前回は、分散投資と投資信託についてお話ししました。
投資信託とは、多数の人から資金を預かり、専門家がそれを運用することで得られた収益(または損失)を分け合う金融商品です。投資対象は株式や債券、不動産などさまざまなな上、期間が限定されたものや無期限のものなど、その組み合わせはほとんど無限。銀行や郵便局でも販売していますので購入は簡単です。ただ、現在ファンドは7000本以上存在し、純資産は72兆円以上。うち公募投信が4500本近くありますから、どれを買うか悩んでしまいます。
今回は、投資信託を購入する際の注意点について述べていきたいと思います。
■目論見書をしっかりと読もう!
投資信託を始めるとなると、誰もがまず「どれを買えばもうかるのか?」という質問を発することでしょう。
ファンドのリストを見て、初心者がまず見るのが、「騰落率プラス○%」といった過去の運用成績と評価会社がつけた星の数です。「過去5年間の成績が騰落率20%プラス、星5つ」となっていれば、「よいファンド、もうかるファンド」のように見えます。
でも、ちょっと待ってください。投資信託には、運用の設計書ともいうべき「目論見書」があります。集められた資産の運用は、規定された運用方針に則って行われることになっていますので、目論見書をきちんと読めば、その中味や運用法についてはおよそ見当がつきます。これをきちんと読み、「何に投資するファンドなのか」を理解することが重要です。
その上で、先ほどの「騰落率プラス○%」や評価会社の星の数を見てみましょう。
とくに、騰落率のプラス・マイナスについては、その期間の市場平均(ベンチマーク)と照らし合わせて見る必要があります。ベンチマークもさまざまで、日本株への投資なら日経平均株価やTOPIXが標準です。たとえば「10%プラス」のファンドであっても、その期間の市場平均が「20%プラス」なら、他のファンドと比べて成績の悪いファンドということになります。逆に、市場が20%下落しているにもかかわらずマイナス10%であれば、成績のよいファンドということになります。
■「星の数」も時期を考えること
次に、評価会社による「星の数」です。モーニングスター、S&Pなどといった評価会社による星は、過去の数字を元にファンドの成績を示したものです。
大事なことは、「市場の波」を理解すること。時期によって、国内株式全般が好調だった時期、大型株(発行済み株式数が2億株以上の銘柄)が好調な時期など、市場には波があります。ゆえに、単に星の数を比較するだけでファンドの良否を決めることはできません。ファンドを国内債券、国内小型株、海外・欧州株、不動産などの種類ごとに分類し、その枠内でどれが成績がよかったかという観点でつけられる小分類でのレーティングを見ておくことです。
それにしても、過去の数字や星の数はあくまでも「過去」を示すものです。市場は常に変動しており、誰にも将来は予測できません。投資信託への評価は、予測不可能なものを、どれだけ予測していくかという作業でもあるということです。
■投資目的こそ最重要
投資信託はもちろんですが、資産運用についてもっとも重要なことは、あなたが「何のために投資を行うのか」ということです。「3年後に必要な子どもの入学資金」「10年後に家を買うため」「20年後の老後の資金」と、目的は人によってさまざまです。目的によって投資期間や達成目標額は変わってきますし、それぞれの資産状況によって投資額やリスク許容度(どのぐらいまで資金が減っても耐えられるか)も異なります。よって、投資対象も変わってきます。
ですから、万人に共通する「よいファンド」というものはあり得ません。よって、銀行や証券会社の営業マンが、開口一番「これはよいファンドです」とパンフレットを持ってきたら、疑ってかかるべきです。
「星5つ」、あるいはマスコミで話題のファンドであっても、あなたにとってよいファンドであるとは限らないのです。
(小沼正則)
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ファンドのリストを見て、初心者がまず見るのが、「騰落率プラス○%」といった過去の運用成績と評価会社がつけた星の数です。「過去5年間の成績が騰落率20%プラス、星5つ」となっていれば、「よいファンド、もうかるファンド」のように見えます。
でも、ちょっと待ってください。投資信託には、運用の設計書ともいうべき「目論見書」があります。集められた資産の運用は、規定された運用方針に則って行われることになっていますので、目論見書をきちんと読めば、その中味や運用法についてはおよそ見当がつきます。これをきちんと読み、「何に投資するファンドなのか」を理解することが重要です。
その上で、先ほどの「騰落率プラス○%」や評価会社の星の数を見てみましょう。
とくに、騰落率のプラス・マイナスについては、その期間の市場平均(ベンチマーク)と照らし合わせて見る必要があります。ベンチマークもさまざまで、日本株への投資なら日経平均株価やTOPIXが標準です。たとえば「10%プラス」のファンドであっても、その期間の市場平均が「20%プラス」なら、他のファンドと比べて成績の悪いファンドということになります。逆に、市場が20%下落しているにもかかわらずマイナス10%であれば、成績のよいファンドということになります。
■「星の数」も時期を考えること
次に、評価会社による「星の数」です。モーニングスター、S&Pなどといった評価会社による星は、過去の数字を元にファンドの成績を示したものです。
大事なことは、「市場の波」を理解すること。時期によって、国内株式全般が好調だった時期、大型株(発行済み株式数が2億株以上の銘柄)が好調な時期など、市場には波があります。ゆえに、単に星の数を比較するだけでファンドの良否を決めることはできません。ファンドを国内債券、国内小型株、海外・欧州株、不動産などの種類ごとに分類し、その枠内でどれが成績がよかったかという観点でつけられる小分類でのレーティングを見ておくことです。
それにしても、過去の数字や星の数はあくまでも「過去」を示すものです。市場は常に変動しており、誰にも将来は予測できません。投資信託への評価は、予測不可能なものを、どれだけ予測していくかという作業でもあるということです。
■投資目的こそ最重要
投資信託はもちろんですが、資産運用についてもっとも重要なことは、あなたが「何のために投資を行うのか」ということです。「3年後に必要な子どもの入学資金」「10年後に家を買うため」「20年後の老後の資金」と、目的は人によってさまざまです。目的によって投資期間や達成目標額は変わってきますし、それぞれの資産状況によって投資額やリスク許容度(どのぐらいまで資金が減っても耐えられるか)も異なります。よって、投資対象も変わってきます。
ですから、万人に共通する「よいファンド」というものはあり得ません。よって、銀行や証券会社の営業マンが、開口一番「これはよいファンドです」とパンフレットを持ってきたら、疑ってかかるべきです。
「星5つ」、あるいはマスコミで話題のファンドであっても、あなたにとってよいファンドであるとは限らないのです。
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