レノボ・ジャパン株式会社製品事業部部長仲西和彦氏


各調査会社のデータの発表によると、世界的にパソコンの販売が低迷しているようだ。本来なら新しいOSのWindows 8やUltrabookなどの新製品で勢いを付けたかったところだろうが、業界全体でうまくいっていない模様である。

魅力あふれるPCが登場してきているにも関わらず残念なことであるが、PC以外の選択肢が多様化した結果と見ることができる。今まではパソコンでしかできなかったことが、スマートフォンやタブレットなどでもできるようになったことが大きいと言える。

スマホやタブレット相手に戦う必要が出てきたわけで、今後パソコンの需要を伸ばすためには、新しいOSやノートパソコンの延長上の製品では厳しいということになる。そうした中で、パソコンメーカー各社はどのような戦略を立てているのだろうか。今回は、ThinkPad Helix発表に合わせ、発表されたレノボの「PC+戦略」を紹介しよう。

レノボは日本ではNECと協業してPCを生産するなど、積極的な戦略で世界市場でのシェアを伸ばしている。レノボのThink製品事業部長の中西和彦氏が同社の製品戦略の基本となっている「PC+」というキーコンセプトを解説したので紹介しよう。



至極当たり前のことだが、レノボは、パソコンを取り巻く環境が刻々と変化して来ており、それに合わせてPCも進化させ、世の中に必要とされるPCを提供していかなければならないと考えているそうだ。

また、以前ならパソコンだけでやっていたようなことを、スマートフォンやタブレットなどを状況によって使い分けるようになっており、これも踏まえていかなければならないとも考えているという。PCでしかできないことはPCにやらせ、それ以外で可能なことは何もPCで行う必要はないという。

そのため、レノボは「PCそのものを突き詰めていくという考え方」だけでなく「この状況で使うのはPCなのか、それ以外(スマホやタブレット)なのか、他にもどういったデジタルデバイスが最適なのか」という考えを取り込むことで、現在の成長につながったのだという。



現状のスマホ&タブレット人気を考えるとこうした考え方自体は、当たり前のことだ。レノボがPCだけにこだわらずに、処理を行わせる様々な方法を追求し、それを実現するためのイノベーションを引き起こすことが、いくつものユニークな製品開発につながっているという。

例えば、USB接続のモニター「ThinkVision LT1421」、WindowsとAndroidが動作する「ThinkPad X1 Hybrid」など見た目でわかる製品に加え、PCの性能を突き詰めた「ThinkPad X1 Carbon」や「ThinkCentre M92p Tiny」などが、そうした考え方に基づく製品であるという。

そして「ThinkPad Helix」は、キーボード部分と液晶部分が取り外せるという、見た目にインパクトのある新機能に目を奪われがちだが、実はPCとしての性能も突き詰めたイノベーティブな製品でもあるのだ。

たとえば単純にパソコンとしてもタブレットとしても使える製品であり、どちらかを買おうか考えている人にはThinkPad Helixは良い選択肢になる。

ただ、5万円前後から提供されている10インチサイズのタブレットと比較すると、価格が約3倍の16万円程度からとなってしまい、スマホやタブレットと比べると一般市場で大量に売れる製品ではない。しかし、こうした新技術は枯れて行くことで安価に提供されるようになるわけで、そのためには出すことが重要になる。

このようにThinkPad Helixに使われた技術は、今回で終わったわけではなく、形を変え次のThinkPadや、レノボのIdeaPadなど、様々な製品に生かされていくことで、同社のパソコンがぐんぐんと進化し、成長していくわけだ。こうした進化の仕方を続けて行く限り、同社の製品の魅力が失われることはないだろう。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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レノボ・ジャパン Lenovo ThinkPad X1 Carbon Win8 34434VJ (2012年冬モデル・ブラック)
レノボ・ジャパン Lenovo ThinkPad X1 Carbon Win8 34434VJ (2012年冬モデル・ブラック) [エレクトロニクス]