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大手電鉄の業績が好調だ。2013/4~6期は、大手13社中12社が最終増益で、5社が最高益を更新した。レジャーなどの外出が増えたことで、本業の電鉄部門が好調に推移した。2000年代に入ってからの都心再開発ブームと結びついた不動産事業や小売・サービス事業も好調に推移している。
マーケットは米国株下落、中国景気への警戒感から景気敏感株、小型株が大きく売られる展開となっているが、こんな時に注目したいのが電鉄株である。業績回復が鮮明な、東急と京成にとりわけ注目してみたい。
■注目銘柄1.東急
東京急行電鉄(東急)<9005>は、東横線と東京メトロ副都心線の乗り入れによる効果に加え、営業利益の約半分を占める不動産部門がめざましい。昨年4月にオープンした渋谷駅直結の大型複合ビル「渋谷ヒカリエ」は、東横線の地下化を含む「渋谷駅周辺大改造」の一環で、最終的な工事完了は2015年度の予定。「ヒカリエ」はオシャレな商業施設と併せ、インターネット業界で飛ぶ鳥を落とす勢いの企業「ライン」の入居で話題になった。武蔵小杉駅や二子玉川駅周辺でも再開発が進行中で、あざみ野駅近隣にも郊外型商業施設を開業予定だ。
また、傘下のCATV部門(イッツ・コミュニケーションズ)も過去最高の利益。同社の「生活サービス事業」(百貨店・サービスなどを含む)の稼ぎ頭となっている。東急沿線の人口増で加入世帯数は30万を超え、多チャンネル放送とインターネットのプロバイダ機能を併せた営業が功を奏して客単価も高い。また、沿線での携帯電話各社による公衆無線LANサービス・アクセスポイントの運用・管理も行っており、住民や訪日外国人からの支持も高い。
株価は4月高値814円前後の調整局面にあるが、日柄、値幅ともに調整は十分。時価近辺は狙い目となろう。
■注目銘柄2.京成
京成電鉄(京成)<9009>も2期連続で増収増益。LCC(格安航空会社)の普及で成田空港利用客が増加、この効果でスカイライナーをはじめとして乗客数が伸びた。都心と東京ディズニーリゾートを結ぶシャトルバスの乗車率もアップしている。これと関連し、持分法適用会社のオリエンタルランド<4661>が過去最高益を計上したことが貢献。
2014/3期は鉄道事業設備投資に101億円を投じ、押上線の連続立体化や高架橋・トンネルの補強工事、バリアフリー化工事やエレベーター設置工事などを実施する計画だ。
調整中の株価だが、月足でみれば12か月移動平均がしっかりと下値を支持。ここは拾い目と判断する。
■成長要因にも注目
従来は「内需型」と言われてきた電鉄だが、最近は海外展開を進めており、手法もユニークだ。東急はベトナム南部ビンズン省の都市開発事業に参画し、2020年をメドに約7500戸の住宅や商業施設などを整備する。すでに高層マンションの販売を始めたが、省エネ設備や壁面緑化など日本で培ったサービス品質を持ち込んで人気だ。かつて東急は海外でのホテル事業に力を入れたが、ほとんどは撤退。こうした電鉄の新興国進出への再進出は捲土重来といえる。
明るさを取り戻しつつある日本経済。人の往来や観光、商業活動から海外事業まで、幅広く手がける電鉄各社の展開に期待したい。
(小沼正則)
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