5日より20カ国・地域首脳会議(G20)がロシアのサンクトペテルブルクで開幕した。G20は、最近では主要国が世界の経済問題について話し合い、合意を図るためのもっともメジャーな舞台になっている。

約1年ぶりの首脳会合はどんな課題が話し合われるのか、注目点を整理してみた。

■リーマン・ショックが契機
G20は、首脳会合と財務相・中央銀行総裁会議の2本立てである。この構成は、基本的に先進国首脳会議(G7)と同じだ。

G7(当初はG5)は、1973年のオイルショックを機に、「西側」先進国が協調して世界経済を運営することを目的に始まったものだ。70年代末以降は、折からのソ連との「冷戦」によって政治色を増すようにもなった。

だが、G20は2008年11月から定期的に開かれるようになった。理由は、直前の9月に起きたリーマン・ショックで、世界的な金融危機が勃発したことだ。かつて、世界の国内総生産(GDP)の約7割を占めたG7は、当時は約半分にシェアを減らしており、世界の問題を話し合う上では、経済発展を遂げつつある中国、ブラジル、インドなどG7以外の諸国を含まざるを得なかったからだ。

■国際協調の場となったが……
G20での議論は、リーマン・ショック直後は各国が景気対策で足並みを揃えるなど、まさに「国際協調」の場であった。1930年代の世界大恐慌のときにはこのような仕組みがなく、各国が勝手に保護貿易と勢力圏づくりに走って対立した結果、第二次世界大戦につながった。

以降、G20では国際通貨基金(IMF)改革や欧州危機への対応、財政再建問題などさまざまな問題が議論されてきており、世界経済を浮上させる上で、かなりの程度は効果があったと言えるだろう。

だが、リーマン・ショックの余韻が薄れるに従って、ときに最近では、先進国の金融緩和策に対してブラジルなどが厳しく批判するなど、「協調」とはやや異なる雰囲気も見えている。会合自身は続いているので「協調」の形は維持されているが、国が違えば思惑もさまざま、という様相になっているわけだ。

■今回はシリア問題が論点?
今回の会議の特徴は、米連邦準備理事会(FRB)による金融緩和からの「出口」問題を契機とした新興国からの資金流出問題と、米国によるシリアへの攻撃問題が議題になることだ。

もっとも、後者については議長国のロシアをはじめ反対している国が多い。オバマ米大統領は諸国の説得に努めるだろうが、簡単ではなさそうだ。ただ、このような政治問題が議題にのぼるという意味で、G20の存在意義自身が大きく変わる節目の会議にはなりそうである。

経済への影響に関していうと、新興国からの資金流出問題もシリア問題も、事前の様相では目立った合意が打ち出される雰囲気ではない。だが、仮に何らかの合意がされれば、為替への影響が見られるかもしれず、注目したいところだ。

(編集部)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

■電子書籍好評発売中(AmazonよりKindle版
あのファーストリテイリング(ユニクロ)を真っ先に推奨したこ
とで知られる“銘柄発掘のカリスマ”小沼正則の投資・ビジネ
ス塾が電子書籍になりました。第一弾は、最新情報と投資へ
のノウハウを読みやすくまとめ、初心者にもわかりやすくな
っています。スマホやタブレットでいつでも手軽に読めます。
まもなく第二弾、第三弾が登場しますのでご期待ください。


ITライフハック
ITライフハック Twitter
ITライフハック Facebook

ビジネス塾に関連した記事を読む
最高値奪回へ動き出した不動産株!注目銘柄を斬る
シリアへの攻撃が秒読み? 世界経済への影響は
景気鈍感かつ業績好調の電鉄株に注目!注目銘柄を斬る
どうなる? ブラジルやインド 世界的マネーの変調が本格化
米国経済の回復の恩恵は大きい!注目銘柄を斬る


小沼正則の投資・ビジネス塾
小沼正則の投資・ビジネス塾 [Kindle版]