てきてしまう。

■動作しないソフトがあることでユーザーの落胆を誘うことも・・・
例えば、AdobeのAfter Effectなど、映像関連製品に多い64ビット版専用のソフトは動作しない。このようなソフトをAtomで動かしても満足なパフォーマンスは期待できないが、“動作しないソフトがある”という点でユーザーに「動かないなら、いらない」という意識が生まれてしまう可能性もある。

何でもできるオールマイティに使いたいのであれば、液晶画面が回転してノートにもタブレットにも変化するようなお高いコンバーチブルタイプのUltrabookやCore i7を搭載するパフォーマンスタブレットを使えばいいだけかもしれない。

「値段の安いAtomのタブレットに何を期待しているの?」と言われそうだが「できるんだけどやらない」のと「できない」のでは、まったく感じるところが違うだろう。

各社から続々と発表されるWindows 8タブレットは、とりあえず使える性能ではあるものの、iPadやAndroidタブレットが今後性能を向上させてきた場合、現状では太刀打ちできない。対抗するためには、よりいっそうの性能向上が必須となるだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

digi2は「デジタル通」の略です。現在のデジタル機器は使いこなしが難しくなっています。
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