3.11以降、日本国民の電気を見る目が大きく変わった。それまで頼っていた原子力発電に依存できなくなってしまったことが原因だ。原発問題は、問題を起こした東京電力だけでなく、全国に飛び火し、北海道や東北でも“深刻な電力不足”が懸念されるといった事態にまでなっている。

原発に代わる代替エネルギーとして太陽光や風力といった、いままであまり注目されていなかった発電方式が脚光を浴びたが、それらの既存の発電施設が存在するわけではなくメガソーラー施設、風力発電の風車の設置といったところから始める必要があり、即座に原発に取って代わるといったことができない。

その結果、火力発電所の稼働率を上げたり、休眠していた火力発電所を再稼働させたりといった対応を行って、なんとか電力の不足分を補っているのが現状だ。火力発電はコストがかかるため、企業向けの電気代の値上げに次いで家庭向けの電気代の値上げが昨年から実施された。

自然災害が原因とはいえ、その尻拭いを国民全体に押し付けるのは釈然としないが、だからといって電気を使わないわけにはいかない。自衛の手段としては、毎月の電気代が少しでも安く済むように無駄な電気を極力使わないことだ。

月々の電気代や総使用量は、電気料金の請求書を見るとわかるが、細かい内訳が書いてあるわけではない。そのため電化製品の機器ごとや時間帯ごとに電力をどれだけ消費し、それがいくらかかったのかといった細かい部分まではわからないのだ。

各家電製品がいつどのくらい電力を消費しているのかわかれば、その機器を省エネタイプに交換したり、使用時間を調整したりすることで、1か月の電気の総使用量を減らすことができる。そのためには、どの機器がどれだけ電力を使っているのかをリアルタイムで知る必要がある。

そこで注目したいのが、家庭の電気をどれだけ使ったか見えるようにしてくれるサービスだ。たとえばTOKAIコミュニケーションズが提供している「エネレポ」がある。同サービスを知らない人のために、まずは簡単に説明しておこう。

■手軽に無理なく家庭での省エネを実現できる「エネレポ」サービス
先述したように「エネレポ」は、TOKAIコミュニケーションズのサービス。家庭内で使っている消費電力の内訳を“見える化”してくれる大変便利なサービスである。

同社が提供する電力測定器(クランプセンサ)とデータ送受信機(エコアダプタ)をそれぞれ家庭内の分電盤とブロードバンド回線に接続することにより、専用のウェブサイト(マイページ)で家庭内全体の電力使用状況を確認できるようになっている。
左がデータ送受信機(エコアダプタ)、右が電力測定器(クランプセンサ)


また、スマートタップを利用すると、個別の家電製品の電力消費量を計測することができる。
スマートタップ


■「エネレポ」の仕組みを知る
エネレポがどういった仕組みになっているのかを、ざっと紹介すると、クランプセンサは、家庭の分電盤に取り付けて消費されている電力を測定する装置であり、測定された数値はエコアダプタに送信される。

スマートタップは、家電製品と電源コンセントの間に取り付けて家電製品の消費電力を測定する。こちらも測定値はエコアダプタへと送信される。

エコアダプタは、クランプセンサやスマートタップからの測定値をエネレポサーバーへ送信する役目を持つ重要な機器ということになる。
サービス概要図


ユーザーは、インターネット経由でエネレポサーバーのマイページにアクセスして、家庭の電力消費量を手軽に確認できるようになっている。スマートフォンやタブレットにも対応しているので外出時にもアクセスができる。
マイページ画面イメージ。家庭の電力消費量を手軽に確認できる


■電気代を抑えられる
「エネレポ」で家庭での電力消費量が「見える」ようになると、家庭の省エネ意識が高まり、大きな節電効果があると言われている。

平成20年(財)省エネルギーセンターの調べでは、消費電力の見える化機器の設置前後では、前年比で平均11%の省エネ効果が確認されている。

ただ「エネレポ」は無料で使えるというわけではない。当然、機器やサービスの利用料金が発生する。TOKAIコミュニケーションズが提供する「エネレポ」では、機器購入プランと機器レンタルプランの2つが用意されているので各プランを説明しよう。

1.機器購入プラン
エネレポ関連の機器一式を購入するプランだ。エコアダプタ×1台、クランプセンサ×1台、スマートタップ×2台のセット内容で、機器購入価格が3万3,600円、初期登録料2,100円、機器設置作業費8,400円~(後述するHEMS補助金を希望する場合は、機器設置工事が必要)、月額利用料189円となる。

ただし、2013年6月30日までなら節電応援キャンペーンということで、初期登録料が無料、月額利用料が期間限定で無料※となる。キャンペーンを使えば非常にお得なプランだと言える。

※一般会員なら12か月無料のところ、TNC会員または@T COM(アットティーコム)会員なら24か月無料になる。

2.機器レンタルプラン
機器を貸し出しするプランだ。エコアダプタ×1台、クランプセンサ×1台のセット内容で、機器レンタル価格は月額利用料に含まれる。

初期登録料2,100円、機器設置作業費8,400円~(希望により機器設置工事が可能)、月額利用料は399円となる。

こちらも2013年6月30日までなら節電応援キャンペーンが実施されており、TNC会員または@T COM(アットティーコム)会員なら月額利用料が2か月無料となる。


■最大4万円が補助される経産省のHEMS補助金
「エネレポ」は魅力的なサービスだが、料金的な面で悩んでいる人がいるだろう。そんな人でも導入をしやすくできる補助金があるので紹介しよう。

機器購入プランを選択すれば、経済産業省のHEMS導入促進事業費補助金(HEMS補助金)4万円を受けられる。機器設置作業費8,400円~が必要になるが、導入費用の総額4万2,000円~にHEMS補助金をあてられるので、実質負担が2,000円~となる。


エネレポを導入すれば家族の中に電気を無駄に使わない意識が生まれることで節電になるし、インターネット経由でリアルタイムに家庭内の電力消費量がチェックできるので「あれ? あの機器のスイッチ消した?」なんていうとき、その機器がスマートタップに接続されていればスイッチが入っているかどうかの確認に使える。

毎月、電力の総消費量と内訳を見ながら、家族みんなでどこが削れるのか、という話をすることで、コミュニケーションも図れる。HEMS補助金や6月末までのキャンペーンを併用すれば、それほどコストを掛けずに導入できる「エネレポ」。電気代の節約がエネレポの月額利用料を上回れば、総トータルでは安いということになる。

電気代の値上げ対策としてだけでなく、エコを意識して地球環境に優しい生活をしたいと考えている人に「エネレポ」をおススメしたい。

電力見える化サービス「エネレポ」