日経平均日足チャート


2013年も残すところ半月足らずとなった。国内の東京株式市況は「アベノミクス相場」といわれるように今年の日経平均株価は、昨年末の終値10,395円より、11月28日の年初来高値15,727円まで実に51.3%の急騰となった。この動きをどう見たら良いのかを「相場の福の神」とも呼ばれているSBI証券投資調査部シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏に聞いた。氏はYahoo!ファイナンスの株価予想2012年勝率1位、伝説の39連勝男として知られている。

まず、藤本氏によるとこの上昇相場は4段階に分けてみるとわかりやすいという。

1)第一次上昇相場
2012年末に安倍政権が誕生してから「アベノミクス3本の矢」と呼ばれる「金融緩和」「財政出動」「成長戦略」への期待によって、日経平均株価は1万円の大台を超え、昨年末の終値の10,395円をつけたのは記憶に新しい。そして2013年に入り、白川前日銀総裁によるインフレ目標2%という大幅な金融緩和によって日経平均株価は堅調を維持し、右肩上がりの上昇相場が続いた。

2)第二次上昇相場
そして日銀総裁が白川氏から黒田日銀総裁へと変わり「黒田バズーカ砲」と呼ばれる異次元の量的・質的金融緩和政策により、上昇相場というロケット2段目に点火、この勢いによって5月下旬まで急ピッチでの上昇相場が続いた。

3)反落・三角保ち合い相場
しかし、上昇ピッチが急だったため高値警戒感が広がってしまった。まさにその時に、米バーナンキFRB議長の発言をきっかけに米金融緩和縮小(テーパリング)への懸念から、円高となり、株式も急激な調整が行なわれることとなった。その後反発したが、上値を切り下げ、下値を切り上げるいわゆる三角保ち合いの状態となる。

4)掉尾の一振(とうびのいっしん)による第三次上昇相場
企業の第二四半期の決算発表で、トヨタが営業利益2.2兆円に上方修正、また三井住友FGなどのメガバンクが相次いで上方修正を行ったことにより、日経平均株価採用銘柄の1株当たり利益が、それまでの横ばいから急上昇したことなどから、株価は急進。保ち合い放れとなり、終値ベースでの年初来高値を更新する動きとなっている。例年通り大納会に向けてさらに値が上がっていくと思われる。

といった感じで4段階に分類できるという。政権交代で、ここまで景気が変動するのだということを、まざまざと見せつけられた1年でもあった。それを実感した人は、かなりの数に上ると思われる。



さらに今年活躍した銘柄を探るために、2012年末の時価総額と2013年の直近の時価総額を比較してみたところ、時価総額が増加した銘柄には、スマートフォン着せ替えアプリ「ココッパ」のユナイテッドがトップになったのを含め、スマホゲーム「パズル&ドラゴンズ」が記録的な大ヒットを遂げたガンホー・オンライン・エンターテイメント、「魔法使いと黒猫のウィズ」のコロプラなどスマホのアプリ(ゲーム)関連企業が上位に入っている。

また、ガラケーことフィーチャーフォンから普及端末がスマートフォンへと変わり画面サイズや解像度が高くなったことから広告スペースとしての価値が増加したアフィリエイト広告関連のアドウェイズやファンコミュニケーションズも上位にランクインしている。

さらに活躍した銘柄では、リストラ・第3者割当で大きく時価総額を増加させて、あと一息で「十倍返し」となった中山製鋼所や、スマホやタブレットの爆発的普及で半導体メモリーの売り上げが好調に転じたルネサスエレクトロニクスは、リベンジ・復活組といえる。

株高メリットの日本取引所グループや、ミドリムシのユーグレナ、電解水素水の日本トリムなど、他に上場企業がないため競合相手のないユニークな業態の銘柄も大きく時価総額を増やしたと言えるだろう。



逆に時価総額が減少した銘柄の1位と2位がガラケーでのソーシャルゲームで一世を風靡したディー・エヌ・エーやグリーとなっている。アルコール離れで居酒屋のワタミ、デジカメ不振のニコンなど、業界全体の不振が大きく影響した銘柄もあった。

以上のように株価上昇銘柄の上位をスマホ関連企業が占め、ガラケーで業績を伸ばした企業が時価総額を落とすという「ガラケーさようなら、スマホこんにちは」といった流れになっていると言える。果たして2014年の動きはどうなるのか? 気になるところだ。

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