東芝パソコンシステムのFA用パソコン |
日本マイクロソフトによれば、2012年に国内で稼働中のWindows XP搭載パソコンは、企業向けで1419万台、個人向けで1170万台、合計2589万台となり日本で稼働しているPC全体の33%になるという。
マイクロソフトがセキュリティ上危険なWindows XPから、新しいOSであるWindows 8への移行を促したとしても、コストをかけたくなかったり、セキュリティ意識に対する無関心などでOSを移行しない人は多いだろう。
そもそも、ビジネス利用で使っているPCは、Windows 7などにアップデートできるかもしれないが、製造装置などに組み込まれている制御用PCやコンビニのPOSレジ、ファミリーレストランの注文用端末といった組み込み型の場合、OSをアップデートするのがそう簡単にはできなかったりする。
■意外と歴史の古い組み込み型PC
製造装置や測定機器の制御用にパソコンが使われるようになって、はや20年以上が経過した。ケースによっては制御用としてNECのPC-9801シリーズを使用した機器が、現役で使われている環境もあるかもしれないし、Windows 95やIBMのOS/2 Warpなど、とっくの昔にサポートが終了しているOSを搭載したパソコンが現役で稼働中である可能性が高い。
ビジネスユースにおけるパソコンは一般的に5年程度で減価償却した後、新モデルに置き換わるが、製造装置などは10年、20年使用されることがあたりまえで、メンテナンスしながら20年、それ以上使用されている製造装置や測定機器は、それこそ世界中に存在している。
インターフェイスに現在でも普及している機器を利用し、定期的に最新機器がリリースされているような量産機器の場合、ソフトウェアが対応できれば、制御用のPCだけを更新できるオプションを提供している場合もある。この場合、制御用のパソコン自体とソフトウェア、関連の費用で安ければ数十万円程度で更新できるだろう。
しかし、専用に開発された機器の制御用パソコンを更新するには、ほとんど新規開発に近くなり、少なくとも数百万円程度からの予算がかかる場合がある。事務用のパソコンなら新しいパソコンを導入すれば、動作速度が速くなって生産性の向上につながるが、一定の動作を繰り返すだけの製造装置の制御用パソコンを入れ替えても生産性向上には直接貢献しない。
Windowsの場合、OS発売から10年間は問題なく利用できるが、2014年にWindows XP向けのマイクロソフトのサポートがなくなるという理由だけで10年に一度、制御用のPCを多額の費用をかけて更新しようという中小企業や町工場はほとんどないだろう。
そもそも、それらの製造装置や測定機器に使われているパソコンのハードウェアやOS、ソフトなどは不都合がなければ導入当初のまま使い続け、セキュリティ関連含め一切アップデートされないこともある。
このような環境でのセキュリティ対策は、ネットワークに接続しないスタンドアローン利用が大原則であり、フロッピーディスクやUSBメモリーなどを使用してデーターを読み書きする場合でもウイルススキャンが完了しているものだけを使うといった、使う人がセキュリティ対策を行うというアナログ的な運用でセキュリティリスクは回避することができる。
■組み込み型XPマシンの更新を計画的に行うべし
しかし、各店舗とネットワーク回線、それも専用回線ではなく、コストが安いからとインターネット回線で接続されているようなケースでは、Windows XPマシンは来年以降、無防備な状態のまま放置されることになる。リプレースする予定を立てていたとしても、一気に進めるのではなく、各地域ごとに移行期間を設けてリプレースするといった計画である場合、自分たち用PCのリプレースの順番が回ってくるまで仕方なく古い環境を使い続けるところは多いだろう。それが半年かかるのであれば、半年間は危険と隣り合わせということになる。
サポートが終了したからといって、すぐに危険というわけではないが、ぜい弱性が発見された際に一気に危険度が増加してしまう。来年以降、Windows XP搭載PCのセキュリティリスクは高くなることはあっても低くなることはないのだ。
いまは問題なくても、今後いつどんな問題につながるかはわからない。XPのPCを大量保有している企業は、1年後かけて現在使っている組み込みPCのWindows XPマシンを更新する計画を立てる必要があるだろう。
上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]
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【CPUセット】Microsoft DSP版 64bit SP1 日本語 Microsoft Windows7 Professional 64bit SP1 OEM [DVD-ROM]
製造装置や測定機器の制御用にパソコンが使われるようになって、はや20年以上が経過した。ケースによっては制御用としてNECのPC-9801シリーズを使用した機器が、現役で使われている環境もあるかもしれないし、Windows 95やIBMのOS/2 Warpなど、とっくの昔にサポートが終了しているOSを搭載したパソコンが現役で稼働中である可能性が高い。
ビジネスユースにおけるパソコンは一般的に5年程度で減価償却した後、新モデルに置き換わるが、製造装置などは10年、20年使用されることがあたりまえで、メンテナンスしながら20年、それ以上使用されている製造装置や測定機器は、それこそ世界中に存在している。
インターフェイスに現在でも普及している機器を利用し、定期的に最新機器がリリースされているような量産機器の場合、ソフトウェアが対応できれば、制御用のPCだけを更新できるオプションを提供している場合もある。この場合、制御用のパソコン自体とソフトウェア、関連の費用で安ければ数十万円程度で更新できるだろう。
しかし、専用に開発された機器の制御用パソコンを更新するには、ほとんど新規開発に近くなり、少なくとも数百万円程度からの予算がかかる場合がある。事務用のパソコンなら新しいパソコンを導入すれば、動作速度が速くなって生産性の向上につながるが、一定の動作を繰り返すだけの製造装置の制御用パソコンを入れ替えても生産性向上には直接貢献しない。
Windowsの場合、OS発売から10年間は問題なく利用できるが、2014年にWindows XP向けのマイクロソフトのサポートがなくなるという理由だけで10年に一度、制御用のPCを多額の費用をかけて更新しようという中小企業や町工場はほとんどないだろう。
そもそも、それらの製造装置や測定機器に使われているパソコンのハードウェアやOS、ソフトなどは不都合がなければ導入当初のまま使い続け、セキュリティ関連含め一切アップデートされないこともある。
このような環境でのセキュリティ対策は、ネットワークに接続しないスタンドアローン利用が大原則であり、フロッピーディスクやUSBメモリーなどを使用してデーターを読み書きする場合でもウイルススキャンが完了しているものだけを使うといった、使う人がセキュリティ対策を行うというアナログ的な運用でセキュリティリスクは回避することができる。
■組み込み型XPマシンの更新を計画的に行うべし
しかし、各店舗とネットワーク回線、それも専用回線ではなく、コストが安いからとインターネット回線で接続されているようなケースでは、Windows XPマシンは来年以降、無防備な状態のまま放置されることになる。リプレースする予定を立てていたとしても、一気に進めるのではなく、各地域ごとに移行期間を設けてリプレースするといった計画である場合、自分たち用PCのリプレースの順番が回ってくるまで仕方なく古い環境を使い続けるところは多いだろう。それが半年かかるのであれば、半年間は危険と隣り合わせということになる。
サポートが終了したからといって、すぐに危険というわけではないが、ぜい弱性が発見された際に一気に危険度が増加してしまう。来年以降、Windows XP搭載PCのセキュリティリスクは高くなることはあっても低くなることはないのだ。
いまは問題なくても、今後いつどんな問題につながるかはわからない。XPのPCを大量保有している企業は、1年後かけて現在使っている組み込みPCのWindows XPマシンを更新する計画を立てる必要があるだろう。
上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]
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