ソフトバンク<9984>が7月30日発表した2013年第1四半期の連結業績は、売上高が21%増の8810億円と四半期として過去最高を記録、営業利益も92%増の3910億円と8四半期連続での過去最高となった。
こうしたことを織り込む展開なのか、同社株の勢いが止まらない。今回は、好調なソフトバンクを取り上げる。
■米国進出が追い風
ソフトバンクには、業績好調以外でも株価上昇の材料は多い。まず、216億ドル(支払い分は約1.8兆円)に及ぶ米通信第3位のスプリント・ネクステルの買収手続きが完了、米連邦通信委員会(FCC)の認可もおりたことで、念願の米国進出を果たすことになったことが大きい。
スプリントによるブロードバンドサービス事業者・クリアワイヤの100%子会社化も正式に決まった。さらに、ソフトバンクが議決権ベースで32%を保有するアリババ・グループHDが香港証券取引所に新規上場を申請したと報じられている。一部報道では、合意に至らなかったものの、フランスのメディア・通信企業ビベンディに対し、傘下のユニバーサル・ミュージックの買収を提案したという。
こうした積極的な海外展開により、ソフトバンクは年初来高値を記録するなどで、時価総額は初めて8兆円台に乗せる活況を呈している。この影響もあって、ソフトバンクが42%出資するヤフー<4689>、同じく40%出資するゲーム運営のガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の株価も上昇している。
■スマホ堅調が最大の要因だが他にも材料は豊富
ソフトバンクの躍進は、米アップルのiPhoneをはじめとするスマートフォン(スマホ)をテコとしてユーザー数が順調に拡大していること。原則24か月間の契約を結び、端末代金は分割で受け取る販売方法を採ることで、購入者の初期負担を抑える方法が功を奏している。
また、スマホ向け健康管理サービス「ヘルスケア」を開始した。30~40歳代をターゲットに、計測データをクラウド上に蓄積して確認したり、医師からアドバイスを受けられたりする。スマホと決済サービス「ペイパルヒア」(ソフトバンクと米ペイパルが昨年9月に始めたサービス)用カードリーダーを同時に新規購入するとスマホ料金を割り引くサービスも始める。トラックなどの商用車向けに2月から始めた、業務用IP無線機の販売も好調に推移し、すでに2万台以上に導入されている。
新たな事業分野では、傘下のソフトバンクエナジーが2015年度の自然エネルギーによる発電目標を260MW以上においている。内訳はほとんどが太陽光発電だ。さらに、燃料電池の発電を手がける米ブルームエナジーと合弁会社を設立、病院やデータセンターを含め法人向けに電力供給事業を展開していく。20年程度の長期契約を前提とし、料金はおおむね系統電力と同等かそれ以下に設定することで顧客拡大をめざす。
■中期1万円の大台乗せも
クラウドサービスでもグローバル展開を計画する。世界30か国に拠点を持つスプリント買収をテコに、欧米やアジアをはじめ世界160か国以上での展開をめざす。内容は、国内外のクラウド基盤を連携させる「仮想データセンター」、契約情報や料金明細などを一元管理する「クラウドポータル」などとなる予定。
ソフトバンクの課題は、スプリント・ネクステルの買収でいちだんと膨らんだ、6兆円を超える有利子負債。これが、米格付け会社ムーディーズなどによる格付け低下の主因でもある。
もう一つは、買収したスプリントの経営を早期に好転させること。買収後直ちにスプリントは月額80ドルで通話やデータ通信、SMSが無制限に使える新料金体系を発表した。これは、データ通信量を制限しているベライゾンやAT&Tに十分対抗でき、MNP(ナンバー・ポータビリティ)を促せる内容だ。これで勢いを付け、ユーザー拡大で経営再建を急ぐ。
これらのメドを立てれば、ソフトバンク株は更なる高値追いとなる可能性が高い。ITバブル時は「根拠なき熱狂」の株価だったが、今回は実態を伴う株価上伸である。7月25日には高値7010円と年初来高値を更新してきた同社株だが、中期的には1万円の大台乗せにも期待がかかるところである。
(小沼正則)
※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。
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っています。スマホやタブレットでいつでも手軽に読めます。
第二弾、第三弾と登場しますのでご期待ください。
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スプリントによるブロードバンドサービス事業者・クリアワイヤの100%子会社化も正式に決まった。さらに、ソフトバンクが議決権ベースで32%を保有するアリババ・グループHDが香港証券取引所に新規上場を申請したと報じられている。一部報道では、合意に至らなかったものの、フランスのメディア・通信企業ビベンディに対し、傘下のユニバーサル・ミュージックの買収を提案したという。
こうした積極的な海外展開により、ソフトバンクは年初来高値を記録するなどで、時価総額は初めて8兆円台に乗せる活況を呈している。この影響もあって、ソフトバンクが42%出資するヤフー<4689>、同じく40%出資するゲーム運営のガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の株価も上昇している。
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また、スマホ向け健康管理サービス「ヘルスケア」を開始した。30~40歳代をターゲットに、計測データをクラウド上に蓄積して確認したり、医師からアドバイスを受けられたりする。スマホと決済サービス「ペイパルヒア」(ソフトバンクと米ペイパルが昨年9月に始めたサービス)用カードリーダーを同時に新規購入するとスマホ料金を割り引くサービスも始める。トラックなどの商用車向けに2月から始めた、業務用IP無線機の販売も好調に推移し、すでに2万台以上に導入されている。
新たな事業分野では、傘下のソフトバンクエナジーが2015年度の自然エネルギーによる発電目標を260MW以上においている。内訳はほとんどが太陽光発電だ。さらに、燃料電池の発電を手がける米ブルームエナジーと合弁会社を設立、病院やデータセンターを含め法人向けに電力供給事業を展開していく。20年程度の長期契約を前提とし、料金はおおむね系統電力と同等かそれ以下に設定することで顧客拡大をめざす。
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ソフトバンクの課題は、スプリント・ネクステルの買収でいちだんと膨らんだ、6兆円を超える有利子負債。これが、米格付け会社ムーディーズなどによる格付け低下の主因でもある。
もう一つは、買収したスプリントの経営を早期に好転させること。買収後直ちにスプリントは月額80ドルで通話やデータ通信、SMSが無制限に使える新料金体系を発表した。これは、データ通信量を制限しているベライゾンやAT&Tに十分対抗でき、MNP(ナンバー・ポータビリティ)を促せる内容だ。これで勢いを付け、ユーザー拡大で経営再建を急ぐ。
これらのメドを立てれば、ソフトバンク株は更なる高値追いとなる可能性が高い。ITバブル時は「根拠なき熱狂」の株価だったが、今回は実態を伴う株価上伸である。7月25日には高値7010円と年初来高値を更新してきた同社株だが、中期的には1万円の大台乗せにも期待がかかるところである。
(小沼正則)
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