消費税増税が決まり、政府はこれに合わせて経済対策を行うことを決めた。それでも、対策は1年限りの上、2015年10月にはさらなる増税が予定されている。社会保障制度の改革もあるので、国民負担はさらに増える。

こうなるとやかましくなるのは、日銀の追加緩和を求める声だ。果たしてどうなるだろうか。


■増税で景気悪化は不可避
4月からの約8兆円の増税に対して、政府は6兆円弱の対策を行う。増税のショックを和らげることにはかるだろうが、それでも差し引き2兆円の増税であることに変わりはない。しかも、予定される公共事業の経済効果は限られている。増税前の駆け込み需要の反動は予想しにくい部分もあるが、安倍首相がいうよりは、景気への影響は大きいと思われる。

問題は、ショック対策が経済対策(すなわち財政出動)だけでは不十分ではないかということだ。政府としては増税によるショックを最小限にとどめたいはずだ。景気が落ち込めば株価も下がり、日本経済に期待し始めている投資家の気運もさめてしまう。

■市場は追加策を折り込み始めた
ここで求められるのが、日銀による追加緩和策である。

すでに日銀は、「2年でベースマネーを2倍にする」という「質的・量的緩和策」を掲げ、市場への資金供給を行っている。

実際、日銀が目標とする「2%の物価上昇」は現状では難しい。このところの物価上昇は、主に円安による輸入物価、とくに資源価格の上昇によるもので、「デフレ脱却」が確実になったことによるものではないからだ。

すでに米国の投資家を中心に、追加緩和策を求める声が高まっているという。米政府が財政問題や金融緩和の「出口」をめぐって右往左往する中、確実なマネーの供給元として日本に期待している面もあるだろう。

■株価上昇に効果も
これは、投資家が日銀の追加緩和を「折り込み始めた」ということだ。こうなると、実際に追加緩和策を行わないと、失望を買って株価が下落するということが起きやすいので、やっかいだ。この先にどんな手段があるのかと考えてしまいがちだが、資金供給の速度や規模には、まだいくらか余地がある。

緩和を行えば株価上昇が期待でき、景気押し上げ効果があることは事実。先述したような米政府の事情がある現在、ともするとドル安・円高に振れてしまう可能性もあるだけに、追加策でこれを抑止することも必要だろう。まして、現状では「2%の物価上昇」が難しいのだから、追加策を行うのは当然ともいえる。

アベノミクスという勇気ある政策に踏み込んだ以上、中途半端に撤退すべきではない。政府の躊躇(ちゅうちょ)を許すほど、日本経済の現状はゆとりのあるものではないことを再確認すべきだろう。

(編集部)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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