楽天は2013年4月3日、日本外国特派員協会(The Foreign Correspondents’ Club of Japan)において、同社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史 氏による記者会見を開催した。

会見では、直近の楽天の取り組みを事例に、産業競争力会議の民間議員として提言している日本の国際競争力向上策や、同氏の新刊洋書「Marketplace 3.0: Rewriting the Rules of Borderless Business」についての紹介があった。

会見はすべて英語で行われたが、日本語しかわからない人のために日本語の同時通訳があった。

■コラボレーションを重視
「グローバルでNo.1のインターネット企業を目指す」として、楽天は海外で様々な会社を買収してきた。昨年の7月に社内の公用語を英語に切り替えたのも、通訳なしで仕事を円滑にこなすための施策のひとつだ。
新刊洋書「Marketplace 3.0」について語る、三木谷社長


三木谷氏は冒頭、自身の新刊洋書「Marketplace 3.0: Rewriting the Rules of Borderless Business」について、
『出版社は「breaking the rules(ルールを破壊する)」としたかったようだが、日本ではあまりにアグレッシブに受け取られやすいことから、「rewriting the rules(ルールを書き換える)」というコンセプトにした。』と、副題の「Rewriting the Rules of Borderless Business」について語った。
三木谷氏の新刊洋書「Marketplace 3.0: Rewriting the Rules of Borderless Business」


同氏は、
「我々が率いる組織は海外のIT企業とはまったく性質が違うということ。そして楽天市場のモデルも非常にユニークである。哲学的にも概念的にもグローバルな競争相手とは異なる。このあたりを含めたうえでの内容となっている。」と、「Marketplace 3.0」の内容について触れた。

「97年に楽天を創設した当初、Eコマースそのものが非常に小さな分野だった。楽天はほぼ存在がなく、Amazonやe-bayも小さかった。しかし、中小企業の店舗に対して、Amazonは大きな力を貸した。その結果、国内外でたくさんの商品が売れるようになった。」と、当時を振り返る。

「そこで、我々自身もこうした中小の店舗に対して、どのように力添えできるのかというのを考えた。インターネットを使ってビジネスを壊すのではなく、どのように力添えできるのかということだ。」と、同社の楽天市場について語った。

楽天はEコマース企業に対して、そのビジネスを壊すのではなく、サポートすることに注力しており、コラボレーションを重視している。

競合他社の事業は自動販売機のようなモデルであり、利便性は高く、競争力もある。しかし、購入の段階で人間の関わりを一切感じないという。
会見のようす


「我々が狙っているのは、バザールのような体験感である。店舗ごとにユニークな属性があり、明確な特徴を持っている。差別化された商品があり、特定の分野や消費者に向けた商品を展開している。店舗とお客様との対話もリッチなものである。店舗と消費者との間で、巨大なネットワークを確立するというのが我々の狙いである。インターネット・ショッピングは次の段階にきている。これこそが第三フェーズである。」と、同社の事業について語った。

楽天市場は、本物のショッピング・アーケードを鏡映しでインターネットの中に実現したものであるという。その結果、住宅地にもある魚を売っているような小さな店舗でも、同社のネットワークに入ることができる。価格的にも、Amazonに比べて安いということが往々にしてあるそうだ。さらに共通のプラットフォームを使うことで、巨大なAmazonとも戦えるという。これが「Marketplace 3.0」の考え方だ。
楽天市場はバザールのようなもの


■TOEICの平均スコアは200点以上もアップ
楽天といえば、ファーストリテイリング(ユニクロ)とともに、いち早く英語の社内公用語化に踏み切ったことで、物議をかもしたことが記憶に新しい。

三木谷氏は、
「我々はサービスを提供する企業である。日本で生み出したサービスを提供するためには、その理念そのものを輸出しなければならない。単に英語をしゃべれる人を採用するだけでなく、日本語しかしゃべれない人であっても、もうひとつ高いステージにあげることだ。若い社員だけでなく、私よりも年齢の高い社員も英語を勉強するようになった。」と、同社の英語に対する取り組みを説明した。

一例として、TOIECの試験結果について触れ、平均スコアは200点以上も上がったことを紹介した。まだまだ改善できるという。ちなみに新規採用者は、平均827点以上だというから驚きだ。日本で採用したエンジニアの半数は外国人であるという。
TOEICの平均スコアは200点以上もアップした


会見の中で三木谷氏は、
「個人としては大変喜んでいる」と語ったのち、堀江氏が懲役2年6月の実刑を受けたことについては「彼が受けた刑については、重すぎたのではないかと感じていた。いずれにしても、プロ意識を高く持たなければならない。とくにインターネットの世界では、境界がない。法的に許されるもの、許されないものとの境界は曖昧だが、高い倫理意識を持たなければならない。」と、、本年3月27日に仮釈放された 旧ライブドア 元社長の堀江貴文氏についても軽く触れた。
堀江氏について語る三木谷社長


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著者:Hiroshi Mikitani
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