一般社団法人電子情報技術産業協会(以下、JEITA)がノートパソコンのバッテリー駆動時間測定法を13年ぶりに改定する。現在、日本のパソコンに一般的に使われているのは、2001年に制定された「JEITAバッテリー駆動時間測定法(Ver. 1.0)」だ。これが「JEITAバッテリー駆動時間測定法(Ver. 2.0)」になる。

PCを取り巻く環境も変化し、CPUの高性能化に対し消費電力は下がってきた。そのため現在は実際とはかけ離れた計測方法になってしまっているが、新しい測定方法と従来とでどのような変更があり、どれだけ実情に合わせた計測結果になるのだろう。



■現状とはかけ離れてしまった前バージョン
2001年に制定された「JEITAバッテリー駆動時間測定法(Ver. 1.0)」は、当時のパソコンのスペックや使用状況に合わせて決められた測定法だ。それまで各社バラバラに測定していたのが、JEITAが統一した測定方法を決定し、各メーカーがそれにそった形で計測してスペックとして表示することで、パソコンごとの差がわかりやすくなった。

しかし、制定当時は参考になる数字であったが、数年後にはインターネットや無線LANの利用が一般化するなど、パソコンの利用環境が急激に変化してしまった。現在は、メーカー公表によるカタログ値の6割から半分程度動作すればいい程度で、実際に利用した際の駆動時間としては、まったく参考にならない数字になってしまっていたのである。

具体的には古い測定方法では、パソコンを起動しても何も操作せず、超低消費電力状態で放置させた時の最長稼働時間、これに2001年当時はCPUにかなりの負荷となっていたMPEG-1動画の再生をし続けたときの時間を2で割った値をバッテリー駆動時間としていた。

この測定方法は画面を設定できる限りの最低輝度にしても良く、インターネットに接続する必要もなかった。CPUやグラフィックスに負荷をかける設定でも、DVD(MPEG-2)よりも前に使われていたMPEG-1動画は、最近のパソコンではまったく負荷にならないため、あまり意味がないのだ。

今回の改訂では、画面の輝度を150cd/m2に、無線LANをアクセスポイントに接続した状態、動画はH.264のフルHD動画へと、最近の環境に合うように変更されている。ただし、基本的な操作等は何もしていない状態と、多少負荷をかけた状態を2で割るという測定方法の基本はそのままだ。

無線LANはアクセスポイントに接続しただけ、フルHD動画になっているが、最近のパソコンでは、再生支援機構などもあり、ほとんど負荷がかからないので、MPEG-1時代と似たくょうな状態だ。この新しい測定方法は、2014年4月以降の製品でカタログに表示されることになる。ただカタログ値は、画面輝度が明るくなるなどした影響で、これまでよりは駆動時間が減ることになるだろう。

同じ条件ということで、横並びで比較した歳の参考値としては使えるだろうが、やはりかなりおおざっぱな測定方法であることは変わらない。なにより実際の利用環境とはほど遠いため、実際に使ってみた場合の駆動時間は、実物を入手して自ら試す以外わからないということになってしまう。

次回の計測法アップデートにまた13年もかかるのかは不明であるが実利用での駆動時間がわかるように、次のバージョンで変更されることを切に期待したい。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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