リーマン・ショックを契機とする販売不振で軒並み赤字に転落、さらに円高で韓国・中国メーカーの後塵を拝するようになった電機業界に、ようやく追い風が吹いてきた。

中でも今回は、復活著しいパナソニック<6752>にスポットを当ててみたい。


■選択と集中を進める
パナソニックは、2014年3月期の最終損益見通しを上方修正、1000億円の黒字とした。円安に加え、自動車向けや住宅事業が業績を押し上げた。背景は、日米を中心に自動車販売が好調なことと、省エネ技術を使った住宅への注目が高まっていること。エコソリューションズ部門(太陽光発電、建材、配線器具などを担当)の4~9月期売上高は、前年同期比で約2倍に拡大した。インフォテインメント事業(カーナビなど)も同約25%増加している。

一方、不振のプラズマパネルや、国内キャリアの「重点製品」からはずれた個人向けスマートフォン(スマホ、高機能携帯電話)事業からは撤退、プラズマパネルを生産する工場(兵庫県尼崎市)は売却する。ヘルスケア事業も米投資ファンドKKRへの売却を決め、光ドライブ・ピックアップ事業は国内拠点を熊本工場に集約、回路基板も国内外6拠点を、山梨、台湾、ベトナムの3拠点に集約するなど、構造改革を進めている。

■新興国を中心にM&Aを活発化
ヘルスケア部門は、以前は成長部門と位置付けており、血糖値計測センサーなどが好評で事業は黒字。だが、今後も人材を含む各種投資を行う必要があると判断したことから、思い切って売却を決めた。拠点の西条工場(愛媛県)の閉鎖も決めた。各種リストラ費用で下期は赤字になるが、以上の判断は合理的で適切だ。

このほか、家電事業のテコ入れも求められる。今期はエアコン事業が不振だし、デジタルカメラ事業も見直しの余地が大きいからだ。赤字続きの半導体事業も、売却や再編が不可避だ。

代わりに、トルコの配線器具大手ヴィコを約460億円で買収。パナソニックの配線器具事業は日本国内では圧倒的なシェアを持ち、インドでアンカーエレクトリカルを買収、台湾やフィリピンなどアジアでも事業を広げてきた。配線器具は国や地域で規格・仕様が異なるため、ヴィコのブランド力を活用し、住宅関連事業のグローバル展開をいっそう強化する戦略だ。

■住宅・自動車関連を強化
住宅関連製品では、家庭用の分電盤を14年ぶりに大きく刷新し、来年春に市場投入する予定。家庭の電力使用状況データを使って、省エネアドバイスや在宅高齢者を見守るなどの新たなサービスと組み合わせる「スマートグリッド対応」製品のひとつだ。

自動車関連では、出資している米電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズと、リチウムイオン電池の供給拡大で合意した。同社向けにはすでに1億個を出荷しているが、2017年までに約20億個を供給するという内容である。

パナソニックは、住宅、自動車関連の2019年3月期売上高を各2兆円、2013年3月期の4倍にする計画だが、この「ツートップ戦略」だけで成長軌道に乗ることにはやや限界がある。ゆえに課題は、成長を持続・発展させるための戦略分野・製品を、よりしっかりと定めることだ。数年前は、これを一般消費者向けの「デジタル家電」に定めて過剰な投資を行ったことが失敗につながっただけに、十分な市場検討とM&A(合併・買収)などの多用な手段活用が必要となろう。

最終商品メーカーからB2B(企業間取り引き)事業へとシフトすることで事業基盤の安定化を図ろうとしている、パナソニックの新しい挑戦に期待したい。

昨年11月には安値376円に沈んだが、今般の業績修正をきっかけに1,000円の大台を回復。成長シナリオも見えてきたことで、中期1,500円前後までは十分期待できそうだ。押し目買いを貫きたい。

(小沼正則)

※投資の判断、売買は自己責任でお願いいたします。

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