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アップルが2013年第1四半期(2012年10月から12月)の決算を現地時間の1月23日に発表した。それ以前に日経新聞の飛ばし記事をウォールストリートジャーナル(WSJ)が真に受けた記事を掲載、そのために時間外で大幅に株価が下落、1日で巨額の時価損失額になってしまった。

思った以上にiPhoneの販売台数がアナリスト予想に届かなかったとか、成長が鈍化しているなどと話題になり、iPhone簡易版を出すとか出さないとか、とにかくいろいろな噂が絶えない会社である。2012年はRetinaディスプレイ搭載モデルの拡大やiPhone 5、iPad miniの発売といった具合に非常に人気の出た商品をリリースしたことで、株価も上昇、企業価値を十分に高めることができた。

対して2013年は、決算の発表が思ったよりも良くなかったということで若干株価は下落のほうに動いているようだ。
同社の経済的な動きも重要だが、アップルが今までどう動いて来て、そしてどの方向に向かっているのかについて見てみたい。

例えば同社のプレスリリースの内容を過去のそれと比較すると、アップルという会社の主力製品や展開している地域が、ここ何年かで大きく変化していることがよくわかる。

■元はPC(Mac)をメインにしていた
アップルは2001年にiPodを発売するまでは、Windowsと双璧をなすOSとハードウェアを持つパーソナルコンピューターの会社だった。iPodの販売が順調になり始めた2003年後半には、決算報告でもiPodの販売台数を公表するようになったが、それまでは地域別の売り上げと、iMacやiBookなど、Macの各製品の売り上げが決算報告の中心だった。

iPodの販売数が年間5000万台規模になった2006年より、Macの販売台数はデスクトップとポータブルという簡略化した表示に変更され、iPodなどはMac以外の製品として表示していた。iPhoneが発売された2007年には発売などに先駆け、社名をアップルコンピューターからコンピューターを外しアップルとしている。

その後、Mac以外の製品カテゴリーとして2008年にiPhoneが加わり、2011年にiPadが加わった。地域別の売り上げとして、2010年にアジアパシフィックが追加された。

このアジアパシフィックの売り上げは2001年までは公開されていたが、日本と比べると、5分の1程度で少なかったことなどもあったのか、その後公表されるデータからは除外された。ところが2009年頃にはアジアパシフィック地域の売り上げが日本の売り上げを超えてしまった。そこで再度アジアパシフィックの売り上げを公開するようになった。

このように時流に合わせてリリースに盛り込む内容を変えてきたアップルだが今回、大きく変わったのが、MacとMac以外という大きなカテゴリーの中のサブカテゴリーにあった各製品の売り上げを、iPhone、iPad、Mac、iPodという4つの製品カテゴリーにわけた点だろう。

この大きな変更は、iPodの売り上げ割合がMacに近づいた2006年以来となる。今ではアップルをスマホやタブレット系(iPhone)が中心の会社という認識をしている人が多い。MacBookやiMacがアップルを支えていた時代が終わりを告げ、iOS端末メインの会社へと変化、そのため対外的に公表するデータも同社がMacを中心としていた時代が変わりつつあることが理解できる。

また、地域別では、アジアパシフィックから中国、香港、台湾が「Greater China」という1つのカテゴリーに分離されたことも注目だ。この地域の売り上げ総数は2012年には日本の売り上げを超えていたようだ。iOSやOS Xに中国圏向けの機能を追加しているのも、この辺に理由があると見ていいだろう。

今後のアップルの成長を支えるのは中国や、まだ本格的に進出していない地域や製品カテゴリーだろう。製品展開によっては、現在は、地域的に一緒になっているため、具体名が書かれていない地域、iPadやiPhoneに代わる製品カテゴリーが追加されるようになるのだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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