日米とも長期金利の上昇から、株価が軟調に推移している。しかし、緩やかな金利上昇は過剰流動性相場から業績を反映した業績相場に移行する際には避けて通れないことであり、短期はともかく中期的には心配ないと思われる。そんな中、幕間つなぎとしてカジノ関連が浮上してきた。以下、カジノ解禁に動き、関連銘柄の動向について記してみたい。

新たなビジネスとして、カジノへの注目が集まっている。政府はすでに、6月に策定する成長戦略に「カジノ特区構想」として盛り込む方向で検討している。これを見越して、北海道、東京都、大阪府、沖縄県など、10以上の都道府県が誘致に名乗りを上げている。

そもそも、カジノは世界120カ国以上で認められているもので、日本のように非合法としている国の方が少数派である。米国のラスベガスでは、カジノはエンターテイメントの一種であり、ショーやリゾート施設と組み合わせた重要な観光資源となっている。日本でも3兆円以上といわれるほどに、その市場規模は大きい。

■オーイズミ
オーイズミ<6428>はパチスロ用メダル計数機の最大手で、近年はパチスロ機自身やホール向けシステムにも参入している。2010年にアニメ制作会社アニメインターナショナルカンパニー(AIC)を子会社化、翌年に同社をアプリックスに譲渡。オーイズミは、AIC制作のアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」などをパチスロ化しており、機器製作では引き続きAICとの関係を維持している。2013/3期経常利益は前期比2.4倍の17.4億円と好調だが、この勢いは今期も続き見通しだ。今年に入り、連結子会社「ダイシン」などを吸収合併するなどで、経営資源の集中にも努めている。

■セガサミーHD
セガサミーHD<6460>はパチスロ大手。サミー時代からパチスロ事業のトップ企業だが、最近は「パチスロ北斗の拳シリーズ」が60万台以上を売り上げる最大級の人気商品となり、業界に大きな影響を与えた。本シリーズの人気の秘密は派手な演出で、セガサミーはこれ以降、「蒼天の拳」「リングにかけろ」などの格闘系パチスロを次々に投入、家庭用ゲームソフトの部門でも対戦型格闘ゲームを重視するようになった。同社は、英BBCが制作した大自然の映像を楽しめるミュージアム施設を、横浜市の大型商業施設「マークイズみなとみらい」にオープンさせると発表した。こうした施設は、装いを変えればカジノ付属施設としても有効に機能するだろう。

■日本金銭機械
日本金銭機械<6418>は貨幣処理・金銭登録機の大手で、パチスロ機も扱っている。2014/3期も含めて4期連続の増収増益の予想と好調を維持。同社は米国でのカジノ向け紙幣鑑別機で高いシェアを誇るなど、「本場」で経験と実績を積んでいることが強みである。テーブルゲーム用紙幣識別機の製品を新たに投入することも明らかにされており、テーブルゲームが盛んなアジアのカジノでの需要が期待できる。こちらも国内販売事業を子会社の「JCMシステムズ」に集約、経営の効率化を図っている。

■ゲーム機との相性よく、国際的な競争力は高い
家庭用や携帯型ゲーム機に見られるように、日本のゲーム産業は本来、国際競争力が高い。カジノ向けには家庭用よりもグレードアップされた製品が求められるとはいえ、日本企業が優位性を発揮できる部門である。また、日本の治安の良さは、まれに見る「安全なカジノ」の基礎となろう。

カジノ開設となれば、上記銘柄に限らず、ホテル業界やテーマパーク、警備関連にも恩恵がありそうだ。

政府には、この構想を成功させるためにも、マネーロンダリング(資金洗浄)の防止や暴力団の資金源化を防ぐ対策を強めるという課題がある。

冒頭述べた通り、カジノ関連は株価大幅下落の中で、大幅上昇になるなど、その強さは際立っている。小ぶりの銘柄が多く、幕間つなぎの印象はあるが、関連各社の動向に注目してみたい。

(小沼正則)

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