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日本のゲーム業界の「覇者交代」が起きている。ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>の躍進がそれである。今や、誰もが遊んでいるスマートフォン(スマホ)ゲーム、「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」の大ヒットが、同社を一躍成長株へと押し上げた。
パズル、シューティング(敵のモンスターを倒す)、ロールプレイング(自分のキャラクターを育成する)という3つの要素が組み合わされた点が支持されている。ダウンロード数はすでに1700万を超える「国民的ヒット作」となった。
■業績は脅威の伸び
ガンホーの2013年1~6月期の営業利益は、前年同期比で44倍という脅威の伸び。収益を支えるのはパズドラの課金収入だ。同社を連結子会社にしているソフトバンク<9984>も恩恵を受けている。
この勢いは、すでにソーシャルゲームの代表格であるグリー<3632>やディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>を超え、LINEが提供する無料通話アプリ「ライン」(ゲームもできる)と並んだといってよい。ガンホーは一時、時価総額で任天堂<7974>を抜くに到った。GWに行われたファン向けイベントは2万人以上が参加する大盛況となり、ガンホーの勢いを見せつけた。
■米韓でも100万ダウンロードを達成
好調の背景はゲームの面白さに加え、グリーなどが「コンプガチャ問題」でつまずいている間に、スマホへの対応で先んじたこと。パズドラの操作はスマホのタッチ式操作との親和性が非常に高く、この流れにうまく乗った形だ。
スマホ以外にも、任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」向けに「パズドラZ」を発売。パズドラを任天堂の「スーパーマリオ」のような人気ブランドに育てるもくろみだ。海外進出も始めており、昨年末に米国と韓国、今年春にはカナダでパズドラの配信を始め、すでに韓国、米国で100万ダウンロードを達成し、大人気となっている。
ガンホーの課題は、パズドラに加えた収益源を確保すること。「モンスター」的な人気ゲームであっても、いつかは飽きられるからだ。現状は「ケリ姫」シリーズがあるとはいえ、シリーズ合計でもまだパズドラの3分の1ほどのダウンロード数で、取って代わるには力不足。もう一つの人気ゲーム「ラグナロクオンライン」は韓国・グラビティ開発のもので、ガンホーは商用サービスの提供にとどまっている。もっとも、「ラグナロクオンライン」でサーバ管理や課金システムについてのノウハウを蓄積してきたからこそ、今日の成功があるのだが。
■この突っ込みは買いチャンス!
ガンホーはゲーム開発部門を社長直轄にするなどで開発力の強化を図っているが、いっそうの開発力向上が求められる。また、一部のスマホ上で動作するチート(不正)ツールが広がっており、放置すれば業績に影響を与えかねないだけに、対策も欠かせない。未成年への高額課金を防止する対策も充実させなければならない。すでに、16歳未満5000円、16歳以上20歳未満は2万円という月額利用料の上限を設定しているが、この周知と(関係者との協議などによる)見直しが求められるだろう。
ゲーム業界は勢力図の塗り代わりが速いだけに、競争力を維持できる開発体制と併せ、M&A(合併・買収)を含めた戦略が必要になるだろう。今年2月には、ホラーアクションゲーム「ロリポップチェーンソー」などを開発するグラスホッパー・マニファクチュアを買収したが、成長の持続のためには、このような取り組みがいっそう必要だ。
ゲーム業界は、日本企業の国際競争力が強い分野だが、韓国企業などの追い上げも激しい。ガンホーのような企業の躍進は、業界の活性化にもつながる歓迎すべきことだ。
株価は業績発表を契機に材料出尽くしとの判断からか、大きく下げる展開となり、8月7日には安値6万1300円まで下げた。現在は戻りの過程で7万円台まで回復してきたが、まだまだ過小評価。ここは絶好の突っ込み安狙いの時と判断する。
(小沼正則)
※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。
■電子書籍好評発売中(AmazonよりKindle版)
あのファーストリテイリング(ユニクロ)を真っ先に推奨したこ
とで知られる“銘柄発掘のカリスマ”小沼正則の投資・ビジネ
ス塾が電子書籍になりました。第一弾は、最新情報と投資へ
のノウハウを読みやすくまとめ、初心者にもわかりやすくな
っています。スマホやタブレットでいつでも手軽に読めます。
第二弾、第三弾と登場しますのでご期待ください。
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ガンホーの2013年1~6月期の営業利益は、前年同期比で44倍という脅威の伸び。収益を支えるのはパズドラの課金収入だ。同社を連結子会社にしているソフトバンク<9984>も恩恵を受けている。
この勢いは、すでにソーシャルゲームの代表格であるグリー<3632>やディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>を超え、LINEが提供する無料通話アプリ「ライン」(ゲームもできる)と並んだといってよい。ガンホーは一時、時価総額で任天堂<7974>を抜くに到った。GWに行われたファン向けイベントは2万人以上が参加する大盛況となり、ガンホーの勢いを見せつけた。
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好調の背景はゲームの面白さに加え、グリーなどが「コンプガチャ問題」でつまずいている間に、スマホへの対応で先んじたこと。パズドラの操作はスマホのタッチ式操作との親和性が非常に高く、この流れにうまく乗った形だ。
スマホ以外にも、任天堂の携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS」向けに「パズドラZ」を発売。パズドラを任天堂の「スーパーマリオ」のような人気ブランドに育てるもくろみだ。海外進出も始めており、昨年末に米国と韓国、今年春にはカナダでパズドラの配信を始め、すでに韓国、米国で100万ダウンロードを達成し、大人気となっている。
ガンホーの課題は、パズドラに加えた収益源を確保すること。「モンスター」的な人気ゲームであっても、いつかは飽きられるからだ。現状は「ケリ姫」シリーズがあるとはいえ、シリーズ合計でもまだパズドラの3分の1ほどのダウンロード数で、取って代わるには力不足。もう一つの人気ゲーム「ラグナロクオンライン」は韓国・グラビティ開発のもので、ガンホーは商用サービスの提供にとどまっている。もっとも、「ラグナロクオンライン」でサーバ管理や課金システムについてのノウハウを蓄積してきたからこそ、今日の成功があるのだが。
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ゲーム業界は勢力図の塗り代わりが速いだけに、競争力を維持できる開発体制と併せ、M&A(合併・買収)を含めた戦略が必要になるだろう。今年2月には、ホラーアクションゲーム「ロリポップチェーンソー」などを開発するグラスホッパー・マニファクチュアを買収したが、成長の持続のためには、このような取り組みがいっそう必要だ。
ゲーム業界は、日本企業の国際競争力が強い分野だが、韓国企業などの追い上げも激しい。ガンホーのような企業の躍進は、業界の活性化にもつながる歓迎すべきことだ。
株価は業績発表を契機に材料出尽くしとの判断からか、大きく下げる展開となり、8月7日には安値6万1300円まで下げた。現在は戻りの過程で7万円台まで回復してきたが、まだまだ過小評価。ここは絶好の突っ込み安狙いの時と判断する。
(小沼正則)
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