東京都議選が始まった。東京という「一地方」の議会選挙ではあるが、首都である上、7月の参議院選挙の「前哨戦」としての意味合いからも注目を集めている。事実上の国政選挙といえる。

今回注目されている争点のひとつは、安倍政権による「アベノミクス」について、有権者がどう判断するかだ。

■安倍政権は幸運?
5月23日、米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長による議会証言を機に、「米国の金融緩和が『出口』(終了)に向かうのではないか?」という観測が強まり、株価下落・円高への動きが進んだ。

昨年末以来、アベノミクス(とそれへの期待)によって「円安・株高」への動きが強まり、これが高額品消費を増やすなどした。むろん、2012年度補正予算などの手立てもあった。経済協力開発機構(OECD)は、2013年の日本の実質成長率を1.6%と、昨年11月の見通しから0.9ポイント上方修正している。

まさに「順風満帆」だったのだが、バーナンキ発言に「水を差された」格好になった。とはいえ、株価下落と円高が続くかどうかは分からないし、続いたとしても実体経済に影響を与えるのはまだ先。

バーナンキ発言があと3か月早かったら、黒田日銀の金融緩和策も何らかの修正があったかもしれず、消費マインドにも影響が出た可能性がある。その意味で、安倍政権にとっては幸運と言えるだろう。

■経済政策の議論を
さて、都議選、あるいは参議院選をめぐる各党の主張を聞いていて思うのは、経済政策の貧困さである。

安倍政権はアベノミクス、「3本の矢」という分かりやすい政策を掲げ、実行に移している。ところが、政策論争を挑むべき野党にはそれが見当たらない。安倍政権・与党のトータルパッケージとしての政策に対して、可能性にすぎない「危険性」を並べるだけに終わっていたり、消費税や社会保障政策といった部分的政策の「対置」に終始しているのはどうしたことだろう。これでは、「政策能力」を疑われるというものだ。

先に述べたように、安倍政権の政策には幸運に恵まれた面もあり、先行きの成功は「100%」ではない。デフレ不況からの脱却は「与野党を問わない」課題のはず。野党が野党の役割を果たし、切磋琢磨できなければ、それが民主主義にとって不幸なことである。

(編集部)

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