5月末以来、株式市場の乱高下が続いている。6月24日には、中国人民銀行の声明を機に中国市場まで動揺を示した。

こうした世界的な「マネーの変調」は何によって引き起こされているのだろうか。これは、以降の世界経済の推移を見る際の「注目点」を理解することにもつながる。

■変調の契機は「出口」論議
最近のマネーの変調は、5月22日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言とその後の議事録公開に始まった。

2008年のリーマン・ショック後、米国をはじめ、欧州や日本も、大規模な金融緩和を行ってきた。これは、直接的には金融パニックを防ぐためで、金融機関から国債などの金融資産を引き取り、代わりに資金を供給した。金融機関に供給された資金は、株式や国債、商品市場などに流れ込んで、価格を押し上げる効果を生んだ。

米国の実体経済が回復基調を示したこともあり、バーナンキ議長は「そろそろ金融緩和を終わらせよう」と「出口」に言及した。「出口」とはすなわち、市場への資金供給を減らし、さらには徐々に引き揚げるということだ。こうなると、投資家は「株高を支えてきた資金が減る、つまり株価は下がる」と思う。

簡単に言うと、世界的な株価低下は、こうして起きた。

■新興国の経済はどうなる?
これだけなら、たいした問題ではない。一時的に株価が下落しても、実体経済が好転しているなら企業の業績が上がっていくため、株価も早晩回復するからだ。株価下落は、「金融相場から業績相場への移行の際のひずみ」ということになる。

問題は、金融緩和による資金が大量に流れ込んでいた、新興国からの資金流出である。株価下落だけならともかく、新興国の社債や国債などもいっせいに売られる事態となれば、その国は通貨危機に陥る。これは1990年代末にタイやインドネシア、韓国などで実際に起きたことである(アジア通貨危機)。各国は経済が混乱、政権が変わった国さえある。

最近、ブラジルでは大規模なデモが起きている。直接のきっかけは公共料金の値上げだが、背景には、ブラジルからの資金流出(通貨安)があるといわれている。現在はブラジルにとどまっているが、この影響が広がらないことを願う。

逆に言えば、先進国、とくに米国の金融政策は世界的に与える影響が大きいため、慎重に運営されなければならないということだ。

(編集部)


※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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