資産運用においても「自己責任」が強調されています。しかし金融についての知識が十分でない一般の生活者にとって、「貯蓄から投資の時代」と言われ、他方で自己責任とは酷な話です。
自己責任の時代とは、アドバイザーをどう生かすかという時代にほかなりません。資金力や情報力などで劣りがちな個人が、自己流でプロと伍していくことはほぼ不可能。しかし、個人ならではの「強み」もあります。
今回は、投資信託についてお話しします。
■個人だからこそ長期・分散投資を
個人の強みは、一年ごとの決算期という区切りがないということです。プロは決まった区切りごとに「結果」を出さなければなりませんが、個人のスパンは(本来)もっと長いものです。つまり、時間を武器にできます。だからこそ、生活者にとっては長期投資が基本スタンスとなるべきなのです。
長期投資においては、複利効果は「宇宙最強」の力!資産運用の考え方で述べたように、「複利効果」を味方につけることが重要なポイントです。これが、10年後、20年後の実際の運用成果を変えます。
最大の敵はブレ(リスク)です。長期運用の中で「まったく負けない」ことは不可能で、下ブレをなるべく抑えること、「大きく負けない」ことが重要です。ブレの抑制には「資産分散」がもっとも効果が高いとされています。
値動きの異なる複数の資産を適切に組み合わせることで、ポートフォリオのリスクは長期的には小さくなります。非常に単純化して言えば、株式投資のみで銘柄が同業種だけ、というような投資は絶対に避けるべきです。株式だけだとしても、銘柄、業種、市場、国などを分けることで、リスクは一定程度は軽減できます。ただ、個人でこの分散投資をするのはかなり大変です。
そこで、投資信託の出番です。投資信託とは、「投資家から集めた資金をまとめ、プロが株式や債券などで運用、得られた収益(または損失)を分け合う金融商品」です。投資信託は、リスクを抑えるため、分散投資を基本方針に掲げているものが大多数です。
分散投資の選択肢の一つに加えておくべきでしょう。
■是非のある分配型ファンド
ところが、投資信託でも、複利効果に反する商品が人気になっています。日本の投資信託の残高は60兆円超ですが、なんと半分近くが複利を放棄した分配型ファンドが占めています。
分配型ファンドは複利でない(単利)の上、元本を取り崩す場合もあるので、一般的に投資効率は良くありません。他方、複利運用のファンドのメリットは大きなものがありますが、価格が暴落した場合の損失も一般的には大きくなります。
分配型ファンドの代表格は、世界でも有数の残高を誇る「グローバル・ソブリン・オープン」(通称グロソブ)です。先進国の国債や格付けA格以上の政府機関債などに投資する投資信託で、ほとんどの銀行、証券会社で販売している人気投信です。
なぜ、グロソブは人気があるのでしょうか。毎月決まった額の分配金を出している(2013年4月は1万口あたり35円)ことが、一般投資家に安定感を感じさせていることが大きいと思われます。これに「複利効果がないので……」という批判をしてもあまり意味はありません。グロソブは、投資家のニーズをとらえたから成功したわけです。
筆者としては、毎月分配型の投資信託は、年金プラスアルファを期待するような退職金運用などに限り有効であると考えています。50歳代までは、主に成長資産を軸とした分配金を出さないファンドで運用するのがベターだと思います。このように、それぞれのニーズに合わせた資産運用法の選択、商品購入を心がけることが重要なのです。
次回も、投資信託について述べたいと思います。
(小沼正則)
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通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した!
著者:ジェームズ・リカーズ
朝日新聞出版(2012-09-07)
販売元:Amazon.co.jp
個人の強みは、一年ごとの決算期という区切りがないということです。プロは決まった区切りごとに「結果」を出さなければなりませんが、個人のスパンは(本来)もっと長いものです。つまり、時間を武器にできます。だからこそ、生活者にとっては長期投資が基本スタンスとなるべきなのです。
長期投資においては、複利効果は「宇宙最強」の力!資産運用の考え方で述べたように、「複利効果」を味方につけることが重要なポイントです。これが、10年後、20年後の実際の運用成果を変えます。
最大の敵はブレ(リスク)です。長期運用の中で「まったく負けない」ことは不可能で、下ブレをなるべく抑えること、「大きく負けない」ことが重要です。ブレの抑制には「資産分散」がもっとも効果が高いとされています。
値動きの異なる複数の資産を適切に組み合わせることで、ポートフォリオのリスクは長期的には小さくなります。非常に単純化して言えば、株式投資のみで銘柄が同業種だけ、というような投資は絶対に避けるべきです。株式だけだとしても、銘柄、業種、市場、国などを分けることで、リスクは一定程度は軽減できます。ただ、個人でこの分散投資をするのはかなり大変です。
そこで、投資信託の出番です。投資信託とは、「投資家から集めた資金をまとめ、プロが株式や債券などで運用、得られた収益(または損失)を分け合う金融商品」です。投資信託は、リスクを抑えるため、分散投資を基本方針に掲げているものが大多数です。
分散投資の選択肢の一つに加えておくべきでしょう。
■是非のある分配型ファンド
ところが、投資信託でも、複利効果に反する商品が人気になっています。日本の投資信託の残高は60兆円超ですが、なんと半分近くが複利を放棄した分配型ファンドが占めています。
分配型ファンドは複利でない(単利)の上、元本を取り崩す場合もあるので、一般的に投資効率は良くありません。他方、複利運用のファンドのメリットは大きなものがありますが、価格が暴落した場合の損失も一般的には大きくなります。
分配型ファンドの代表格は、世界でも有数の残高を誇る「グローバル・ソブリン・オープン」(通称グロソブ)です。先進国の国債や格付けA格以上の政府機関債などに投資する投資信託で、ほとんどの銀行、証券会社で販売している人気投信です。
なぜ、グロソブは人気があるのでしょうか。毎月決まった額の分配金を出している(2013年4月は1万口あたり35円)ことが、一般投資家に安定感を感じさせていることが大きいと思われます。これに「複利効果がないので……」という批判をしてもあまり意味はありません。グロソブは、投資家のニーズをとらえたから成功したわけです。
筆者としては、毎月分配型の投資信託は、年金プラスアルファを期待するような退職金運用などに限り有効であると考えています。50歳代までは、主に成長資産を軸とした分配金を出さないファンドで運用するのがベターだと思います。このように、それぞれのニーズに合わせた資産運用法の選択、商品購入を心がけることが重要なのです。
次回も、投資信託について述べたいと思います。
(小沼正則)
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朝日新聞出版(2012-09-07)
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