2024年まで保守されるWindows XPを搭載する日立の産業用パソコン


昨日紹介したように、10年単位で利用されることが当たり前の製造装置や測定機器で制御用にPCを利用している場合、OSのサポートが終了したとしても、それに合わせてOSが更新されることはほとんどない。

セキュリティ対策は、当然問題だが、長期間の運用後にハードウェアが故障してしまった際の対策も問題になる。
製造装置や測定機器の本体は、故障した場合、それを製造したメーカーのサポートで対処できるが、制御用に使用しているパソコンが故障した場合、そのパソコンが古ければ古いほどメンテナンスが困難になることがある。

パソコンに使われているテクノロジーはドッグイヤーで常に進化し続けているため、時間がたつほど対応パーツ類の入手が困難になる。

■メーカー独自のサポートが継続する場合も
製造業では、長期間連続動作する製造装置向けのFA用パソコンの存在がある。FA用パソコンの場合、万が一ハードウェアが故障しても、製造元が長期間の保証をしていれば、ある程度安心して使用できる。

FA用パソコンは長期間同じモデルが提供され保守期限も長い。例えば、日立産業用コンピュータ「HF-Wシリーズ」では、納入日から最大10年間としている。実際は契約上の保守終了後でも部品などがあれば対応する企業は多いが、それも保守期限終了後5年から最大10年程度が限界だろう。


■規格の進化で交換パーツが入手できなくなるケースも
例えば、パソコンの故障原因で多いのがHDDだ。HDDが故障した場合、HDD自体を交換しバックアップから復活させればいいが、テクノロジーの変化でインターフェイス(IDEとSCSIやSATA)の変化やBIOS上の容量制限の壁といった様々な問題があり、簡単には修理できない場合がある。

HDDは現在SerialATA(SATA)というインターフェイスが使われているが、2000年代初めまではIDE(E-IDE、パラレルATA)というインターフェイスが一般的に使われていた。IDEとSATAはインターフェイスが異なるので、古いIDEインターフェースに、そのままSATAのHDDは接続できない。このため、古いIDEのHDDを探してくるか、IDEからSATAに変換するアダプターが必要になる。現在はそれほど入手は難しくないが、将来は入手困難になる可能性がある。

さらにSCSI接続のHDDなどは、SCSIインターフェイスが現在のPCでは完全に排されているためインターフェイス増設から行わなければならない。

そしてSCSIには規格があり、Ultra SCSI、Wide SCSI、Ultra Wide SCSI、Ultra2 SCSI、Ultra2 Wide SCSI、 Ultra160、Ultra320)といった各規格に対応している機器でないと接続できない。なおSCSIは現在、SATAと一部互換性のあるSerial Attached SCSI(SAS)へと移行中だ。この辺の規格が混在していると、規格を調べるところから始めないといけなくなり、相当な労力がかかってしまう。

さらに、それよりも古い環境では3.5インチフロッピーディスクドライブ(FDD)などを利用していると思うが、1990年代はUSBメモリーもなく、大きなデータを扱うために、MOやLS120(240)などを使っている機器もあるかもしれない。これらの機器はメディアもまだ入手可能で、ドライブが壊れても中古市場でなんとか入手できれば復活させることはできるかもしれない。

しかし、ZipやJazなどのマイナーなリムーバブルドライブを使用している場合、メディア自体がすでに入手困難だし、ドライブが故障した場合、中古市場で探すのも困難だ。したがってドライブを復活できる可能性が低くなる。

■パーツの交換に法外な値段がかかる場合も
それだけではない。メモリーエラーが頻発するようなケースでEDO DRAM、SDRAM、Direct RDRAMといった古い規格のメモリーが必要なケースでは、メモリーモジュールが存在しても値段が高騰していたりする。数千円で済んだパーツが数万円まで跳ね上がっていたりして、メモリーモジュール1枚だけの交換なのに非常にコストがかかってしまう可能性がある。

このようにパソコンの場合、古くから使われ続けている汎用的な機器に比べ、世代交代や規格変更が頻繁に繰り返されるため、入手困難になってしまったデバイスを交換、修理するとなると相当のコストや労力がかかる。

そして機器の制御にPCが使われる機械を導入する側も、長期間使用することを見越しているのであれば、こうしたパーツの入手性まで考慮する必要がある。

「壊れました・・・でも直せません」とういことだけにはならないようにしたい。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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